一三三年 二月二十一日~ ①
・アリオス歴一三三年 二月二十一日 クラースナヤ星系 大型巡洋船アクトウェイ
一大造船産業の盛んなジョスカボフ星域で、敵艦隊を刺激しないように迂回路を行くのに丸三日、ワープに六日の日数をかけてクラースナヤ星系へと辿り着く。
敵艦隊は、通過していくアクトウェイに対して再三の警告を行っていた。数光分の距離をおいて円形に移動していくアクトウェイとコンプレクターを追跡する訳にもいかず、いかめしい形相の男性将官が、古めかしい黒色の帝国軍軍服を身に纏っている映像だけが送られ続けた。
「星域内を航行している二隻のノーマッドに告ぐ。こちら銀河帝国軍少将、マルサミッドだ。ダハク星系連邦領宙は我が帝国軍の実効支配化にある。速やかに国内から退去せよ。さもなくば実力を以て排除する。繰り返す――」
「まだ見てるんですか」
ワープアウトから一時間。中央に年老いた恒星がひとつと、惑星とも呼べない小さな岩塊が多く浮遊しているだけの貧しい星系のホログラフを押しやり、イーライ・ジョンソンが言った。
リガルは立体映像投影装置で投影していたホログラフを消し、座席の背もたれに思い切り体重をかけて伸びをした。
艦橋ではクルーたちが、それぞれの時間に興じている。今の所、星系内には帝国軍艦隊およそ三百隻が停泊していた。ワープポイントから恒星を見て、左に三十度、およそ五光分の距離。クラースナヤ星系はお世辞にも恵まれている星系とはいえず、ワープポイントもジョスカボフ星域へ通じるものと、ダハク星系連邦の辺境へ通じるもうひとつのワープポイント、ベスタビ星系方面のものしかない。
「どうにも、あのマルサミッドとかいう指揮官の行動が理解できなくてね。行動に整合性が無いんだよ」
砲雷長は目をしばたたかせ、興味が湧いたのか、プリンストンが座っていた隣のオブザーバー席に腰を下ろした。彼は今、自室へと引っ込んでいる。報告書を書くためらしい。日誌のようにつけ、最終的にクライス・ハルトへ提出するのだそうだ。
このように、比較的、彼にこの船の中を歩かせているのも、リガルの思惑の内である。どこで破壊工作を仕掛けられるかわかったものではない、というのがアキとフィリップの意見であり、特に前者は常に彼を監視しているらしかった。
一度は、彼に対して神経過敏になりすぎないよう諭したリガルだったが、この船の管理AIでもあり、独立したひとつの人格でもある彼女に強硬に反対され、口をつぐむことにした。その理由の中に、リガルが生体端末である彼女を心の底から愛しているという一事も含まれるだろうが、この件に関して誰かに任せるとすれば、最も適しているのはアキに他ならなかった。彼女なら、彼から絶対に目を離す事は無いだろうし、他のクルーと違って隙を見せる事も有り得ない。
「具体的に、どこが引っかかるんですか? 俺としては、特に他に出来ることも無い軍人が喚いているようにしか見えませんが」
リガルは、一度は閉じたファイルを再び呼び戻した。先ほどよりも会話に支障が出ない程度に音量を下げ、その動画ファイルを二人の中間に浮かばせる。
「なんていうんだろう。確かに、マルサミッドからしたら、いつ銀河連合艦隊が現れるかもわからないこのタイミングで、持ち場を離れるなんて言語道断だっただろう。だが、それ以外の手も打てたはずだ」
「例えば?」
「例えば、この星系だ」リガルはクラースナヤ星系図を示した。「あそこに敵艦
隊がいる。こちらは完全な臨戦態勢でワープアウトした。デコイによる欺瞞も考慮し、敵艦隊の待ち伏せを切り抜けるごく短時間を生き延びるための対策をいくつも講じた。それだけ、敵がこちらの接近を感知しているものだと考えていたからだ」
