一三三年 一月十六日~
・アリオス歴一三三年 一月十六日 レイズ星間連合 アステナ特務艦隊
カプライザ星系は、レイズ星間連合とバルハザールの国境に接する宙域であり、三つの惑星を持つ、比較的豊かな経済を有している。
第一番惑星は、恒星に近すぎるために人が居住できる環境ではない。第二番惑星は地球に似た環境を有しており、星系内の多くの人間がここに住まう。第三番惑星は氷で覆われた不毛な星で、主に資源採掘、この星の主要産業を営んでいた。
レイズ=バルハザール戦争が集結してから、まだ一年と経っていない。
バルハザールは、長きに渡る内戦の終結により、疲弊した国内では早急に経済の立て直しと、膨れ上がった軍部による政治圧力。共和制への移行は遠く、民衆は厳しい生活を強いられていた。
国内情勢の逼迫は、必然的にその眼を内から外へ向けさせる要因となる。幸か不幸か、隣国には、不景気に煽られつつも、より民主的で過ごしやすい国として成長しているレイズ星間連合があった。それに、隣の芝生は青く見えるものである。困窮した人間にとって、気になるばかりは他人の栄華。自らの汚れを濯ぐことは後回しにしがちであった。
しかし、内戦で戦力も減少した国家軍隊が他国を侵略できるほどの戦力を抽出できようはずがない。
そこで、ジェイスが仕掛けた企みが、二〇〇隻の無人艦隊をバルハザール宇宙軍へと供与。これにより大幅な戦力増強を行った宇宙軍はカプライザ星系へと侵攻、レイズ=バルハザール戦争の開戦となった。
今回はまったく逆の行為、つまり侵攻することとなった。
バレンティア航宙軍第三機動艦隊は、バルハザール本拠星系を根城とし、周辺星系の要塞化を進めている。これはレイズ星間連合情報部の行った調査と、敵性星域から発信される協力的な民間情報提供者――主にノーマッド――から送られてくる情報を総合的に分析した結果、判明した事実だ。
ノーマッドからの情報は、普段からでもあまり期待できるものではない。というのも、情報には二種類あり、それは高低の信憑性で分けられる。今回の場合、第三艦隊はバルハザール国内における、彼らの認可した航宙船以外の航行を禁止している。
多くの帝国軍兵力が実効支配している宙域において、同様の措置が取られている。これに対し、放浪者は抵抗するか、他の宙域へと逃れている。特に、ノーマッドランキングの上位に叙せられている者たちはこの大戦を腕試しと捉えているらしく、多くの者が帝国軍に挑み、そして散っていた。
しかし、だからといって、彼らの提供する情報の確度を、疑いもせずに信用するのは愚策というものだ。故に、情報部とノーマッドからの情報を突き合わせて、相対的に裏のとれたものを信用する。
「敵はこちらを迎え撃つつもりですね」
すっかり様変わりしたラディス大佐が言う。まだ若い面影は残るものの、特務艦隊の中ではバルトロメオの右腕としての地位を既に確立している。未熟な部分は散見されるが、戦後、第三艦隊参謀部で多くの戦後処理を経験し、すっかり自信がついたと見える。
アステナは、ラビーニャ級戦艦、旗艦ハレーの会議室で頬杖をつきながら唸った。
「バルハザール宇宙軍の所有する自律防衛システム、これが大盤振る舞いのごとく、本拠星系を囲む四つの星系に配備されている。どれもバルハザールらしい、貧しい星系ではあるが……ここで第三機動艦隊を撃破できれば、戦況は大きく好転する。それに、もうレイズ国内を戦火に晒すわけにはいかない」
「攻勢防衛ですか。閣下らしい理論です。攻撃は最大の防御というわけですか」
「少し、違うな。攻撃している間、敵は防御に回らざるを得ない。つまり、防衛の目的を知らず果たしていることになる。さらには敵兵力の弱体化によって、戦争終結までもが見えるだろう。原因と結果が、偶然重なっただけだ」
