45.白い空
「......ふう」
あれから二週間。俺はなろうでの連載と書籍化作業、本職の配達業におわれてとんでもなく多忙な生活をおくっていた。
特に本職の配送の方は、年末が迫ってきた今、時期が時期なので小包等の増加により休憩時間もほとんどないレベルの忙しさだ。
「さすがに疲れてきたな......」
コキッと傾けた首がなる。
しかし、最近何かがおかしい。忙しさとそのストレスで神経が昂っているせいか、職場内外関係なしに異様に視線を浴びている気がする......いや、最近でもないけど。
前はまるで空気のように居られて気持ち楽だったはずの職場。しかし今では気がつけば側に社員がいて、その視線を感じる。
俺に注目、てか、いじろうと関わってくるのは槙村くらいなのだが、今は他の社員も近づいてくるようになった。金見さんは別として。
ある日には、「その小包の量すごいですね、大丈夫ですか?」や「それ私やりますか?」だとか「ここわからないです~。 教えて貰えませんか~」などなど、声をかけられる事が。
どれもこれも以前ならば考えられなかった事だ。
最初の異変としては金見さんにカットしてもらった時。
次の日に出勤すると、今までに感じたことのない程の視線を皆から浴びた。まるで透明人間が元の姿を取り戻した如く、認識され始めた......そんな気分だった。
今までの俺は空気。 そう、俺は空気だった。
いてもいなくても仕事は回る。そんな存在。存在価値のない、存在感のないひとつの労働力。いればまあ、多少楽かなくらいの。
けれどこれはどうだ?誰も彼もが俺に関わろうとしてくる。
小説家などとも明かしてはいないのに......。
金見さんは俺がイケメンになったから、だと言った。
答えはイケメンになったから、か。イケメンと言えば槙村が最近敬語になったな......あれもこれのせいか?
なんにせよ、仕事がやりやすくなったのは良いことだ。
こんな風にダイエットに協力してくれて、髪までカットしてくれた金見さんには本当に感謝している。
あのまま脂肪を貯蓄していたらどうなっていたやら。体力も限界をむかえ、書籍化を打診されても気力が起きず流れた可能性すらあっただろう。
......食生活もそうだ。いや、ネガティブ思考になるこの性格すら矯正してくれてるし。
「......俺、金見さんがいなかったら、ここまで来られてなかったんだよな」
前にも思ったけど、俺、金見さんに助けて貰ってばかりだ。
かえせるもの、また考えなきゃな。こんな俺にかえせるものがあれば、の話ではあるが。
つーっと窓に雨粒が垂れた。
スマホが光っている。集中して原稿をなおしていたせいか、鳴っているのに全然気がつかなかった。
お相手は、真城さんか金見さんか。......あ、あと真城(兄)さん!この間連絡先交換したんだった。
誰だ......あ、真城(妹)さんだ。
『やほやほー! 一応師匠からは合格もらえたよん。 これからT☆itterとpexivにイラストを投稿しはじめるからね! 前にたてた作戦よろしくー!』
! は、はやいな。まだ修行はいって三週間くらいだぞ?そんなもんで商業レベルのイラストにできるのか......?
あ、でももともとイラストすごく上手かったから、それほど時間を要しなかったのか?
わからん。わからんけど、これで......作戦を始められる。
イラストの実力も申し分なく、各SNSでも知名度をあげ、そしてトドメの登録者数190万人越えの大人気VTuber。
宣伝効果的にも考えればきっと絵師につかいたくなるはず。
真城さんならば必ず絵師としても名を轟かせられる。俺はそれを信じている......そうだ
真城さん、白雪ましろには、必ず俺の絵師になってもらう!!
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