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ゴブリンガールはガチャを引く!  作者: 仲良しおじさん
サイドクエスト【百鬼夜行する!】編
82/251

第81話 ゴブリンガールは百鬼夜行する!

挿絵(By みてみん)



 ついにお出ましだね!

 こいつがここいらで悪さを働く新種のハイドラに違いない!


 アタイらを見定めるようにユラユラと揺れる大蛇の頭。

 だがすぐに異変が起こった。


「か、数が増えてる……!?」


 またもや幻覚でも見せられているのだろうか。

 背の高いススキの草原から突き出た頭はいつの間にかひとつふたつと数を増やしている!

 指折り数えてみると、なんと全部で8頭もあるではないか!



八岐大蛇(やまたのおろち)(討伐推奨レベル65)~

 8つ股に分かれた頭と尻尾を持つ巨大な蛇の妖怪。

 頭のひとつひとつが殺傷性の高い牙を持ち、それらが連携して攻撃を繰り出す凶暴な多頭竜。



 頭ひとつだけでもおっかないってのに、それが8体分も!?

 勘弁しておくれ(泣)

 あまりの迫力に恐れおののくアタイ。


「豆なんか洗ってる場合じゃねえッ!」


 あずにゃんは手にしていた桶を投げ捨てて一目散に逃げだした。


「あっ! 1人でズルいぞこの特殊性癖ジジイ!」


 あずにゃんに続こうとしたものの、恐怖のあまり膝が笑って自由が効かない。

 まさに蛇に睨まれた蛙、もとい河童。

 アタイもスラモンもその場を動くことができなかった。


「ついにお目に掛かれましたね」

「こやつこそ拙者の追い求めていた化け物よ」

「しかし、改めて気圧されるほどの厳めしさ。我々だけで敵う相手でしょうか」

「試してみなければわかりはせん。やって駄目ならそれで終わりよ」


 ダメなら終わり?

 ちょっと待ちな!?


「やい大五郎! 勝てる算段があったからここに来たんじゃないのかい!?」

「拙者の旅路はいつも行き当たりばったりよ。それでここまで生きてきた」

「それが今日で終わったらどうすンだわ!」

「ならばそれを受け入れるまで」


 カカカと締まりなく笑う大五郎。


「なに笑ってんだよこのサイコパス侍!」


 こいつの無常観はいろいろと卓越しすぎだろ!


 そうこうしてると蛇頭のひとつがさっそく先制攻撃を仕掛けてきた!

 牙だらけの口を大きく開けて首をしならせ、こちら目がけて突っ込んできたのだ!


 標的となった大五郎とミクノは空へと跳び上がって回避する。

 大五郎は空中で体を大きく振り、鞘から刀を引き抜くのと同時に素早い斬撃を放った。

 それは間違いなく蛇の首筋に打ち込まれたが、厚く頑丈な鱗の上を滑っただけ。


「効かぬか!」


 刀を弾き返され、宙で大きく仰け反る大五郎。

 と、その背後に別の蛇頭の大口が迫る。


「させません」


 ミクノが御札を飛ばす。

 それを受けた第2の頭は遅延デバフによって動きが鈍る。

 その隙に大五郎はススキ原に着地して態勢を立て直した。


 第3、第4の頭による攻撃をかいくぐりつつ、大五郎はミクノに声を掛けた。


「遅行の印力は以前より強まっているようだ。相当な修行を積まれたな?」

「ですがこの大蛇を止めるにはいささか力不足」

「鈍らせるだけでも大したものよ。して、拙者のために少し時間を稼いではくださらぬか」

「任されましょう」


 ミクノが前面に出て無数の御札を扇状に飛ばす。

 札の張り付いた頭は動作が目に見えて遅くなった。

 だがそれにも限度がある。

 ミクノのデバフを押し通しながら攻撃を繰り出し続けるヤマタノオロチ。


 大五郎はその様子を伺いつつ後方に立つ。

 そして何を思ったか、カチリと刀を鞘に納めてしまった。


「何やってんだい大五郎! どうして武器をしまっちまうのさ!」

「まだ戦いの最中なンだわ!」


 大五郎は片手を鞘の口元に、もう片手は納めた刀の柄を握ったまま、腰を低く保って構えを崩さない。

 一方、ミクノは五月雨(さみだれ)状に動き回る8つ股に舌を巻いていた。


「大五郎殿!」

「良い! さがれ!」


 ミクノはヒラリと地を転がり、2頭の合間を縫うように攻撃を躱す。

 内の1頭が視界から消えたミクノの代わりに静止している大五郎へと視線を移した。

 そしてすぐさまに飛び掛かる。


「喝ッ!」


 シャキィン――――!


 金属の滑る冷ややかな音が響く。

 大五郎の振るった刀が月明かりを反射し、辺りに閃光を放ったようだった。

 一拍の間をおいて、首元で切断された蛇頭の先がズルリと崩れ落ちる。



~横一文字の型(アビリティレベル62)~

 刀術闘勇士の習得する必殺級の攻撃戦技。

 刀を鞘に納めた状態で気力を極限まで集中し、抜刀とともに高威力の切断斬撃をうつ。

 溜め時間が長いほど攻撃力・攻撃範囲が大きくなる。



「うおおお!」

「やべえ! カッコイイ!」


 頑強な鱗ごとキレイにたたっ斬るなんてね!

 ヘラヘラして心もとないと思ってたけど、やっとサムライらしいところを見せたじゃないか!


 ――――そう思った矢先だった。


 別の蛇頭が高速で首を伸ばし、真横から大五郎を襲ったのだ。

 スキルを繰り出した直後のため大五郎はとっさに反応を取れなかった。

 その無防備な脇腹を鋭い牙が裂く。


「ぐうっ!?」


 受け身もままならずに地面へ落ちた大五郎にミクノが駆け寄る。


「大五郎殿」

「油断したか……」


 大蛇を見上げるミクノ。

 ミクノはそれぞれの頭に印の御札を飛ばして張り付けていたはず。

 だがどうやら8つ股の頭同士で体を擦り合わせ、器用にもその札を破っていたらしい。


 これじゃあ魔法が無効化されちまうね!

 くそったれ!

 大五郎の溜め技とミクノのデバフは相性が良いと思ったのに、敵の方が一枚上手だってことかい!


「拙者の修めたスキルの中でこやつに有効打となるのは先ほどの居合斬りのみ。だが動作が大きく反撃を躱しきれぬ」

「そもそもこの傷ではあの大技を何度も出すことはできないでしょう」

「やれてあと一撃か……」


 あと一発?

 それでどうやって倒すんだよ!

 だって……蛇頭はまだ7つも残ってるんだよ!?




 つ・づ・く


★★★★★★★★


 次回予告!


 ええと……。

 最初8つでひとつ減ったから、8引く1の7……。

 ひと頭倒すたびにあのダメージを喰らうとしたら、最後までにあと6撃?

 ……死ぬじゃん!


【第82話 ゴブリンガールは蛇に睨まれる!】

 ぜってぇ見てくれよな!



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