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ゴブリンガールはガチャを引く!  作者: 仲良しおじさん
メインクエスト【ウルトラレアを引く!】編
245/251

第244話 ゴブリンガールは困惑する!

挿絵(By みてみん)



 依然としてゴーレム軍と魔改造ジョニー&スラモンとの攻防戦は続いている。

 だがワシャクの底なしの魔力によって再生を繰り返すゴーレムを前に、徐々に圧倒され始めた。


「これじゃあキリが無いぜ!」

「ホホホホ! 情けない奴らじゃ。ゴン太との戦いの方がよほど楽しませてくれたぞ?」


 そこでシブ夫が声を上げた。


「ワシャクさん。お願いがあります。戦いを止めて話をさせてもらえませんか?」

「今さらか? 分が悪いとなれば交渉に転じようとは、とんだ腰抜けの思考じゃのう」


 シブ夫はワシャクの煽りに動じることなく話を続ける。


「過去の大戦で残らず同胞を失い、ひとりきりで千年もの歳月を過ごした孤独と憎しみ。あなたの胸中を推し量ることなどとてもできません。ですが、打倒魔王に関しては僕たちと目的を共有できるはずです」

「共有じゃと?」

「怒りに任せて魔儡を野に放つのではなく、戦禍を最小に留める形で魔王との決着を付ける方法を、一緒に考えてほしいんです。かつてゴン太が力づくであなたを止めたような選択を、僕たちは取りたくはありません」


 来た、シブ夫の心揺さぶる説得タイム!

 相手の気持ちに寄り添う言葉選び、そして何より優し気で真っ直ぐな瞳に見つめられれば、否応なく心を解きほぐされてしまう。


 ……だがしかし、長年蝕まれ続けたワシャクの心をそう簡単に救済することはできなかった。


「笑止千万。仲間ごっこなどするつもりはない。誰の協力を仰がずとも魔王を打ち倒して余りある力は蓄えておるのじゃ。同時に目障りな転生者どもを相手にしてもまだお釣りがくるぞ」


 アタイはブチギレた。


「まったく話の通じない女だね! どうやらあんたの石頭はゴーレムの図体に引けを取らない固さらしいよ! そんなんだからゴン太も魔王より先にあんたの方をぶちのめしてやったんだろうね!」


 それを聞いてワシャクは大笑いした。


「憐れな連中じゃ~。本当に何も知らないようじゃな。可哀想だから教えてやろう、お主らが勇者の(かがみ)として妄信する山崎ゴン太の本性についてな」

「ああん?」

「あの男は魔境ガルタナンナで魔王と対峙したのではない。逆に取り込まれ、魔王の手下に成り下がったのじゃ」


 ……はあ?

 ゴン太が魔王の手下?


 ゴン太はこれまでに数え切れないほどの人々を救い、たくさんの逸話を残してきた模範的な伝説勇者。

 だが100年前に魔境へ旅立ったという情報を最後に一切の消息が不明だった。

 てっきり魔王の返り討ちに遭ってしまったのだと思ってたのだが……。


「奴はガルタナンナから生還後、復活を目前に控えていた妾の元に現れた。魔王の情報を提供するなどとホラを吹いてな」


 油断したワシャクはゴン太が隙を突いて展開した結界の中に閉じ込められてしまった。

 その空間にはゴーレムを立ち入らせることができず、ゴン太との一騎打ちを余儀なくされたそうだ。

 互角の戦いの末、とうとう決着は付かなかったが、ワシャクは消耗した肉体を癒すために100年を費やすことになった。


「あの男は勇者の名声を捨てて表舞台から姿を消し、その裏で魔王に利するよう暗躍していたのじゃ」


 な、なんだってー!?

 一同に衝撃が走る。


「そんなバカな……」

「それって、ゴン太が魔王に操作されてるってこと?」

「いいや。操作系能力者が操れるのは魔儡のみ。ゴン太の行動はあくまで奴自身の意志によるものじゃ」


 ちょっと待ってよ!

 魔王をぶっ殺すためにゴン太の力を借りようと、そのつもりで今まで旅してきたってのに!

 こんな理不尽なオチがあってたまるかってんだ!


「あらあら~。これは想定外♡」

「にわかには信じられません……。何かの事情があったはずです」

「知ったことか。興味も無いわ」


 アタイは混乱してシブ夫に視線を向けた。

 ……これまで何度も振り出しに戻されて、そのたびに小さな手掛かりを見つけて冒険を続けてきた。

 その結末がこんなことじゃ、アタイらはこの先何を信じればいいっていうのさ。


「シブ夫……」

「ゴブ子さん。惑わされてはいけません。どちらにせよ僕たちは自力でゴン太を見つけ出し、彼に真意を問う必要があります。そこまでは当初の目的からそう変わらないはずです」


 シブ夫はワシャクを見据えながら剣を引き抜く。


「その障害となるのなら、今ここで彼女の暴走を止めるしかありません」

「言ってくれるな、浜田シブ夫。お主はゴン太の再来と目される勇者だそうじゃな? ならばあの男以上に妾を興じさせてみせろ」


 ワシャクはボスゴーレムの手のひらから飛び降り、瞳を代赭(たいしゃ)色に光らせて腕を掲げた。

 それに呼応して、ボスゴーレムを筆頭に砂人形たちがシブ夫へと迫る。


 対してこちらもヒューゴ、スージー、クラリスらの面々がシブ夫と横並びになって武器を構えた。


「シブ夫の言う通りだ。ひとまずはこの戦いを止めることだけに集中するぞ!」

「私たちが倒れちゃったら、それこそ今までしてきたことが無駄になってしまうわ!」

「まだ負けられません! 努力、努力です!」


 さあ、勇者たちによる迎撃戦の始まりだよ!

 あの生意気ミイラ女のお喋りを止めてやんな!




 つ・づ・く


★★★★★★★★


 次回予告!


 まさかまさかの急展開!

 こんなん予想できた奴おる!?

 ゴン太と魔王がグルだとか、それマジだとしたらめっちゃしんどいんすけど。

 ……デタラメであってもらえませんかねえ?


【第245話 ゴブリンガールは弱点を探る!】

 ぜってぇ見てくれよな!




挿絵(By みてみん)

 ▼メタリックスラモン

 形状記憶ナノマシンで液体金属人間と化した急襲特化形態のスラモンだよ!

 変幻自在に姿を変えてキミを地獄まで追い詰めるぜベイビー!

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