砲雷長は腕を組み、星系図の一角を占有している銀河帝国艦隊を見つめた。その瞳の奥で、激しい思考が巡っているのを確かに感じる。
戦術家としてのイーライ・ジョンソンは、クルーたちの中でも特に秀でている。天賦の才を持つリガル程ではないが、その糸を理解し、根本に至る技にかけては並ぶ者無しだ。彼自身、リガルに心酔している部分もあるのかもしれない。
「そうなると、ジョスカボフ星域に駐屯していたマルサミッド少将は、クラースナヤ星系にある艦隊へ向けて通信を送らなかったか、それとも、この艦隊が身動きできない状況下にあるのか、そのどちらかということですね」
「俺が言いたいのはそういうことだ。だが、周囲を探索しようにも、周囲に散らばった氷と岩塊による小惑星帯が広がっていて、詳細情報が得られない」
「コンプレクターに連絡してみましょう。二隻なら、何かわかるかも」
「名案だ」
肘掛にある通信ボタンを叩くと、即座にハンスリッヒ・フォン・シュトックハウゼンが画面上に現れた。
長い金髪に白い肌。切れ長の目には青空を溶かしこんだ輝き。見るからに美男子だが、その口元に閃く不敵な笑みと、紫一色のけばけばしい服装が第一印象を悪いものとしてしまっている。
彼はアクトウェイで航海長を務めるジュリー・バック――本名、ジュリエット・フォン・シュトックハウゼンの実の兄である。彼らは旧銀河帝国における由緒正しい貴族、シュトックハウゼン家の末裔であり、本来ならば放浪者となるような家柄ではない。だが、様々な紆余曲折を経てアクトウェイに乗り込んだジュリーを取り戻すべく、ハンスリッヒはリガルへと戦いを仕掛け、彼はこれを退けた。その後、シヴァ共和国領宙、リゾート惑星として名高い惑星パールバティーで再会を果たし、確執が消え、二隻は行動を共にすることとなった。
今では、ハンスリッヒはリガルらの良き友であり、同志だ。
ジェイスの討伐。
少なからずの遺恨を抱えているのは、リガルよりも、むしろハンスリッヒであると言える。コンプレクターはパールバティー軌道上での戦闘で、ジェイスの駆る巨大な白い船に対して大きな損害を被り、クルーも死亡しているのだ。幸いにも、アクトウェイはアキのおかげで少人数によるコントロールが可能になっているから、大きな被害はなかった。
「やあ、リガル。なんだかんだで話すのは久しぶりだな」
相変わらず仰々しい口調だ。リガルは微笑みながら、四角い画面の中の彼へ語り掛けた。
「よう、ハンス。確かに久々だ。今度、またそっちへ顔を出そうか」
「そうだな、この敵地を抜けてからにしよう。それで、何の用もなく通信を送る君じゃないだろう? 言ってみろよ」
リガルは、いましたがイーライと語り合ったものを全て説明した。
「実を言えば、私もその懸念を抱いていたところだ」ハンスは自分の長い髪の毛の毛先をつまみ、「この星系には、何かがある。こう、首の後ろがぞくぞくするような何かがな」
「そちらのセンサーでは、何か観測できていないのか?」
「コンプレクターのセンサーは、総入れ替えしているとはいえ旧型だ。アクトウェイの物に比べれば、精度も範囲も落ちる。そちらで何も観測できていないのなら、こちらも同様だ」
「あのう、すみません。コーヒーです」
キャロッサが保温ポットをトレーに乗せて運んできた。二人分を差し出す彼女の華奢な腕から受け取ると、ハンスリッヒの笑みが大きくなる。
「やあ、キャロッサ。元気かい?」
「あら、ハンスさん。元気ですよ。気にかけてくださってありがとうございます」
「何よりだ。イーライほど、君を気にかけている訳ではないがな」
早速、蓋を持ち上げて熱いコーヒーを飲み下していたイーライがむせ返り、キャロッサは口をぱくぱくさせながら耳まで赤くなる。リガルは口笛を短く吹き、ハンスは大笑いした。
