墳墓の主
御開帳。
これまでと変わりない様相の大部屋。
開けた途端には現れてこない。
方陣はゆっくりと前に進む。
最後列が部屋に入り切ったところで。
『バタン!』
石扉が閉じる。
『カタカタカタカタカタ』
骨がぶつかり合う音。
形成される白骨の兵達。
その中に、一際大きい個体が奥に出現する。
そいつがボス。
ボス単体と雑魚複数の一挙両得ってことか。
周りの雑魚は、
モンスターハウスで見たスケルトンとそう変わらない。
問題はボス。
装飾の施された冠に、それらしいマントと錫杖。
王様のようにも、高位の魔法使いのようにも見える。
こういう風貌の敵が、
大上段に構えてくれるような
タイプじゃないことは分かりきっている。
観察していると、唐突に奴の喉が明滅する。
まさかのブレス!?。
『よく来たな冒険者達よ』
「喋った!?」
その顎部は微塵も動かないが、声が響いている。
『ここまで辿り着いたことを褒めて遣わす』
喋り口調は王様に近い。
『貴様らが真に力ある者達か、
存分に確かめようではないか』
王スケルトンが錫杖を掲げる。
『大火球』
錫杖の先端の空間に、光と熱が収束する。
火球に大がついているとなると、
それなりの威力を想定しなければならない。
何かを言う前に、隊は盾役を前に縦列になる。
大火球が完成し、発射。
着弾と共に閃光、轟音。
石室全体が揺れる。
状況を確認できたのは着弾の数秒後。
誰一人…欠けていない。
『ボッ』
『うっ!?』
遊撃の一人に火球が命中する。
雑魚達はやはり隊列を組み、
今度は最初から杖持ちが固定砲台と化している。
縦列だけでは火球は防ぎきれない。
かといって縦列でなければ
大火球を部隊がもろに食らう。
作戦を変えなければ。
「方針を伝えます!」




