第118話 ルルーナの街
ルアシーンの現状は今の所静かではある。
しかし、全く動きを見せないのも怪しまれるので南のルルーナの街に進撃をした。
バザック、ハザンは既に落ちているが見せかけだけならそこへ進撃することも考えられたが、バザックに進撃した場合防衛のために援軍が来るかもしれない。
もちろんそれはチャンスでもあるが何かの拍子で戦略が露見するかもしれない。
俺が付いていれば対応できるかもしれないが勇者について居てそちらは対応できない状況だったので、下手なことはしない方が良いとの判断だった。
それと、侵入した忍者から面白い情報が聞けたのも理由の一つだった。
ルルーナの街への侵攻軍はシグワスが指揮を取る。
防衛を花栄がするのは防衛の方が重要だからと言うのもあるが、名前はシグワスの方が有名だ。
今回はそれが意外と重要であると考えたからだ。
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ルルーナ市街
1人の男が街を歩いて居た。
彼はこの街の北区で商工会長を務めるジーンだ。
それなりの立場にいる人物だが護衛もつけずに足早に街の中を移動するのは珍しい。
それでも、それを気にする市民は居なかった。
何故なら今、民衆の意識は街に迫る軍隊に向けられていたからだ。
ルアシーンから出た軍隊がこの街に向かっている。
ただこの街にも既に帝国から守備兵として二万の在留軍があった。
流石に負けないだろう。とか、敵には凄い兵器があって危ないとか、いろんな噂が飛び交って居た。
ジーンは人気のない路地に来ると周りの様子を伺った。
そして何もないことを確認すると一つの建物の中に入って行った。
建物の入り口には扉があり、そこには体格の良い男が立って居た。
ジーンはそこで合言葉を言う。
男はジーンを中へと通してくれた。
そこには3人の男が真四角のテーブルの三方に座って居た。
ジーンは残って居た一辺に着席する。
すると上座と言える位置に座って居た男が話し始めた。
「皆さん、どうやら遂に我々の念願が叶う様ですね。」
彼は感極まって涙まで流している。
「まだ状況は微妙だろう。駐留軍さえ居なければ話は簡単だったのだが。」
ジーンはその感動に水を差す。
実際攻撃軍は一万五千との情報が入っている。
こちらには駐留軍も含めて2万の戦力がある。
いくらルルーナの街には大した城壁は無いとはいえ、守る方より少ない兵で攻略できるとも思えない。
一応ここに居るのはそれなりに立場があるものばかりでその気になれば千や二千の私兵は動員できる。
元々の守備兵は五千程度なのでどこか攻める軍さえあれば呼応してどうにかなる状況だった。
一時期はルナに蜂起できないか打診をすると言う案もあったのだが、中々その案は実行されなかった。
そこに1人の男が話し始めた。
「実はルアシーンから書状が届いている。この指示通りすればルルーナは取り戻せるだろう。」
その男は書状をみんなの前に出した。
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