「何を言うんだあんたは!」
砲雷長の怒鳴り声を聞きつけ、セシル、ジュリー、フィリップ、そしてアキが、それぞれの座席から首をこちらに向け、妙に納得のいった表情で傍観を決め込んだ。
「嘘じゃないだろう、イーライ。まあ、それは置いておいて、だ。これからどうする、リガル? このままくっついて奥まで行ってみるか?」
「あ、ああ。そうだな。じゅうぶんに警戒しながらの航海になるだろう。どんな脅威にも対応できるように準備しておいてほしい」
「そうしよう。ではな」
映像が消える。何とか笑みを堪えてリガルが正面に向き直った時、イーライがポットを握りしめたまま俯いた。
キャロッサが、彼の肩に手をかけている。お互いに動揺しているものの、その心の底にあるものは確かなようだ。なんとなく朗らかな気分でポットを傾けると、キャロッサが顔を上げた。
「リガル船長は、アキさんとはどうなんです?」
「げぶっ」
熱い液体が喉を逆流して、意味不明な叫びが上がる。してやったりと笑みを浮かべているイーライとキャロッサを尻目に、近づいてきたセシルがハンカチを取り出した。
「汚いわねぇ。何してるのよリガル」
「すまない。まったく、君はとんだ食わせものだよ、キャロッサ」
「はい。私、やられたらやり返す女なので」
さらりと言ってのける彼女の横で頷きながらも、イーライは少し顔色が悪い。
後ろのオブザーバー席に控えていたアキがやってくる。
「どうかしましたか? 私の名が聞こえた気がしましたが」
「ああ、アキ。君に聞きたいことがあったんだ」
「おい、やめ――うわっ」
イーライが手招きをし、リガルが止めに入る。彼の口を、セシルがハンカチで塞ぎ、不思議そうにその様子を見つめているアキが小首をかしげる。
「仲がいいのですね、セシル」
「ええ、まあね。それより、イーライに答えてあげてちょうだい」
「わかりました。それで砲雷長、私に何を?」
「ああ、そうだな。アキ、君は船長のことが好きかい?」
直球だ。いつの間にか、フィリップとジュリーが話をやめてこちらに耳をそばだてている。キャロッサは上目遣いでアキを見つめ、セシルはもがくリガルの腕と口を押え、イーライはかつてない緊張に喉が渇くのを感じた。
しばしの沈黙の後、アキは瞳を閉じる。長い睫毛が、どこまでも繊細で、何よりも儚かった。
「私は、この人を好きだと思います」
彼女の告白に、リガルは顔を赤く染め、フィリップとジュリーはガッツポーズ。イーライとキャロッサは所在無さげに視線を泳がせている。
「私は、この人に好かれています」彼女は黄色がかったブラウンの瞳を開き、「今は、それに応えられる様に勉強しているところです。これで質問の答えになりますか、イーライ?」
「申し分ないよ。すまない、アキ。少し悪ふざけが過ぎたようだ」
「構いませんよ。あなた方に隠すことでもないのですから」
優しく微笑む彼女に見とれていると、火照った顔を手で仰ぎながらセシルが言った。ようやく解放されたリガルが、軽くむせる。
予想外の返答だった。リガル自身がそう感じていた。しかし改めて考えてみれば、現状を正確に伝える最も彼女らしい答えであったことは間違いない。
アキは静かに呟いた。
「いいものですね。こうした言葉も」
五時間後。
クラースナヤ星系内の小惑星帯を、慣性航行していたアクトウェイに警報が鳴り響く。
睡眠シフトだったため、クルーたちは自室で飛び起きた。リガルも例外ではない。手狭だが整頓された船長室のベッドで身を起こし、シャツの上から航宙服の上着を羽織ってブーツに足を突っ込んだところで、アクトウェイが揺れる。
