『聖女様は、全てお見通しですの』87
皆様、ごきげんよう。
作者の 〜かぐや〜 です。いつも応援、本当にありがと……
マリア:「――少し、よろしいかしら?」
〜かぐや〜:「ひゃっ!? ま、マリア様!? な、なぜここに!? 今、リナちゃんの庵にいるはずでは……」
マリア:「ええ、いるわよ。でも、少し退屈だったものだから、こちらの『あとがき』という舞台にお邪魔させてもらったの。作者様?」
〜かぐや〜:「は、はいっ!」
マリア:「読者の方から、私に直接、質問が届いていると聞いたわ。『あの時、帝国の連中をハヤトに倒させれば、リナを独占できたのではないか』、ですって? ……ふふ、可愛らしいことをおっしゃるのね」
〜かぐや〜:「(うわぁ、完璧な聖女スマイルだけど、目が笑ってない……!)」
マリア:「いいかしら、よくお聞きなさい? 私が、なぜあそこで、あのむさ苦しい帝国の連中と、わざわざ手を組んであげたのか。その理由を、特別に教えてさしあげるわ」
〜かぐや〜:「は、はいっ! 謹んで拝聴いたします!」
マリア:「まず第一に、面倒だからよ。今の王国で、私が帝国の兵士を何人斬ろうが、誰が褒めてくれるというの? 誰もいないわ。それどころか、あの腐りきった貴族どもに『また英雄が勝手なことを』と煙たがられ、最悪、寝首を掻かれて終わり。そんな割に合わないこと、私がするとお思い?」
〜かぐや〜:「お、おっしゃる通りでございます……」
マリア:「第二に、あのグランよ。あの石頭で、理想論ばかり語っていたグランが、あんなにやる気になっている。庵に引きこもって、本の虫になっていただけの彼女が、よ? これは、どういうことか分かるかしら?」
〜かぐや〜:「え、えーっと……」
マリア:「彼女と、あの忘れられた第三王子に、強力な『後ろ盾』ができた可能性が高いということよ。そして、そうであるなら、その正体が、帝国の『天翼の軍師』であることは、火を見るより明らか。……つまり、彼らは今、この国で唯一の『勝ち馬』であるかも知れなかったの。実際、それは当たりでしたし」
〜かぐや〜:「か、勝ち馬……!」
マリア:「そうよ。私はね、いつだって、一番有利な場所に立つために、あらゆる方面に恩を売り、中立の立場を保ってきたの。グランを放置していたのも、第三王子に興味を示さなかったのも、彼らに力がなかったから。でも、状況は変わった。ここで帝国の連中を敵に回せば、せっかく目の前に転がり込んできた勝ち馬を、自ら蹴り飛ばすことになるじゃない。しかも、帝国からも本格的に命を狙われるという、最悪のおまけ付きでね」
〜かぐや〜:「(こ、怖い……! この人、全部計算ずくだったんだ……!)」
マリア:「それに、リナを探すのは骨が折れそうだったし? あの追跡のプロっぽい連中を利用できるなら、それに越したことはないでしょう? 私は、無駄な努力は嫌いなのよ」
〜かぐや〜:「な、なるほど……! 全て、納得いたしました……!」
マリア:「分かったのなら、よろしい。……ああ、それと、作者様?」
〜かぐや〜:「は、はいっ!」
マリア:「リナにばかり、いい格好をさせないでちょうだいな。この私、『聖女』マリアが、いかにしてこの泥船から華麗に脱出し、新たな世界で輝くか。そのあたり、しっかりと、魅力的に描いてくださらないと、困るわよ? ……ね?」
〜かぐや〜:「は、はいぃぃぃぃぃっ! お任せください!」
……というわけで。
聖女様直々に、ありがたい(?)解説をいただきました。
彼女の腹黒さ……もとい、聡明さと先見の明、皆様にも伝わりましたでしょうか?
リナちゃんとはまた違う、強かで魅力的な彼女の活躍にも、ぜひご期待ください!
それでは、また次のお話で!
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!
〜かぐや〜




