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【書籍完結&コミカライズ化】【本編・外伝完結済】剣聖の幼馴染がパワハラで俺につらく当たるので、絶縁して辺境で魔剣士として出直すことにした。(WEB版)  作者: シンギョウ ガク
南部辺境都市ユグハノーツ編

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26:身体強化魔法は身体が資本だった

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 ガウェインが次に教えてくれた魔法は、同じく筋力を強化する魔法だった。


 だが、同じ筋力を強化する魔法でも素早さを強化する魔法で、瞬発力強化(クイックネス)というものだ。



瞬発力強化(クイックネス)は主に瞬間的な筋肉の動きを強化する魔法だ。効果を発揮させると、こんな動きもできるようになる」



 そう言ったガウェインの身体が三つに分裂していた。



「分裂した!?」



 目を凝らしてよく見る。


 すると、ガウェインが猛烈な速度で左右に動いており、移動した残像が実体のように見えていたようだ。



「相変わらずガウェイン師匠のそれは意味不明ですね。魔術師が素早く動く意味が分かりません」



 筋力強化で酸欠になり、休んでいるノエリアから冷静な突っ込みが入っていた。



「なんでだ? 魔術師だからこそ、素早く魔物から距離を取ることは必須だろが」


「魔術師は近寄られたら障壁で相手を寄せ付けないようにする方が効率的です」



 敵が近寄ってきたときの魔術師としての対応は、ノエリアの言うように空気壁(ウィンドバリア)物理障壁(プロテクトガード)で防ぐのが一般的のようだ。


 けど、一気に距離を詰めたり、逆に距離を取ったりできるようになるのはありがたい。



「わたしの魔法が邪道だと言うのか!? ノエリア、それは触れ合いが足りないな――」



 三人に分裂していたガウェインが、そのまま地面に座っているノエリアへ向かっていった。



「見えざる空気よ。堅き障壁となって周囲に発現せよ。空気壁(ウィンドバリア)


「むぎぃっ! 師匠に対してこの扱いは酷くないか? 昔はもっと素直だったはずなのに。あれか、これが反抗期というやつか?」



 触れ合おうとしたガウェインが、ノエリアの作った空気壁(ウィンドバリア)に阻まれていた。



「違います。先日も言いましたがわたくしも大人となりましたので、ガウェイン師匠との触れ合いは卒業させてもらいます」


「え? 嘘だろ?」



 ノエリアに触れ合いを拒否されたガウェインが、雷に打たれたように直立して動かなくなった。


 どうやらノエリアから触れ合い卒業宣言がショックだったらしい。



 けど、たしかにあれは早めに卒業するべき行為だと思う。


 何せ命の保証がないからな。



「これからガウェイン師匠とは、大人としてお付き合いいたしますのでよろしくお願いいたします」



 ノエリアからピシャリと触れ合いを拒絶されたガウェインの視線が俺の方に向いた。



 これは……来るっ!



 身の危険を感じた俺は即座に空気壁(ウィンドバリア)の詠唱に入った。



「見えざる空気よ。堅き障壁となって周囲に発現せよ。空気壁(ウィンドバリア)



 ギリギリで障壁の展開が間に合ったようで、ガウェインの触れ合いによる衝撃を受けずにすんだ。



「むぎぃいっ! フリックまでわたしとの触れ合いを拒絶するのか!?」


「いえ、そういうわけでは……身体の方が拒否反応を示したようで」


「そうか、身体が拒否反応を示したなら仕方ない」



 え? それで納得するの?


 よく分からない人だと思ってたけど、やっぱりよく分からない人だ。



「ちょっと話が逸れていたが、話を瞬発力強化(クイックネス)に戻すぞ。これを使うと、酸素の他に著しく栄養を消費するようになる。使っている間は普段の三倍以上の栄養が消費されるから栄養補給しながら使わないと、頭痛や吐き気を感じ、最悪な状態になると意識を喪失する」