幕僚たちが頷く。バルトロメオが咳払いし、立体映像投影装置によって、バルハザール国内の戦略図を空中投影した。
「我々は現在、カプライザ星系にいる。ここからバルハザール本拠星系までは、四回のワセリー・ジャンプを行う必要があります。特に、本拠星系と周辺の星系は、特段の防備が組まれていると考えられ、第三機動艦隊の所在は、現在を以て不明です。星系四つとなると、こちらの補給線も長大なものとなり、どこから敵が襲ってくるのか、また、補給線を警備する艦艇にも乏しい我々にとって、最低限のジャンプで敵艦隊と接敵、これを撃滅する必要があります」
「既にバルハザール領宙は敵地。これで索敵を行う必要がある。それだけでなく、余計な物資を消費しないためにも、迅速に艦隊を移動させねばならない」
「しかし、索敵を万全とするなら、艦隊の足を止めるしかない、と。厄介な問題ですね」
バデッサが顎を抑え込みながら言う。隣に座るリオ准将が、額を指でひっきりなしにこすりながら頷いた。
「攻守は両立しません。これを適宜切り替えていくしかないでしょう」
「というと、どういうことだ?」
「閣下、敵地を占領するのです」リオはコンソールを操作し、カプライザ星系の先にある星系をホップアップ表示した。「幸いにも、バルハザールとレイズの国境宙域は、このラビスツカレ星系のみ。他は、艦隊を保ったままワープアウトすることができない遠距離跳躍になります。ここに陣を構えて、第三機動艦隊を待つというのはどうでしょうか。そうすれば、偵察もしなくて済みますし、ワセリー・ジャンプとそれに伴う燃料消費、補給物資の消耗を抑えることができます」
「補給線も短くて済むな。だが、敵が攻撃してくるという保証はあるのか? 私なら、敵が帰るまでそこに留まらせておくが」
「リオ准将には確かな策があるようだぞ、参謀長」
アステナが言う。
「リオ、君が言いたいのはこうだ。敵は宇宙をくまなくわたって国々を蹂躙するという、戦略的に無謀な選択をしなかった。それは諸外国が敵対勢力と化したからだ。バレンティア本国では機動艦隊がクリシザルの動乱を収めている最中であり――もしかしたら終わっているのかもしれないが、ここで我々が敗れる訳にはいかない」
「敵はこちらが後に引けないとわかっているのに、わざわざ攻撃を仕掛けますか?」
「そこが盲点だ。敵の司令官はベルンスト・アーグナー中将。機動艦隊の序列第三位まで上り詰めた男だ。彼なら気が付くだろうポイントがひとつある。それは――」
バデッサが手を叩いた。
「防衛不利ですね。我々は自国内への敵の進入を防げばいいが、敵軍からしてみれば見知らぬ土地での防衛戦。生き残っているバルハザール宇宙軍は、バレンティア航宙軍に良い印象を抱いてはいない筈です。戦争を終結させたのは彼らですから。そうしたバルハザール国内にいては、後々、四面楚歌の状況ともなりうる」
「そうだ。所詮は一個艦隊。時間が経てば、間違いなく戦況は銀河連合軍側に傾くだろう。その時に本隊と離れてバルハザールに籠城するのは、包囲殲滅の機会を与えている様なものだ」
「敵軍の主力は何処にあると思われますか、閣下。バルハザール国内でないのは確かですが、ロリアとクリシザル、敵は主力をどこへ移動させているのでしょう?」
バルトロメオが問う。アステナは顎をさすりながら、ホログラフを操作して、自分の手でオリオン椀の宙域図を呼び出した。
