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ゴブリンガールはガチャを引く!  作者: 仲良しおじさん
コラボクエスト【ワイルド・ソルジャーする!】編
162/251

第161話 ゴブリンガールはワイルド・ソルジャーと出会う!

 今回のコラボクエストは『ワイルド・ソルジャー』作者のアサシン工房様のご協力のもと作成しました!

 感謝申し上げます!

 いつもとは一味違うゴブリンガールをぜひお楽しみください!

挿絵(By みてみん)



 突然だけどみんなはコラボクエストって聞いたことある?

 スマホが先日からしきりにコラボなんちゃらって宣伝文句を垂れ流し始めたんだけど、ソシャゲ事情をよく知らないアタイにはなんのことかサッパリ。

 まあどうせ課金を促すための悪徳商法かなにかだろう。

 シカトシカト。


 そんなアタイの元に汚れ仕事の案件が舞い込んできた。

 荒野の中にある小さな村がならず者たちの嫌がらせを受けて困っているらしい。

 勇者による正式な討伐パーティが派遣されるのに先立ち、アタイが現地に行って詳しく話を聞いておけとのことだ。

 まーた当て馬役かい!

 いい加減にしな!



~荒野の村落(探索推奨レベル25)~


 アタイは村の中央にある公民館のドアをノックする。


「さっさと開けな! 依頼を張り出した村長とやらはどいつだい!」


 ややあって扉が開き、顔を覗かせたのはモヒカン頭に薄マユゲの大柄な男。

 なんだか村人っぽくない風貌だねえ。

 鼻ピアスまで付けてるし。


「ゴブリン一匹でクエストを受注ゥ?」

「馬鹿が! アタイはただの偵察だよ! 黙ってならず者たちに関する情報を差し出しな!」

「ああ、嫌がらせを受けてるってあれか? それならもう状況が様変わりしたぜ」

「どんなふうに?」

「村全体が占拠されちまったんだよ! 俺たち無法者の手によってなあ! ヒャッハー!」


 アタイはロープでグルグル巻きにされて公民館の一室に投げ入れられた。

 そこにはアタイ同様に拘束された村長やら村人やらが呻きを上げながら転がっている。


「ふざけんじゃないよ! 進行度が変わったんならちゃんとクエストボードをアップデートしときな!」

「そう言われても仕方ないじゃろ……」


 こうなったら最後の望みに懸けてガチャを回すしかないみたいだよ!


 アタイはそこで改めてコラボガチャの詳細を確認してみた。

 コラボ期間中にのみ回せる限定ガチャで、いつものようなアイテムではなく他作品のキャラを召喚できちゃうらしい。

 他作品って何?

 でもなんかすごくない?


 お値段は通常ガチャの100倍。

 法外な額だが背に腹は代えられないね!

 アタイは祈る気持ちで液晶画面を力強くタップした。


 スマホからあふれ出す虹色の光!

 それに伴って抑揚のない電子音が鳴り響く。


【おめでとう! SSRのキャラをゲット!】


 目を焼くほどの激しい光が落ち着くと、そこには一人の男が佇んでいた――――。

 身長2メートルを超す、茶髪で赤い瞳を持つ屈強な大男。

 ノースリーブの戦闘服にはこれでもかと筋肉の形が浮き出ている。

 なんかめっちゃ怖いキャラ引き当てたんとちゃう?


「……なんだぁ? 相棒と敵のアジトに乗り込んでいく途中だったってのに、ここは一体どこだ?」


 キョロキョロと辺りを見回した大男は寝転がるアタイたちの存在に気付いた。


「俺はハンニバル・クルーガー。軍の特殊部隊で活動しているぜ」


 ハンニバルはアーミーナイフを取り出して手早くみんなの縄を解いてくれた。


「どうやら大変な目に遭ったみてーだな? まあ飲み物でも飲んで落ち着けよ。アイスティーしか無かったけど良いか?」


 ……一見怖そうと思ったけど、意外と気の良いアニキかも?

