79.コミケ ①
――わいわいと賑わう会場。
コミケの開催、俺たちは会場での準備に取り掛かっていた。
「えっと、これは......こっちかな?」
「そこだと見栄えがよくないでござる......こっちのが、ほら人目につきやすい」
「お、ほんとだ......さすが太一」
太一は結構な場数を踏んでいるらしく、要領良くどんどんと作業を進めていく。
ちなみに前回の販売実績があるらしく、人気のサークルが配置されると言われている、壁に配置されていた。
「お兄ちゃん......でもこれ、大丈夫なの? こんな大量に発注してさ」
雪がひきつった笑いを浮かべながら、指差した大量の段ボール。
さっき同じ事を太一に聞いたら、「いやあ、すまんすまん。 慌ててたから発注ミスったわ~。 ごめ~んねッ☆」とか言ってた。
まあ、俺が締め切りギリギリのギリになってしまったと言うのも原因のひとつだろうし、なんもいえないけど......言い方が煽り気味なのはなんでなん!?
「し、しかし、すごいですね、人がたくさん......」
「あ、金見さんも初めてですもんね、コミケ......俺も少しビビってます。 あはは」
一緒に真城家で遊んだ日、金見さんがコミケの話題を出し、その流れでお手伝いに来たいと申し出てくれた。
仕事の休みも奇跡的に重なり、二人で会場へ出向くことができた。
「春音ちゃん、本当に来てくれてありがとー! なまら嬉しい!」
「私も雪ちゃんと来られて嬉しいよ!! 頑張って売るからね!!」
「うんうん、がんばろーね!!」
微笑ましいことこの上ないな。見てるだけで幸せになれるなんて、この二人くらいのものだよね。
あの空間にいると、病気とか治りそうなくらいの癒し効果がありそう。
「あ、そうだ、一樹」
「ん?」
「こないだの、秋乃の事だけど」
「ああ、あの女子高生か......今日、会場に来てるんだな?」
「そうだ。 だから......頼んだぞ」
「わかった」
俺が彼女、Akinoこと、神木 秋乃さんとコンビニで出くわし話をした夜、太一から変な奴に絡まれんかったか?と連絡がきた。
そこで明かされた、二人の約束......雪のイラスト技術を向上させるかわりに俺と戦わせると言うもので、それを今回のコミケ作品で行う事になっていた(いつの間にか)。
けれど、太一は言わなかったが、きっとそれも俺が小説に雪のイラストを載せたいと言ったからだ。
雪のイラストのレベルをあげるために、太一の考えた最善。
だったら、いつの間にか決められていた勝負でも、俺は受けるしかない。
って、言っても作品は完成しているから......頼んだぞって言われてもな。
「お久しぶりですわね。 noranuko」
「! あ、Akino......」
ニヤリと笑みを浮かべ、仁王立ちで目の前に立つ美少女が一人。
彼女こそ、なろうの一位の座を長くも守り続け、そこへ座していた実力派作家、Akino。
しかし、俺はどうにも彼女を直視することが出来なかった。
「どうしたのかしら? 戦う前から目をそらすだなんて......情けなくてよ? noranuko」
「あ、いや、その......露出が」
そう、めちゃくちゃ露出度の高いコスプレ姿だったのだ。ゴスロリ系のドレスで、胸の谷間が露になっている。とてもじゃないが直視はできない。
見てたら捕まるんじゃないの?ってくらい露出してるんすよ、マジで。
「ふふん、私のコスプレが魅力的過ぎると? そんなに恥ずかしがって、可愛いわね」
いや、俺年上だぞ!!つーか33のオッサンにたいして可愛いだと!?このっ......ありがとうございます!!
その時、太一が横から口を挟んだ。
「秋乃......お前、俺を変態呼ばわりしてるが、お前もじゅうぶんそのけはあると思うぞ」
「!? ば、バカ言わないでくださいます!? あなたと一緒になんてしないで!!」
なんかこっちもこっちで仲良いな?
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