第264話 魔人国の研究
嵐影は、消え去る魔人兵達を見送った後、雲影にスマホで連絡をする。
そして一言言い放った。
「任務完了」と。
嵐影はススムに直電はしない。
あくまでここの責任者は雲影だ。
雲影はその連絡を受け取るとススムに詳細を連絡する。
「ススム様、ススム様の仰られた通り帝都に魔人が紛れ込んでいました。」
「やはりな、正直人造魔人だけは帝国の科学力として異質だったんだよ。それ故に別の意思が隠れ見えた。」
「成程。」
「おそらく魔人国は帝国を利用して研究をしていた。自国では前魔王が許さない魔人を利用する研究をだ。」
流石はススム様、完全に読み切っておられたようだ。それではっと雲影は気になったことを聞いてみた。
「それでは今回逃したのはどう言った理由でしょうか?」
「それはな、奴らが転移の術式を使えるか?と使えたとしての扱いに関してを確認の為だ。」
「転移で逃げることは予想済みでしたか……。」
「まぁな。だが有る程度自由に使えるのなら都市の中から転移するだろう、転移阻害の魔道具は離脱に関しては緩いからな。しかし、それをしなかったと言うことは転移する術式自体が使い捨て、もしくは回数制限なのだろう。それが分かっただけでも今回の戦闘は収穫が有ったと言える。後おまけでは有るが嵐影のテストだ。相手は恐らく魔人兵であろうから嵐影がどの程度通用するのかを確認したかったのだよ。」
「成程、それではこれで私は撤退しますか?」
「いや、監視は続けてもらう。但し目的は少し変更だ。帝都から持ち出される物や搬入する物で不審物が有れば報告して欲しい。」
「了解いたしました。」
そして通話は途切れる。
再度ドローンの送ってくる映像に注視する雲影であった。
帝都から脱出した魔人兵の研究員は魔人国の王都にいた。
玉座に座る新魔王が二人に話しかける。
「任務ご苦労だった。」
「サムス様も王位就任おめでとうございます。」
「俺の方は決まっていたことだからな。それより首尾はどうだ?」
「はい、帝国で出来ることは全て完了しました。」
「それは重畳だ。早速城の研究所で完成と実施をするのだ。」
「はっ、必ずや魔人国に勝利を!」
「魔人国は今まで何度も大陸に侵略を試みたが何度も跳ね返されてきた。しかしそれは何も考えずに実力を過信しすぎて攻め込んでいただけだったからだ。しかし、俺は違う。状況を理解して新しい戦力や戦術を駆使して必ずや世界の覇権を握ってみせる。」
魔人王は拳を握りしめた。
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とにー