オリオン椀の細い腕に向かう方向を南、銀河系中央部へ向かう方向を北としたばあいの方位が描かれている。その中で、中腹付近の搭載に位置するシヴァ共和国とバルハザール、北にあるクリシザル、南に位置するロリアを中心として、赤い染みが歪な形を保って広がっていた。無論、これらは銀河帝国軍が占領、支配している宙域を示している。この武装蜂起自体が、途方もない時間をかけて練り上げられたものであることをうかがわせる、見事なまでに洗練された電撃戦。あっという間にこれだけの星々を占領したのは、あとにも先にも彼らだけだろう。その総数が何千隻に上るかはわからないが、膨大な兵力をどこかに蓄えていたことから、秘匿された軍事施設がいくつか眠っていることは間違いない。連合情報部はその筋でも調査を進めているが、現段階で目立った成果はあげられていなかった。
「敵の主力部隊は、私の推測であれば、ロリアへ集結していると考えられる。なぜなら、ロリアは旧銀河帝国領に属している。彼ら帝国軍の悲願があるとすれば、それはバレンティアの打倒か、帝国の再建だ。そのためにも、主力部隊はロリアへ向かうだろう。そうすれば、どちらの目的を果たすにも、時間的余裕や地理的優位を保てる」
「ともなれば、尚更、この国での動乱を収めねばなりますまい」同席していた、旗艦ハレー艦長、ブルックリン大佐が、珍しく口を挟む「もう二度と、祖国たるレイズに戦乱を持ち込ませはしません。私の家内は、メキシコ星系出身です。帝国軍ごときに、二度とレイズの星を拝ませるものですか」
「よくぞ言った!」
会議室内に、同意の声が雄々しく上がる。アステナはその様子を冷ややかに眺めた。
この勢いにはついていけない。だが、士気が高いことは予想外だ。敵に回ったとはいえ、五百隻の威容と、大きく進んだ技術というアドバンテージを有する敵に対して、こちらは三八二隻。分が悪いにも程があるが、戦いようがない訳ではない。
リオの作戦を採用するべきか、どうか。彼女の言外にある意味には、ラディスもバルトロメオも、バデッサですら気づいていないであろうが、それはこの艦隊への不安をも含んでいることに、アステナは気づいていた。
第二艦隊、第三艦隊と、各地の重装備を誇る警備部隊をかき集めたこの艦隊は、彼自身は認めないが、指揮官であるレイズ・バルハザール戦争の英雄、アステナ・デュオ中将の名声に糾合されている部分が大きい。
それ故に、このように未熟な艦隊で、敵地の奥深くまでを侵攻することは、得策とはいえない。戦中と違い、確かに、アステナと共に第三艦隊として戦った船も多いが、それ以上に新参者が含まれている。
徐々に慣らすべきか。しかしそれでは時間の浪費にしかならない。この戦争は長引かせるべきではないから、兵士たちの練度を上げつつ、敵地での不利を退け、寝返った第三機動艦隊に勝利しなければならない。
会議室が、知らぬ内に沈黙する。暗澹とした不安がその代りに座する前に、アステナは大きく息を吸い込み、吐いた。
「リオの案に修正を加えよう。ラビスツカレ星系よりひとつ先、資料によればバルハザール宇宙軍の造船工廠が新設されたニスタビツ星系、ここに陣を構える。ラビスツカレ星系には、三つのワープポイントがある。それらの内、カプライザ星系とニスタビツ星系へ続くもの以外のひとつを、機雷で完全に封鎖する。万が一にも民間船に被害が出ぬよう、ラビスツカレ星系からその星系へと一隻にジャンプしてもらい、警告を発信する。さらに、その一隻にはラビスツカレ星系に戻り、万が一、敵のECMが行われた場合に対しての通信中継役となってもらう」
最終的に、アステナが提示したその作戦計画を、幕僚たちは承認した。
最善は、ニスタビツ星系で第三機動艦隊と遭遇せず、敵が籠城したまま、どこかの機動艦隊が彼らを討伐することだ。そうなれば、レイズ星間連合としてはハッピーエンド。犠牲者も出さず、安全に周囲の宙域を固めることができる。シヴァ領宙にいる第一艦隊、カルーザ・メンフィス准将は上手くやるだろうし、明るい報告も手元に届き始めている。
