表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍完結&コミカライズ化】【本編・外伝完結済】剣聖の幼馴染がパワハラで俺につらく当たるので、絶縁して辺境で魔剣士として出直すことにした。(WEB版)  作者: シンギョウ ガク
獣人都市インバハネス編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

94/262

sideアルフィーネ:獣人の子

誤字脱字ありましたら誤字報告へ

 準備を終えると、メイラが差し出した器具を大木に縛り付けた縄に取り付け、穴の中に降りていく。



「アル、先に行くね」


「ちょっと、メイラ。早く降りすぎ」



 すいすいと壁を蹴って、メイラは下に降りていた。


 遺跡調査を専門でやってきた彼女は、こういった穴の中に入る技術は得意なようで、あたしは遅れずについていくのがやっとであった。



「お先ー!」



 大きく壁を蹴ったメイラの姿が穴の奥へスッと消えていった。


 上を見ると、すでにかなりの深さにまで潜ってきており、穴の中から見える空は薄っすらともやがかかり始めていた。



「ちょっと!? メイラ」



 先に降りていったメイラを追いかけるように、あたしも壁を蹴って穴の中に降りていった。




 さらに降りていくと、日の光がもやにさえぎられて、周囲は薄暗くなってきていた。


 先に降りていたメイラは、すでに自分が見つけていた隠し扉の場所を詳しく調べ始めているのが見えた。



「やっと追いついた。メイラが見つけた扉はここなの?」



 切り立った崖のような穴の中で、今いる場所だけが少し出っ張っている。


 けれど、出っ張っていると言っても大人が二人立てば埋まってしまうほどの狭い足場でしかなかった。


 作業しているメイラの横で縄を解くと、その作業を見守ることにした。



 こんなところをよく見つけたわね……。


 こんな場所に扉があるなんて言われてなかったら誰も気が付かない。



 到着したあたしに目もくれず、メイラは継ぎ目なくただの壁だと思われた場所へ持参した水筒から壁に水を流していく。



「水が途中で壁に消えてる!?」


「そういうこと。水が途中で消えるってことは、ここが隠し扉ってことよ。つまり、この壁のどこかに開閉装置が仕込まれてるはずなんだけど……」



 ポーチから小さめの木のハンマーを出したメイラが壁をコンコンと叩き始めた。


 今までにない真剣な表情で壁の音を聞いているメイラを見て、彼女が遺跡調査専門の冒険者だと再認識していた。



「ここね。たぶん、こうしてっと。ほら、あった」



 音に異変があった場所を先が平たく尖った鉄棒でこじ開けると、壁の一部が開き、目当ての開閉装置らしきものが出てきた。



「これを回せば開くはずよ。アル、準備はいいかしら?」


「ちょっと、待ってランタンを点けるから」



 扉を開ける気満々のメイラに準備を促され、あたしは急いで荷物からランタンを二つ出すと、火を灯して明かりを確保した。



「いいわよ」


「じゃあ、いざ探索開始!」



 そう言ったメイラが装置のハンドルを回し始めると、扉が音を立てて真横に動き始めていた。


 一方、あたしはいちおう何かが飛び出してきた時のために、小剣を引き抜きランタンで扉の中を照らしていく。



 すると――


 暗闇の中で動くものが見え、こちらに向かって飛び出してくるのが見えた。



 て、敵!?



 とっさに手にしていた小剣を突きだそうとするが、ランタンの光が照らしだしたのは獣人の幼い子だった。



 こ、子供!?