 触れ合いを弟子二人から拒否され、ガウェインは一転して真面目に指導を始めた。


 こういった切り替えの早さも、この人を変人と言わしめている理由の一つかもしれない。



「栄養を消費するんですか……だから、常用してるガウェイン師匠はあんなに食べてたんですね」


「まあな。栄養補給を怠ると動けなくなるんで、食べる量には気を付けている」



 昨日、工房に帰ってきてすぐにユグハノーツへの足にしていた翼竜をさばいて、自分用に焼いて食べてたのは身体強化魔法で栄養を大量に消費していたためだったようだ。


 やたらと大食漢だと思ったがそういう理由があったのか。



「さて、発動させてみろ。瞬発力強化(クイックネス)筋力強化(ストレングス)と同じく筋肉を太くさせるんだが、別の筋肉だから間違えるなよ。太もも前と二の腕の筋肉を強化するんだ」



 ガウェインに言われた箇所の筋肉を強化するのを意識して、事前に教えられていた呪文を詠唱する。



「我が肉体を動かす新たな肉となれ。瞬発力強化(クイックネス)



 徐々に太もも前と二の腕の筋肉が太くなっていくのが感じられた。


 ただ、筋力強化(ストレングス)ほどの筋肉の盛り上がりはなく、見た目はあまり変わっていなかった。



筋力強化(ストレングス)が無難にできてたから、こっちも問題なしだな。やはり、フリックはわたしの魔法を完全に引き継げる人物のようだ」


「褒めても触れ合いは身体が拒否するので無理ですよ」


「ちぇー、けち臭いやつだ。せっかく褒めたのにな。まぁ、いい。動きがどう変わったか試してみろ」



 ガウェインに効果を試してみろと言われたので、強化された身体を動かしてみる。


 身体の反応が今までとは別次元であった。


 俺の意識に身体が素早く反応して動いてくれている。



 試しにさっきガウェインがやっていた動きを真似てみた。


 身体がもたつくことなく、滑らかに動き、それまで見ていたのと違う視界になっていた。



「フリック様……一度見ただけでガウェイン師匠の動きを習得されてしまうとは……すごい」



 地面に座って成り行きを見守っていたノエリアが、俺の方を見て呆けていた。



「すでにそこまで扱えるなら、次の段階でも問題あるまいな」



 ガウェインも俺が身体強化魔法を使いこなしているのを見て、満足気な顔をしていた。



 身体強化の魔法は普通の魔術師にはあまりメリットのない魔法だと思われるが、俺にとってはかなりメリットのある魔法だった。


 それに身体強化魔法の魔力の消費は、ほかの魔法と変わらない程度だ。


 酸素や栄養など、魔力とは別の物も消費するがそれを補って余りある効果を俺にもたらしてくれている。



「ガウェイン様の身体強化魔法は俺と相性が良いようです」


「そのようだな。だが、使えるとはいえ、まだ覚えたてだから無理はしない方がいいぞ。今日の訓練はここで終わりにしとく。飯にするぞ」


「分かりました。いったん魔法を解きます」



 ガウェインの指示に従い、瞬発力強化(クイックネス)の魔法を解くと、腹の虫が盛大に鳴っていた。


 さっきの僅かな間に栄養がかなり消費されたようだ。



「昼食はわたくしが準備いたします。身体の方も回復したようなので」



 休憩していたノエリアが立ち上がって、昼食を作りに母屋の方に向かった。



「俺も手伝うよ。二人で作れば早く終わるだろ。今、すごく腹が減ってるんだ」



 空腹感を感じていた俺も、ノエリアの後を追いかけ一緒に昼食を作ることにした。

応援ありがとうございます。


感想でのご指摘を受け、筋力強化の方は血液から酸素消費に変更させてもらいました。


ご指摘ありがとうございました/)`;ω;´)


今回のはお腹減る設定を入れています。そのうち栄養補給食カロリーバー作りを始めそうな気がしてなりません。


【読者の皆様へ】


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 会話が出来る距離で、残像が残るほどの速度で動いてるのに 長々詠唱が何故に間に合うのか…? 超高速戦闘モノにありがちな、超高速会話(詠唱)か 「見えざる空気よ。堅き障壁となって周囲に発現…
[気になる点] 他の感想にありますように「栄養を消費する」表現は違和感を覚えます。 運動ではやはり「エネルギーを消費する」や、「お腹が減る」と表現することが多いです。後者は糖を消費し血糖値が下がった時…
[気になる点] 栄養が足りなくなる、ってなんだそりゃ。 尿酸値が上昇するとか、乳酸が蓄積されるとかいくらでも他の例えあるだろ。 [一言] 普段本を読んでいないのか?と思わせるような稚拙な文体と語彙力…
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