257話 打ちつける自由
俺は現在ワルフェアダンジョンの40層に来ていた。
ここは新しく新設されたエリアで、広大なスペースに強力な魔物が居る。
今まで最下層に居たモルボルやデスベアーなどが可愛く見える程だ。
ここには属性龍やベヒーモス、ケツアルコアトル、フェニックスなどの神話級の魔物がいる。
いかなCランク冒険者でもよほどの実力がないと一対一では勝てない。
このクラスになると魔法感知なども優れるためイヴでも厳しいのだ。
スターミリオン・ライトニング・バーストが撃てれば勝てるのだが、魔力を集めて集中した瞬間攻撃が飛んでくる事になる。
こんなエリアをなぜ作ったかと言うとCランク冒険者の連携の練習の為だ。
これから魔人兵団との戦いになって行くので単純な強さの優位は無くなる。
奴らの強さは先日の人造魔人などを遥かに超えていると思われる。
Cランク冒険者も連携しないと苦戦するだろう。
そんなエリアに俺は1人居る。
当然俺なんかでは勝てる訳はないのだが……。
今の俺にはこれがある。
モーター・サーバント
通称MS。
今回俺が使うMSは背中に八本の羽のようなバックパックがついた機体だ。
俺は機体の胸部にあるハッチからコックピットに乗り込む。
そしてヘッドセットを付けると視界はMSからの物と切り替わった。
操縦桿は二つの取手を両手で一つずつ持つタイプだ。
勿論この操縦桿にあまり意味はない。
操作自体は俺の思考とAIによるものだ。
一応操縦桿にトリガーは取り付けられていて武装の発射タイミングは任せられているが選択する武装はAIによるサポートで行われる。
俺は機体を走らせる。
かなりの重量がある筈だが魔法で制御しているのだろう動きは軽やかだ。
ショックアブソバーも当然魔力制御だ。
コックピット内の振動も全く感じない。
少し地上を移動した後俺は機体のバーニアを吹かしてMSを空中に浮かせる。
空中での機動はスラスターのみでどうやらバーニアに頼るのは浮き上がる一瞬だけのようだ。
推進力は魔素によって得られている。
ドラゴンの飛行と同じ仕組みである。
その機動はまさに自由自在、Gも全くかからない。
魔法様様だ。
俺は前方に居るサターンドラゴンを照準に捉えた。
しかし属性龍であるサターンドラゴンは亜竜であるアースドラゴンとは全く違う。
ただ硬いだけではなくその機動性も高く攻撃も多彩だ。
表面にリングユニット形成してそれを攻防に使うなどその名に恥じぬ強さを持っている。
俺が照準に捉えた瞬間に反応したサターンドラゴンはサンドブレスを放って来る。
直撃すると砂がまとわりつく厄介なブレスだ。
しかし、俺は鮮やかに回避すると手に持ったビームライフルを発射する。
ビームはリングユニットに阻まれるもその高威力でリングユニットを半分ほど削ってしまう。
焦ったサターンドラゴンはリングユニットを飛ばして攻撃してくる。
俺はそれに対応して背中の羽の先端を遠隔操作突撃槍として飛ばす。
そしてビームライフルを構えてそのリングユニットを撃ち落とした。
更にはその突撃槍をサターンドラゴンに向けて突っ込ませる。
そしてそれはドラゴンのシールドを破壊した。
更にはビームライフルとリニアカノンを掃射してドラゴンにトドメを刺したのだった。
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とにー