 敵かどうかの判断ができず、あたしは攻撃することへためらいが生まれていた。



 武器はない。


 相手はこどもだし、とりあえず取り押さえるだけにしておこう。



 一瞬で相手が丸腰であると判断し、飛び出した獣人の子供を怪我をさせないように捕まえた。



「何者? なんでこんなところに獣人の子がいるの?」


「み、みず……水が欲しいの」



 捕まえた獣人の子は唇がカサカサになっており、軽い脱水症状があるように見えた。



「水? これ飲んでいいわ」



 目の前に水筒を差し出すと獣人の子はひったくるように取り、グビグビと中身を飲み始めていた。



 とりあえず、こちらへの敵意はなさそうだけど。


 なんでこんな人里離れた場所のしかも誰も来ないはずの穴の中に獣人の子がいたのかしら。



 水を飲む獣人の子を見て、ますます目の前の場所の意味がよく分からなくなっていた。



「ふぅ……干からびて死んじゃうかと思った……お姉さんたちは父様たちに言われてきたの? 父様は隠れてろって言ってたけど、もう隠れなくていいのかな?」



 水をがぶがぶと飲んだことで落ち着いた獣人の子があたしたちを見て、自分の父親があたしたちを派遣してきたのかと聞いてきた。



「いや、そういうわけじゃないけど……。とりあえず、まず名前から教え合いましょうか。ボクはアル。で、そっちが――」


「メイラよ。お嬢ちゃんのお名前は?」


「マリベル……父様から言われて来てないとしたら、お姉さんたちは泥棒さん? ここは大事な場所だからバレたらダメなんだって父様たちが言ってたのだけど」



 地面に座り込んでいるマリベルの視線が険しさを増していた。



 泥棒って言われると違うって言いたいけど……。


 この場合、不法侵入になるのかしら。



 返答に困ったあたしは、チラリと隣のメイラに視線を送った。



「ふふふ、マリベルちゃん。私たちは捜索隊よ。冒険者ギルドからこの場所を色々と調べてこいって許可を受けてるの。だから、私たちは泥棒じゃないわよ。ご理解してもらえるかしら?」



 メイラは得意げにユグハノーツの冒険者ギルドの意匠が入った地図をマリベルに見せていた。



 たしかにメイラの言ってることは一部合ってるけど……。


 捜索は上の周辺部だけで、穴の中まで捜索する許可は出てないんだけどなぁ。



 そんなことを思いながら、マリベルの様子を見てると、彼女はメイラの見せた地図を食い入るように見ていた。



「あーーー! これ父様たちと一緒にいた!!」


「え? 何が一緒にいたの?」


「これっ! これだよっ! 気持ち悪い人!」



 マリベルが指差したのは、地図に添えて描かれていた捜索対象であるアビスウォーカーであった。


アルフィーネ編はあと一話で区切りですので、フリック編は来週火曜までお待ちください<m(__)m>


穴の中の怪しい施設はなんなのか気になるところですが、マリベルがなんでいたかも気になるところ。


あと、来週月曜日のラフ公開はアルフィーネ/アルを予定しております。


今後とも剣聖の幼馴染をよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
  ▼▼▼ 画像をクリックすると、剣聖の幼馴染コミカライズ板へアクセスできます ▼▼▼  
https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/51WA76oIjQS._SX338_BO1,204,203,200_.jpg
  ▲▲▲ 画像をクリックすると、画像をクリックすると、剣聖の幼馴染コミカライズ板へアクセスできます ▲▲▲  

  ▼▼▼ 画像をクリックすると、異世界最強の嫁コミカライズ板へアクセスできます ▼▼▼  
https://m.media-amazon.com/images/I/812rZfxSn4L._SL1500_.jpg
  ▲▲▲ 画像をクリックすると、画像をクリックすると、異世界最強の嫁コミカライズ板へアクセスできます ▲▲▲  

  ▼▼▼ 画像をクリックすると、スキル再生と破壊コミカライズ板へアクセスできます ▼▼▼  
https://m.media-amazon.com/images/I/91pD246mf2L._SL1500_.jpg
  ▲▲▲ 画像をクリックすると、画像をクリックすると、スキル再生と破壊コミカライズ板へアクセスできます ▲▲▲  
― 新着の感想 ―
[一言] この部分で読者がみんないなくなったのではないだろうか
[一言] メイラ、チェンジでお願いします笑
[気になる点] メイラ、、、邪魔w もう少しちゃんとした人にしてあげて。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