即座に艦内放送が響き、アキの冷静な声が響いた。彼女は決して慌てない。だからこそ、こちらも安心して対応できる。
どうやら未確認船からの砲撃を受けた様だ。右舷、及び左舷下部PSA装甲に被弾。損害は極めて軽微。現在はジュリーが組み立てていたプログラム通りに回避機動を実行中。
部屋を出てエレベーターで上がると、艦橋まで続く短い通路に出る。飛び込むと、既にセシルとフィリップが席に着いていた。アキがちょうどオブザーバー席に座るところで、リガルへと軽く会釈する。
二人はコンソールを操作しながら、ハッチから駆け込んでくるリガルへと状況を報告した。
「船長、少なくとも三方向からのエネルギービームによる攻撃を観測。現在も同様のパターンで砲撃を受けています。周辺に複数の人工物反応」
「被弾個所は複数だが、被害そのものは大したものじゃねぇ。回避機動も上手くいってる。この調子ならいくらでも耐えられるぜ」
「了解した。セシル、敵の正体が何かを突き止め、周辺監視。フィリップ、PSA装甲よりも機関出力をプラズマ反動エンジンへ向けろ。アキ、帝国軍艦に動きは?」
「今の所、ありません。二時間前と同じ軌道を維持」
その時、イーライとキャロッサが飛び込んで来た。後から、落ち着いた足取りでプリンストンが入り、最後にジュリーが頭を押さえながらやってくる。額が赤い所から察するに、ベッドから転がり落ちでもしたのだろう。
豪放磊落な彼女でも、元を辿れば淑女の血筋だ。一度、リガルは彼女のしおらしい姿を目の当たりにしたが、その根幹にある彼女らしさ――仲間思いで恥ずかしがりやの部分は変わりなかった。
「ジュリー、回避機動をアキから引き継いでくれ」
「あいよ」
「イーライ、砲門開け。いつでも砲撃できるように準備だ。特に対空レールガンを展開しておけ」
「アイアイ・サー」
「船長、コンプレクターから通信です」
「つなげ」
座席の正面に、ハンスリッヒの顔が浮かぶ。戦術図を見れば、コンプレクターはアクトウェイの機動に合わせて猛烈な回避機動を取っていた。
「リガル、どうする。敵の位置がわからん」
「こっちもだ。とにかく炙り出す。二手に別れよう。多方向からの情報で位置を割り出す」
「了解した。沈むなよ」
「そっちもな」
ホログラフが消えると、再びアクトウェイが揺れる。ジュリーが音高く舌打ちを漏らし、フィリップの怒号が飛んだ。
「さっきと同じ個所に被弾した! 偶然でもなけりゃ、相手はとんでもねぇぜ!」
「ジュリー!」
「わかってるよ!」
彼女の指がコンソールの上で止まることはない。流れる様な指捌きは、まるでピアノを弾く奏者が如く。
アクトウェイが横転する。さらに加速、原則を織り交ぜ、ピッチ、ロール、ダウンを繰り返す。慣性補正装置は最大限に働き、クルーたちの身体が座席へと押し付けられたり、ベルトが食い込むほど宙に浮くほど激しい機動を展開しているというのに、いくつものエネルギービームがアクトウェイを確実に追い詰めていく。
加えて、この小惑星帯の密度の高さだ。センサー類は百パーセントの性能を発揮できないばかりか、敵の姿は小さく、そもそも捉えることができない程に素早い。
しかし、セシルの懸命な捜索がようやく実を結んだ。彼女はデータを掴んで放り投げ、リガルの目の前に表示させる。
「敵、捕捉。目標は全長五十メートル程度の小型飛翔体。数は四。どこからか飛んでくるエネルギービームを反射させることで、多方向からの遠隔攻撃を可能としていると思われます」
そうなれば対策は容易い。実行は容易ではないが。
「よし。セシル、敵の小型飛翔体へと伸びるエネルギー反応を追え。それらが収束する一点が、敵の位置だ」
「やってます! でも、小惑星が多くてノイズがひどい!」