マットスタッド大将が首都にある。少ないが、数十隻の予備部隊を残してきた。いざとなれば星系を上げての防衛戦も可能。後顧の憂いは払えるだけ払ったつもりだが、それでも不足であることには変わりない。
だが行かねばならない。アステナは冷を飲み干し、幕僚たちの敬礼を背中に受けながら会議室を後にした。
・アリオス歴一三三年 一月二十二日 ニスタビツ星系 特務艦隊
警報が鳴り響く。即座にオペレーターが叫び、艦隊に緊張が走った。
「敵影見ゆ」
光ケーブルから、中枢AIが即座に処理をした戦術図がアステナの前に投影される。
ニスタビツ星系は、G六型の恒星を中心に二つの惑星が公転している。ひとつは七光分、ふたつ目は十二光分の位置を周回。その中間、十光分の位置を小惑星帯が埋めていた。
第一番惑星は、比較的恒星に近い距離にあるが、恒星の光が弱いためにほとんど地球と同じ環境を維持している。第二番惑星は岩石だらけの、衛生を四つ従えた資源惑星で、おもに造船事業は第二番惑星を中心に行われているらしい。小惑星帯にも多くの資源が眠っているのか、採掘用の小型ステーションもちらほらとレーダーに引っかかった。
そして、奥の本拠星系方面へと続くワープポイントの正面から、真っ直ぐにこちらへと移動してくる第三機動艦隊の姿があった。数は三〇〇。全部隊を集結させたわけではないが、レイズに残っている戦力を考えれば妥当な数だろう。彼らはバルハザールの防衛も行わなければならない。それが建前として、バルハザール宇宙軍を沈黙させている要因のひとつなのだろう。
逆に言えば、彼らの信頼を失墜させることができれば、バルハザール国軍を味方に付ける事も可能かもしれない。しかしアステナは余念を払った。レイズ=バルハザール戦争、それ以前のバルハザール内戦への銀河連合軍による治安維持、停戦協定のお膳立て。軍事介入にレイズが参加した経緯までをも考えると、冷静にバルハザール軍がこちらに協力するとは思えなかった。ただでさえ共産主義的な支配欲と、内戦で生き残った古狐たちが住まう集団だ。こちらから頼ることは考えない方が身のためだろう。
「残りの二〇〇隻は、治安維持のために分散配置されていると考えたほうがよさそうですな」
バルトロメオが、指揮卓に座るアステナの耳元で囁く。
「どうだろうな。こちらは三八〇隻強。性能差を鑑みればじゅうぶんに撃破可能だと考えたのかもしれん」
「こちらの情報は、敵にどれほど伝わっているでしょうか」
「わからん。だが、敵がこちらの情報を持っていなかったとしても、ここにいる船がレイズにとっての全戦力であることは少し考えればわかる」
問題は、いよいよ艦隊同士の正面決戦が避けられないということだ。
アステナは星図を眺め、顎を抑えて考え込む。
といっても、戦術はひとつしかないが。
・アリオス歴一三三年 一月二十二日 ニスタビツ星系 第三機動艦隊
「姑息な奴らだ」
ベルンスト・アーグナー中将は、バレンティア航宙軍の灰色をした軍服に身を包み、その胸に飾った勲章を撫でた。
これらは全て、バレンティア首相より授与されたものだ。多くが海賊討伐、中小国の紛争介入によって受賞したものである。クリシザル領内での大規模な海賊船団を討伐した事も、バレンティアへと攻撃を仕掛けようと、多くのならず者の放浪者が集まり、それを鎮圧したこともあった。どれも、バレンティア情報軍から確度の高い情報を得、ジョン・テイラー機動艦隊司令長官より直々の命令を受けたのである。
その彼が、こんな辺境の星系で、四百隻にも満たない艦隊を相手に足踏みを強いられていた。
(あの艦隊は、恐らく第二、第三艦隊を糾合したものだろう。司令官は誰だ?)
