実は告白
「その…結婚を考えるなら、
私よりもそのお相手の方が…」
「…」
徐々に桃子猫の目が据わり始める。
「なんで?」
「それは、私には大した財産も、職も、
スキルもないですし…」
「なんで?」
「学生時代に…特に何もしてこなかったから…」
「私と同じ」
「え?」
意外な言葉を聞いた。
「私も何もしてこなかったし、なんのスキルもない」
なんの冗談だろう。
「いやいや、桃子猫さんはお金を稼げて投資家で…」
「私はチームに言われた通りに、
パソコンの画面を操作してるだけ。誰にでもできる」
「お顔だって私なんかよりも…」
「私はランさんの方がいい顔に見える」
「え、そ、そんな…」
ちょっと嬉しくなった。
「ランさんの方が頭はいいと思うし、
自分でお金を稼げてる」
「いや私も、友人の伝手で
仕事にありついただけですし…」
「ゲームのデバッグで人を助けてる、
私は誰も助けてない」
「募金をすれば…」
「許されてない、それは」
「お金を管理されてるんですか?」
「どっちかっていうと、
使い道を見られてて却下くらう」
「それはなんとも…」
むごい話だ。
「それに私たちって、
相性いいから付き合ってるわけだし」
「え?」
「え?」
初耳のとんでもない情報。
「だって、お姉様って呼んでくれて…」
「呼びましたけど、
それで付き合ったことになる…んですか?」
「だってだって、
日本のアニメでそういうシーンがあったから…」
「あー…」
つまり前にお姉様って呼んでと
言われたのが告白だったわけか。
「その…、ランさんは嫌?」
「い、嫌じゃないですよ!
むしろ願ったり叶ったりというか…」
「じゃ、手伝って」
「分かりました…」
上手く丸め込まれた気がする。
「でも、どうするんですか?」
「お見合いする相手よりも
お金が稼げると分かったら、引き込もうとするはず」
「そういうスタンスは変わらないんですね」
「ウン」
だとすると、一つ考えがある。
「汚い手ですが一つ…『ガチャ』




