第166話 ゴブリンガールはクリパする!
みんな、メリークリスマス!
ちょうどイブに重なった週末の夜、いかがお過ごし?
前回の予告枠でも話した通り、今夜のゲストはTwitterのアンケートで人気一位に輝いた栄光あるキャラだよ!
それではご登場いただきましょう!
「ハッピーメリークリスマ~ス♪」
玄関扉を蹴り開けて飛び込んできたのは緑髪にサンタコスをした女、サンタルチア!
そのまま手近なテーブルのガラスコップを掴み、中身の酒を飲み干すと壁に投げつけて叩き割った。
ガッシャンガラガラ!
「フゥーーーーー↑↑」
「ちょっと何やってんの!?」
開幕一番に奇行っぷりをかましてくれてんじゃないよ!
確かに今日はサンタルチアのために用意されたような日だけどさあ!
何しても許されるワケじゃないかんな!?
これには初対面のスージーやピク美たちも顔面蒼白。
ちなみに今夜はアルチナは欠席だ。
なぜかって?
その理由はいわゆる大人の事情ってやつ。
「この前も話した語尾問題でね……」
「実はアルチナとサンタルチアってめっちゃ喋り方似てるんだよね。初期はもっと書き分けしようと思ってたんだけど、まあずるずると」
しかも2人は名前のイントネーションまで似通っており、たまに作者も書き間違えてしまう。
そういう事情で共演NGな組み合わせというのは少なからずあるのだ。
現時点でキャラ34人もいるし、まあ多少はね?
「とまあこんな具合で、アンケートで見事一位になったのはサンタルチア。おめでとう」
「今日は私たち3人で女子会をお送りするわ」
「イエーイ!」
投票に参加してくれたTwitterのみんなありがとう。
作者の独断と偏見でタイプの異なる女キャラ、巫女ミクノ、死神シビリオ、祈祷師ハイネらを厳選し、実に60を超える投票をもらったよ。
その中でなんとサンタルチアが過半数近くを集めるというぶっちぎり快挙を成し遂げた。
「私ってどこに行っても目立っちゃうの♪ でもでも、こんなに大差を付けたんじゃ他の子がお気の毒~! ね~!」
「チッ……」
「己惚れんなよ。ちょうど12月にやったから時期的なフィルターかかっただけだろ」
「あなた最近優遇されすぎじゃない? 調子に乗っていられるのも今の内ですからね」
サンタルチアの幸せオーラに反比例してやさぐれさに磨きのかかるアタイとスージー。
それもそのはず。
サンタルチアはつい数ヶ月前の海賊クエストでも再登場したばかりなのだ。
※詳しくはシーズンクエスト【海賊王に俺はなる!】(第147話~)を参照。
「やだ~! いい加減ゴブリンガールの顔飽きてきちゃう~!」
「それはこっちのセリフだよ!」
他の出番待ちキャラたちを差し置いてこの露出。
文句を言いたくなる気持ちもわかる。
まあそうした確執は置いといて、今日はせっかくだからTwitterを通した宣伝活動のアレコレについて語っていこうかな。
「実はこの作者って本作がネット投稿サイトのデビュー作なのよ。それに併せて初のSNSのアカウントも作ったらしいわ」
「アラサーのクセにSNSのひとつもやったことなかったなんて、生き遅れすぎ♪」
「当時はいろいろ勝手がわからず、本来なら作者名の『仲良しおじさん』とかで登録しとけばよかったものを、何を血迷ったか『ゴブリンガール』の名前にしちゃったのよ」
当然ながらアイコンはアタイの顔。
そしてツイートもアタイという体で呟いている。
そう。
ネカマである。
「キモ~イw」
「そういう設定で始めちゃった手前、引くに引けなくなっててね。フォロワーさんとの絡みでも一人称は『アタイ』だし、当然のようにタメ口なのよ」
「ホントみんな優しい人ばっかで助かってるよ。普通は怒られるからね?」
初絡みの方はきっとすごく戸惑うことだろう。
この場を借りてお詫び申し上げます。
「まあでも、一年近くこのスタンスを続けてみて、結局これで良かったって本人は思ってるみたいよ」
「なんで?」
「この作者すこぶる陰キャでコミュ症なのよ。誰かを演じてないと気軽にクソリプなんて送る度胸無いのよ」
「悲惨~!」
手を叩いて爆笑するサンタルチア。
「この際だから言っちゃうけど、作者は病的なまでの孤独好きでね。休日は誰かとの会話がTwitterの中だけで終わることとかザラなのよ。リアルよりもゴブリンガールとしての交流の方がよほど盛んなの」
そういった事態が進行するとどうなるか。
普通にちょっと怖い話なのだが、作者が思考するときの脳内の一人称が自然と『僕』ではなく『アタイ』になってしまう瞬間があるという。
「人格錯綜始まってんじゃねえか」
「心の病院に連れてったげて♪」
「マジでヤバイのよ。どうなってしまうの?」
どうなってしまうんですか?
