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二度目の昼食
いつの間にか最寄り駅に着いた。
「ココ?」
「はい」
改札を通り駅から出る。
古くもなければ新しくもない郊外。
桃子猫の目にはどう映るだろうか。
「お昼ですし何か食べます?」
家には何も無いし。
「イイネ」
ここの勝手は大分知っている。
「何か食べたいものあります?」
「んー、麺」
「了解しました、
うどんと蕎麦とラーメンが選べますが」
「ソバあるの!?」
「え、はい」
「ソバ食べたい!」
「蕎麦ならいいお店がありますよ」
「ヤッター!」
喜びのあまりか、腕に抱きつかれた。
「はは…」
「プハーッ」
温かい蕎麦と冷たい蕎麦両方堪能して、
満足そうに口を拭いている。
よく社長に連れられていたのが功を奏した。
「喜んでいただいて何よりです」
「ウンウン」
そう言いながら桃子猫は財布から金を出した。
自分が食べた分きっちりと。
もはや何も言わず受け取る。
「出ましょうか」
「ウン」
会計を済まし、店を出る。
「ん」
手が繋がれる。
何も言わずに行く。




