第121話 断罪
「始まったな。」
俺は呟いた。
勇者達の面倒を見ている時だった。
俺のデバイスの所持金メーターが凄いスピードで減り始めたのだ。
一分間で10万円が消えていく。
まぁそれでも14桁あるメーターの上の方に影響はないのだが。
ルルーナの街には10万の市民が居る。
そんな都市を全て囲む結界を維持するエネルギーは俺のデバイスから出て居た。
つまりほぼ無限に維持することができるのである。
1分で10万、1時間で600万、1日で1億4千4百万円。
多分半日程度で決着するだろうから問題ない。
シグワスには状況に応じた攻撃をする様に指示してある。
彼は戦闘のセンスが良いので上手くやってくれるだろう。
俺は勇者の指導に戻る事にする。
ーーーーーー
シルワーズside
用意されて居たアーティファクトから結界が発動した。
この街を覆う様な結界が出来るとは……指示書には書かれて居たが俄には信じられなかった。
しかし、現実的に目の前には光の壁がある。
私は指示書に書かれている通り行動を起こした。
私はギルドに詰めて居た子飼いの冒険者達に指示を出す。
この日の為に目を掛けていた冒険者達だ。
その数100人
指揮を取るのは昔のパーティ仲間のエレン。
ミームの親友だった彼女は快くこの役を引き受けてくれた。
他にもギルマス権限で雇った冒険者や傭兵を500人ほど街の中に配置してある。
彼らに関しては市中の混乱を制御する為のもので戦闘は指示してはいなかった。
ギルドに集まったもの達には領主館の襲撃を指示した。
守備兵の多くは既に街の外だ、館の守備は2、30と言ったところだろう。
それだけルナの攻撃隊を恐れたのだ。
シグワスの名前もここで効いてきていた。
襲撃部隊が領主屋敷に着いた時、さらにもう100人の部隊が合流した。
商工会長のジーンが手配した私兵達だ。
領主屋敷を200の戦力で囲む。
そして門を打ち破って突入すると、多少の抵抗はあったもののあっさりと屋敷は制圧され、代官を捕える事が出来た。
私たちの前に引き摺り出された代官は喚き散らす。
「お前達、こんな事をして本国が黙っていると思うか!?許されると思うなよ!」
しかし、結界に阻まれて帝国の兵は集まらない。大勢の兵や冒険者に囲まれて青くなって行った。
「助けてくれ、お前達の罪は問わない様に俺が取り成してやるから。」
そう懇願する代官。
しかし、シルワーズの覚悟は決まって居た。
よく『復讐は何も生まない。』とか言われるがそれはそれで真実だが、それだけが全てではない。
あくまで心の持ち様でそれが実行される事が必要な者もいる。
シルワーズとエレンにとってはそれが必要だった。
ただそれだけである。
シルワーズは断罪の剣をエレンに渡す。
エレンはそれを受け取ると代官の首を一息に刎ねたのだった。
ーーーーーーーー
少しでも面白いと思われましたらモチベーションにもなりますのでブクマ評価をよろしくお願いします。
とにー