有識者の方、教えてください(切実)。
「まあそれはどうでもいいんだけどさ。地味にダルいのがゴブガ以外の宣伝もやらされることだよね」
「作者は当初ゴブガしか書くつもりなかったけど、その後でエッセイだとか漫画だとか、節操なく手を広げまくってて」
「今のところ小説が3作品、漫画が2作品で同時進行中♪ ほとんど稼働してないのもあるけどね~」
「その宣伝アタイが全部やらされてるから。たまったもんじゃないよ」
とまあネガティブなことも言ってきたが、Twitterには本当にお世話になっている。
純粋にゴブガという作品を知ってもらうきっかけにもなるのだが、何よりも嬉しいのは読者や創作者のみんなとお喋りできるということだ。
「作者は物心ついたころから創作活動やってたけど、こうして公の場に出すようになったのはほんの1年半前から。それまでは誰にも見せず、語らず、1人の世界に引きこもっていたの」
「身近に小説書きの人とかいなかったからさ。その趣味を人に打ち明けて変な目で見られないかめっちゃ怖がってたんだとさ」
自分1人が楽しむためだけの目的で作った物語たち。
そんなものでも、もしかしたら誰かと楽しさを共有できるのかもしれない。
そうした期待を抱きながらも、否定されたときの恐怖も想像してがんじがらめになっていた。
そんな悶々とした日々が20年余り。
「これって面白いんじゃないか? という疑いを実際に『面白い』と肯定してもらえたときの喜び。そしてそこから得られる自信って、何にも代えがたいものよね」
「もうね、書籍化とかそういう欲は無いんよ。そういうの関係なく、作者にとって創作活動は人生の一部なの。これから何か起ころうとも何かしらは作り続けていくんだと思うの」
「その上で、自分たちの好きなことを認め合えるコミュニティがあるってことのありがたみなのよ。とても大切なことだと思うわ」
「ちょっと~w マジで言ってるの? クサすぎて吐きそ~!」
てめえこらサンタルチア!
せっかく良い感じのまとめに入ってんだから邪魔すんじゃないよ!
「なんていうかこう、悦に浸って語らってる感じがたまんな~い! 共感性羞恥心狙い撃ち~!」
「あなたねえ! 私たちだって好きで言ってるんじゃないわよ!」
「台本があんだよ! 作者からこれだけは書かせてくれって言われてるやつがあんの!」
ったくクソったれのクソ作者が!
わざわざアタイらの口を通してくっせえポエム吐き出させやがって!
黙ってエッセイの端っこにでもしたためときな!
「あーくそくそ! もうやってらんないっての! 死ねよ仲おじ!」
「こうなったら今夜は吐くまで飲むわよ! 世間はクリスマス一色で浮かれてるけど私たちには関係ないしね!」
「せっかくだからイルミネーション見に行こうよ~。クリスマス限定のレアモンスターも湧いてる頃合いだし♪ ね~!」
「あんたは魔物の血で街を飾り付けるつもりでしょ!? もう勘弁して!」
どうかみんなはステキなイブを過ごしてね。
せめてそれの叶わぬアタイたちの分だけでも――――。
~Happy Merry Christmas~
つ・づ・く
★★★★★★★★
次回予告!
えっ来週末ってちょうど大晦日なの?
なんか今年は土日とイベントがいろいろ重なるね。
こりゃあみんなで揃って年越しするしかないねえ!
さて次回のゲストはなんと、流血事件や逮捕騒動を起こして活動停止を喰らった伝説のアイドルが再集結!?
コアなファンたちが熱望した一夜限りの復活ライブが始まっちゃうよ!
お見逃しなく!
【第167話 ゴブリンガールは年越しライブする!】
キュンキュン! ピュアドリーム☆ミ