特務艦隊は、小惑星帯の中へと三手に別れた。第一番惑星と恒星を挟んで反対側の一帯に潜んでいる。既に数は定かではなく、慣性航行に入ったため、今は戦闘母艦の精密な光学機器を駆使した判別作業を行っているところである。
小惑星帯には細かい岩石や氷が多い。多くの資源が眠っているだけに、量子通信波を用いた長距離レーダーは感度がかなり落ちる。大方の居場所がわかるというだけで、索敵には重大な支障をきたしていた。特務艦隊の位置情報は既に「LOST」の四文字で、最終観測地点を最後に、歪んだ円形で予測位置座標が示されているだけである。
このままニスタビツ星系を通り過ぎ、レイズ星間連合へ侵攻してもいいのだが、そうした場合、敵に後背を突かれる形となる。追いつめる側から追いつめられる側になる訳だ。第三機動艦隊は謀反の徒である。レイズへ深く進攻して、そのまま無事に戻って来られる保証はないばかりか、補給拠点をバルハザール国内に置いている現在ではあっという間に弾薬と燃料、食料が尽き、戦わずして白旗を掲げることになる。不名誉な泥へと投げたこの身でも、武人として敗北の雪辱を舐めることだけは避けねばならない。
大義のためならば、裏切り者の汚名は喜んで着よう。だが、その上、負け犬と揶揄されてはかなわない。それは意地の次元ではなく、名誉と誇りの問題だ。
アーグナーは、目前とする戦力の殲滅を最優先とすることに決定した。第三機動艦隊は舳を小惑星帯へと向け、大きく広がる、大小様々な障害物の漂う雲を突っ切っていった。
理由はひとつ。レイズ星間連合宇宙軍は、伝統的に戦闘艇を運用していない。その戦力を機甲艦隊、重装備の軍用艦艇に保っている。それだけに、周辺中小国の中では珍しく、正面切っての艦隊決戦を想定した運用思想を持っている。ともなれば、敵司令官の思惑は見当違いも甚だしいと言わざるを得ない。機甲艦隊の性能を生かしきれないのだ。小惑星帯の中での近接戦闘ともなれば、戦闘艇部隊を有する第三機動艦隊が圧倒的に有利である。
三〇〇隻の巨艦が、そろりと小惑星帯を突っ切る。一度、恒星から緩やかに離れる方向へと加速し、特務艦隊の主力部隊が潜んでいると思われる小惑星帯の一部分へ向け、再度進路を変更する軌道を取る。相変わらず、敵艦隊の所在を示すのは大きな円のみだが、近づくことと、時間を経ることによって、解析が進み、確実にその円は縮小されていく。じわりじわりとではあるが、この小さな誤差が今後の戦局を揺るがしかねない。かといって一喜一憂する程でもない。微妙な精神状態を強いられ、アーグナーは志を同じくする部下たちの前で、平静を装う事に神経をすり減らした。
二時間が経過する。ニスタビツ星系へとワープアウトしたばかりであったため、第三機動艦隊は長い間の移動を行わなければならない。この時間は、耐える時間だ。華々しい戦闘は、軍事の中でほんの数パーセントに満たない。多くは移動、補給、情報収集など……ありとあらゆる仕事で構成される。故に、移動すらも満足にできない兵士に、戦う資格など無いのだ。
機動艦隊は、この点を徹底的に鍛え上げられる。移動、補給など。最高の戦闘力を誇る機動艦隊が敗北し得るとすれば、それは兵站面での戦いだ。補給線を叩く敵艦隊、移動すらも。絶大な破壊力を戦闘で発揮するために、それをお膳立てする全ての部分に気を配るのだ。
だというのに、この焦燥感はなんだろうか。アーグナーは長い軍務からくる勘が、脳裏で危機を囁いてくるのを感じていた。




