第304話 トリプル
「あー今日も疲れたー。」
ダンジョン内での訓練を終えた春花は自室に戻って部屋のドアを閉める。
食事は既に済ませて居て後は入浴して寝るだけだ。
「今日もスペちゃん厳しかったなー。明日は北のダンジョンを潰しに行くんだっけ。」
スペーディアは春花を鍛えるようにススムから言い付けられているので張り切っていて訓練は容赦が無い。
そんな時部屋の呼び鈴がピンポンっと鳴った。
「ありゃ、誰だ?」
ススムお兄ちゃんは旅行中……と言ってもいつでも帰って来れるみたいだけど……尋ねてきて呼び鈴鳴らす人じゃ無い。
イヴお姉ちゃんはさっき食事の時レストランでお休みの挨拶したから、もし用事があってもSNSで連絡くれるだろう。
他の子……関係が薄い子なら直接尋ねてくる事はないだろうし……
とすると消去法で彼女だろう……
そう思いつつ春花はドアフォンのカメラに写るカミーユの姿を見る。
『やっぱ予想通りカミちゃんか……』
春花は躊躇なくドアを開けてカミーユを中に招き入れる。
このビルのセキュリティはススムお兄ちゃんが念入りにやって有るので疑う必要は無いのだ。
「カミちゃん、どうしたの?」
春花が尋ねるとカミーユは開口一番
「ススムっち酷くね?」
と悪態をついた。
「まぁまぁカミちゃん落ち着いて、話だけなら聞くよ。」
春花は言葉通り聞くだけで有る。
ススムの無茶振りはいつものことだが、決して出来ない事は言わないので、きっと頑張れば出来ることなのだろう。
しかし、頑張るのはカミーユ本人だ。
もし誰かの手伝いが必要なら事前にその事に言及がある筈なのでこれはカミーユが頑張るしか無いのだろう。
まぁ愚痴はいくらでも聞いてあげる(いくらでもとは言ってない)けどね。
「聞いて聞いて、この間分身を五体まで出せる様にしろって言われてー、頑張って出せる様になったんだよー。」
「ふむふむ。ススムお兄ちゃん褒めてくれたでしょ。」
「うん。良くやったって。」
「良かったねぇ。」
「でもね、それじゃぁ今度はダブルをトリプルにしてみようって……」
「出来るの!?」
そこは私も食い気味に問うた。
「ススムっちが言うには理論的にはできる筈だって……」
「出来れば凄いと思うけど……でもススムお兄ちゃんが出来ると言うなら出来るんだろうね。」
「うーんススムっちの信用度半端無いーー。」
「まぁカミちゃん頑張って。出来たら今度お寿司食べに行こう。ススムお兄ちゃんの奢りで。」
「よーし回らないお寿司のために頑張るマン。」
「その調子だよー」
張り切って出て行くカミーユを見送りながらふと嫌なことを思いつく春花。
『これでトリプルが出来たら次はスクエアとか言われるんじゃね?』
まぁやるのはカミちゃんだし気にしないとお風呂に入る春花だった。
次は誰にしようかな
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とにー




