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ゴブリンガールはガチャを引く!  作者: 仲良しおじさん
メインクエスト【魔境へ行く!】編
123/251

第122話 ゴブリンガールは魔境へ行く!

 このクエストから第3章【彷徨える転生勇者】が始まります!

挿絵(By みてみん)



 超わかる!

 これまでの簡単あらすじ――☆彡



 100年前に姿を消した転生者ゴン太を追って旅を続けていたアタイたち。

 どうやら彼はラスボスダンジョン『ガルタナンナ』で音信不通になったらしい。

 かくしてアタイら一行は祈祷師ハイネの転移術を使って魔王の喉元へ乗り込むことに。


 ちなみにメンツはアタイ、シブ夫、アルチナ、スージー、ヒューゴに死神シビリオ。

 あとガチャ改造された磁石ジョニーとゴムスラモンだ。


 だけど、そんなのどうでもいいくらいにもっと大変なことが起こった。

 ハイネがアタイだけにコッソリ教えてくれた未来予知の内容。

 それによると、近い内にシブ夫が死んでしまうという……。


 取り乱したアタイだったが、他の予知夢によるとシブ夫にはまだ何度かハイネの転移術を使う機会が訪れるという。

 ひとまず今回の遠征からは生きて戻れるということだ。

 さんざん悩んだあげく、アタイは渋々ながらガルタナンナへ飛ぶことに決めた……。


 あらすじ終わり――☆彡



 ハイネの描いた魔法陣を前に整列するアタイたち。

 依然として暗い表情をしているアタイにシブ夫が声を掛けてくれた。


「大丈夫ですよ。ゴブ子さんのことは僕が守ります」


 キュン……!


 ああ、シブ夫……。

 アタイが気掛かりなのは自分の身じゃなくてあんたのことだっていうのに。

 それを伝えることもできないとは。

 つれー!(泣)


「直前で駄々こねて、しまいにはシブ夫におんぶにだっこかよ」

「ガチャで魔王を退治するとか息巻いてたころが懐かしいンだわ」


 ほくそ笑むジョニーとスラモン。

 黙ってなゲテモノモンスターども!


 今回はあくまでゴン太探しが優先事項。

 いけ好かない魔王の野郎をぶちのめしてやるのは次の機会に取っておくことにしてやるよ。

 命拾いしたと思いな!


「それでは今一度作戦について確認しましょう」


 ハイネの術によってアタイたちは一瞬のうちにガルタナンナの入り口近辺へ飛ばされる。

 ハイネ自身は一緒に飛ぶことができないため、問題になるのは帰りの手段だ。


「おおむね24時間後に転移場所と同じ位置に再び魔法陣を生み出します。それを使えばまたこの村へ飛んでこられます。ただし、私からでは皆さんの様子を伺い知れません。万一の場合、逆に術を介してガルタナンナの魔物が下界側へ流れ込んでくるという重大なリスクがあるのです」


 できるなら使うべきではない諸刃の剣ってところだね。

 やむを得ずこの方法を取るが、その代わりチャンスは一度きり。

 モタモタすれば容赦なく魔境ダンジョンに取り残されることになる。

 一行の顔に緊張が走る。


「猶予は24時間。それまでにゴン太の残した形跡を探すのよ」

「だが無理は禁物だ。モンスターはどれもレベル90越えだからな」

「隠れて逃げてを繰り返してなんとかやり過ごしましょう」


 うなずき合うアタイたち。

 準備が整ったのを確認してハイネは呪文を唱えた。

 足元の魔法陣が光り輝き、アタイたちの体をまばゆく包み込んでいく――――。




狂禍(きょうか)の魔境ガルタナンナ(探索推奨レベル90以上)~


 瞳を開くと、目の前に広がっていた風景は先ほどまでののどかな村とは一変。

 おどろおどろしいマーブル模様が渦巻く闇色の空。

 幹を折り曲げ毒色の触手を伸ばし、ささやかに蠢く奇怪な樹木群。

 荒れた地面はその下に何かが息づいているかのごとくボコボコと隆起と沈降を繰り返している。


 ビリビリと不愉快な悪寒が全身にまとわりつくようで、一秒でも早くこの場を離れたくて仕方がない。

 まさに魔境という呼び名が相応しい。

 こんなにおぞましい場所がこの世界にあったとはね……。


「キャ~懐かし~! 数年ぶりなのにちっとも変わらないわね~」


 絶句する面々の中で大はしゃぎのアルチナだけが浮いている。


「……僕たち、ガルタナンナを甘く見ていたようですね」

「どうやらレベル80代までと90以降とのあいだには越えられない壁があるようだぜ」

「私たちの力が通用するとかいう次元じゃないわ……」


 一様に青ざめる勇者たちだが、中でもとりわけ酷いのがシビリオだった。


「まずいわよこれは……」


 彼女の瞳が青色に発光する。

 死神教団の持つ特異能力で、他者の体から発散される生命エネルギー『篝火(かがりび)』の強さを見分けることができるのだ。


「今この場にいる全員の篝火がほとんど消えかけている……」

「えっ?」


 篝火が消えることはすなわち死を意味する。


「このままじゃ死ぬわよ。ひとり残らず」

「ちょっと待ってよ!」

「話が違うぞォ!」

「楽しくなってきちゃった~♡」


 ――――そのとき、アタイの視界に異物が写り込んだことに気付いた。

 マーブルに濁る闇空の上に巨大な黒い影が浮かんでいるのだ。

 どうやらさっそく魔獣のお出ましのようだが、そのシルエットは鳥ともドラゴンとも違う。

 奇妙なことに、ずんぐりむっくりした魚の形をしていたのだ。



~バハムート(討伐推奨レベル97)~

 理屈を超越する力で大空をたゆたう巨大クジラの幻獣。

 ラスボスと言っても過言ではないくらい強い。やばい。



 どうしてお魚が空を飛んでいるの?

 そんな理解不能な事態が当たり前のように起こる場所、それがガルタナンナなのだろう。

 そう一言で片付けてしまえば簡単だけど、ちょっとあんまりじゃない?(泣)

 マジもうムリ……。


 まるで気球のようにのったりと上空を遊泳するバハムート。

 大きく体をくねらせて気持ち良さそうに尾ビレをはためかせる。

 そしていきなりどでかい咆哮を上げた。


 クジラのエコーなんて生易しいもんじゃない。

 常識の範疇を超えた音圧と風圧が空間そのものをブローする。

 空気の塊が歪みながら伝播し、さながら光線のようにして空を横切っていくのが視認できた。


 バハムートの放った光線砲はアタイらの視界の先にある小丘に着弾し、地形を粉々に吹き飛ばした。


 あっ……。

 死ぬわこれ。




 つ・づ・く


★★★★★★★★


 次回予告!


 ねえ、ご存じ?

 アタイはレベル2のゴブリンなの。

 どうしてこんな所にいるの?


【第123話 ゴブリンガールははぐれる!】

 ぜってぇ見てくれよな!



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