一寸先と言わず闇
暗い。
何も分からない。
痛い。
全身が動かない。
苦い。
口いっぱいに苦味が広がる。
え?。
「オキテッ」
「モガモガ」
口の中に薬草が突っ込まれている。
何とか咀嚼し、飲み込む。
「ぷはっ」
「オキタ!」
相変わらず暗く、何も見えない。
「火球」
『チッ』
「?」
舌打ちのような音が出て、火は出ない。
「MP切れか…」
明かりはないものとして動こう。
「ここは?」
「ワカンナイ…」
暗視がある桃子猫だからこそ、
カバンから薬草を探り当てられた。
その桃子猫でも現在地が分からない。
そうなると自分がわかる由もない。
装備を確認する。
途中で拾った骨は砕けているが、
触ってみた感じそれ以外は無事。
「カバンに穴はありますか?」
「ナイ」
「よかった」
これならいくらでも立て直しがきく。
辺りは一面瓦礫。
「桃子猫さん、僅かでもいいので
何かが感じられますか?光とか風とか」
「ンー、ワカンナイ」
「そうですか…」
床が石畳の感触である限り、
ここはダンジョンの一角で間違いないだろう。
「止まっていても埒が明きません、行きましょう」
「ウ、ウン」