 アタイと村人たちはもらったアイスティーをがぶ飲みしながら事の経緯を説明する。


「なるほどな。大体の事情は呑み込めたぜ。安心しな。俺のいた場所も剣と魔法のファンタジー世界だからよ」

「いやそのナリで? 適当言ってんじゃないよ」

「本当だぜ。悪の魔王が黒塗りの高級車に撥ねられたりしているぜ」


 どんな世界観やねん!?


「とりあえず村を奪還するために無法者どもを駆逐するぞ。俺について来な!」


 ハンニバルは巨大なバズーカを背負い、さらに予備として持っていた拳銃や機関銃をアタイたちに貸してくれた。


 監禁室から飛び出すと、廊下に立っていた見張りたちがすぐに気付いて殴りかかってきた。

 だがハンニバルは避けることもなく堂々と攻撃を受け止める。

 しかも無傷!


「俺はこの程度で倒れるほどヤワじゃねえぜ!」


 そう言うとモヒカン野郎の頭を掴んで壁に叩きつける。

 瞬時に鮮やかな赤色に染め変わる壁紙。

 ワイルド・ソルジャーの名は伊達じゃないみたいだねえ!


 廊下を突き進むと一際大きな扉の前にたどり着いた。

 その先には大広間があり、無法者どもが大量に集まっているはずだ。


「多勢に無勢では分が悪い。何か策を講じた方がいいじゃろう」

「任せとけ。俺はこう見えても隠密行動が得意なんだぜ!」


 ハンニバルは自信満々な顔で扉の前に仁王立ちする。

 次の瞬間、巨大な音を立てて扉を蹴り開けたではないか!


「な、なんだ貴様は! ヒャッハー!?」


 たじろぐモヒカン集団に向けて間髪入れずにバズーカ弾を打ち込んでいく!

 ズドドドドドドド!

 業火に焼かれる公民館の大広間!


「何やってんの!? 全然隠密じゃないじゃん! ワイルドすぎるのも大概にしときな!」


 泣きわめくヒャッハーどもに向けて、アタイと村長たちも決死の形相で手元の銃をぶっ放す。

 飛び散る鮮血と燃え広がる炎によって艶めかしく彩られる死の館。

 これまで見てきた中でダントツにおぞましい地獄絵図だよ!


「なんだなんだ! 全然手応えがねえじゃねーか! もっと俺を楽しませてみろ!」


 激しい発砲音に気付いたのだろう、村中に散らばっていたヒャッハーたちが四方八方から公民館に向けて集まってきた。


「このまま籠城戦にしゃれこむぜ!」


 ハンニバルは窓ガラスを叩き割り、そこから近づく敵を次々に砲撃していく。

 彼のバズーカ弾は確実にヒャッハーを吹き飛ばしてはいるものの、普通に流れ弾が村の建物も破壊している。

 どうやら戦いに熱中しすぎて我を忘れてるみたいだね!?


「おいゴブリン! なんでもいいからあの暴走男を止めてくれ!」

「んなこと言われたって~!」


 こうなったら奴に匹敵する強さのキャラをもう一体召喚するしかないよ!

 アタイは震える指でスマホの画面をタップした。


 虹色に輝くスマホ。

 その光の渦から現れたのは、ハンニバルと同等の体格をした鋭い眼光の男――――。


【おめでとう! SSRのキャラをゲット!】


 「……私の名はマティアス・マッカーサー。今の私に失うものは何もない」


 こいつは……!

 もうひとりのワイルド・ソルジャー!?




 つ・づ・く


★★★★★★★★


 次回予告!


 アタイのガチャで召喚されたワイルド・ソルジャーによって陥った窮地を打開するため、アタイのガチャで召喚されたワイルド・ソルジャー!

 このハードボイルドなトンデモ展開、一体全体どうなっちゃうの!?

 コラボクエストは後編に続く!


【第162話 ゴブリンガールはワイルド・ソルジャーする!】

 ぜってぇ見てくれよな!




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