コンプレクターとのデータリンクも機能している様だが、お互いに正確なエネルギー反応を追う事が出来ず、二点観測の有利を生かしきれないでいる。遠隔攻撃はコンプレクターにも及び、あちらは小刻みな回避機動でどうにか事なきを得ていた。機関出力で劣るため、防御力はアクトウェイに及ばない。
状況を打開せねばならない。リガルは肘掛を強く握りしめた。
敵の位置がわかれば、対処はいくらでもできる。そして敵の位置を知るためには、無駄な行動をとらせる事が一番だ。
無駄な行動。それは即ち――
「イーライ、デコイ射出。アクトウェイと軌道を〇、一度ずらし、欺瞞効果を高めろ。セシル、デコイを攻撃する敵のエネルギービームを見逃すな」
「わかりました」セシルが忙しなく画面を操作しながら頷く。
「射出完了」イーライが落ち着いた声色で報告した。
アクトウェイを中心に四機のデコイが放射状に広がっていき、軌道を交錯させたと同時に弾けた。軌道がコンマ一度違うだけでも、地上とは想像を絶する程に速い速度で移動する宇宙船は、まったく別の場所に移動してしまう。
敵の小型飛翔体が閃く。小惑星の間を潜り抜けて、どこからかやってくるエネルギービームの青白い筋を反射、デコイを撃ち抜く。一機、二機、三機……
「敵位置、判明!」セシルが叫び、艦橋の全ての星系図、戦術図に情報を反映する。「本船の後方、百十二万キロ。コンプレクターにも座標送信しました」
「よくやった。これで、後はハンスがなんとかしてくれるだろう」
そう胸を撫で下ろした次の瞬間、コンプレクターがジャンプする。
星系毎の重力の歪みを利用したワセリージャンプとは異なる、純粋なエネルギーの大きさで超空間への通路を開く実験船であったコンプレクターは、一定の距離ならば自由に超光速移動を行う事が出来る。
ハンスは、絶妙な位置にワープアウトしていた。敵船の左後方、ほど近い位置にコンプレクターが出現する。既にアキが望遠カメラで捉えている敵船の映像は、不鮮明でありながら、その形をはっきりと見て取ることができた。
そして全員が息をのむ。
「あれは、グローツラングだ。どうしてこんな所に」
イーライが言った。
グローツラング。放浪者ランキング一位ランカー、ジェームス・エッカートの駆る、宇宙最高の船のひとつ。
こんな所で出会えるとは。リガルは笑みが浮かびそうになるのを堪える。
帝国軍艦隊が、何の動きも見せずにいる理由は、恐らくはグローツラングの存在があるからだろう。この小惑星帯の中で、正確に、多方面からの攻撃を可能としている放浪者の船一隻に、三百隻の敵艦隊が為す術もなく、密集隊形のまま周囲を警戒する事しか出来ない。
「願ったりだ」リガルの不遜な発言に、クルーたちは正気を疑うも、「その力、見せてもらおう」
背後に回ったコンプレクターが、艦首を傾けて砲撃を始める。グローツラングは驚いた様だが、すぐに進路はそのままに、慣性で流されながらコンプレクターと正対する。
概算で二千メートルに迫る巨大な船が、ほとんどアクトウェイと同じ規模を誇るコンプレクターと正面から砲火を交える。正しく、素早い判断だ。コンプレクターは旧式で、パワーコアを強化しているとはいっても限界がある。正面切っての砲撃戦はアクトウェイの方が得意だ。ジェームス・エッカートは名声に違わぬ素質の持ち主の様だ。
グローツラングがコンプレクターを相手にしている間、アクトウェイも攻撃を加えるべきであるが、周囲を飛び回る飛翔体が蝿の様にアクトウェイに群がっている。グローツラングの副砲、荷電粒子砲を反射し、あらゆる角度から砲撃を受ける。狙う個所は、先ほど被弾したものと同じ部分だ。正確無比で執拗な戦闘。二隻を相手にしつつも、装備と戦術でこちらを寄せ付けない。




