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【書籍完結&コミカライズ化】【本編・外伝完結済】剣聖の幼馴染がパワハラで俺につらく当たるので、絶縁して辺境で魔剣士として出直すことにした。(WEB版)  作者: シンギョウ ガク
獣人都市インバハネス編

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sideアルフィーネ:辺境伯からの依頼

誤字脱字ありましたら誤字報告へ

※アルフィーネ視点



 辺境伯ロイドの屋敷に呼び出されたあたしたちは、応接間に通されていた。



「呼び出してすまないな。色々とこちらも困ったことが発生してるのだ」



 椅子に座るロイドやその横に立つマイスの顔には疲労が色濃く出ており、彼らの言う困ったことがかなり大変なことだというのが察せられた。



「いえ、こちらも色々とお世話になっておりますので」


「そう言ってもらえるとありがたい。今日、アルたちを呼び出したのは依頼したいことがあってな」


「依頼ですか? ボクたちに?」


「ああ、事情を知っている者を派遣せねばどうにもならん気がする依頼でな。アビスフォールの件は関係各所にかん口令を敷いているため、事情を詳しく知る者が少ないのだ。わしやマイスが説明しに行くわけにいかぬし」



 そう言えば施設の話を詳しく知っているのは、あたしたち以外だと目の前の二人しかいなかった。


 参加していた冒険者や騎士団員たちには厳しい情報統制がされていて、詳細を知る人は限られていた。



「そこでボクたちに依頼というわけですか……。ですが、ボクらは一介の冒険者にすぎませんよ?」


「その方が良いのだ。一介の冒険者の方が連中の警戒が緩む」


「警戒が緩むとは?」


「実はこのユグハノーツには近衛騎士団の連中が身分を隠して大量に入ってきておる。わしの家臣たちから、それらしい人物がうろついて色々と嗅ぎまわっているとの報告が上がってきておるのだ」



 近衛騎士団の連中って……。


 それってあたしの捜索に来てた連中のことなんじゃないかしら……。


 連中はたぶん、王都から逃げ出したあたしたちの情報を集めてたんだと思うんだけどな。



 辺境伯ロイドはあたしを探しにユグハノーツに潜入している近衛騎士団の連中を、ジャイルが施設の存在を知られていないか情報を集めていると勘違いしている様子だった。



 あたしは辺境伯ロイドに身分を明かすべきか迷った。


 だが、今ここで剣聖アルフィーネがユグハノーツにいるとバレたら、まだこの街にいるかもしれないフィーンがまた姿を隠してしまうかもしれない。


 そう思うと素性を明かすのをためらう自分がいた。



「え、えっと。そんなことになっていたんですね。全然知らなかった」



 適当な相槌の言葉でしらばっくれた。


 咄嗟に出たその言葉に、自分は本当に卑怯な女なのだと自己嫌悪に駆られる。


 こういう自己中心的な考えや言動こそが、フィーンが自分のもとから去った原因なのだとわかっているはずなのに、それを未だ悔い改められずにいる自分は、本当に唾棄すべき卑怯な女に思えて仕方なかったからだ。



「連中は人探しを隠れ蓑にしてるらしいがな。なんでも王都からきた黒髪の若い女を探してるらしい。どうせ、情報収集するための口実だろうが」


「きっとそうですね。それでアルと私への依頼とは何ですかね? お仕事をしないとマリベルに世話をしてもらえないのでどんなご依頼でも受けるつもりですが」



 話がまずい方向に流れそうなのを察したメイラが、機転を利かせて依頼の方に話を引き戻してくれた。



「ああ、そうだった。依頼の件だったな。実は旅先にいるわが娘ノエリアに会い、アビスフォールの地下施設の話を詳しく教えてきてほしいのだ」


「辺境伯様のご令嬢にですか?」



 王都で聞いた噂だと、辺境伯の一人娘ノエリアは、令嬢でありながら冒険者をしていて、更には重度の魔法オタクだって話だ。


 そんな子にあの地下施設の話を伝えるというのはいったいどういうことかしら。



「ああ、今は凄腕の冒険者である真紅の魔剣士フリックとともにわしの密命を受けてインバハネスのデボン村におるのだ。たしかマリベルの出身地はデボン村であったな?」


「あ、はい。そうです」


「その近くに水晶の鉱山があるのを知っておるか?」


「ラハマン鉱山です。父様たちはそこで働いてましたから。マリベルも鉱山のお仕事を手伝ってました」


「ならば話は繋がった。そのラハマン鉱山の連中は、アビスフォールの地下施設を修繕していた連中と同じ奴らだと思われる」



 辺境伯ロイドの中では話は繋がったようだが、あたしにはさっぱりなんのことだか理解ができないでいた。



「実はノエリア様からラハマン鉱山に居座る連中がジャイル殿と繋がっていて、しかもアビスウォーカーを使役してるのではという連絡が入っておりまして……それに鉱山で働いていた獣人たちが行方不明になっているそうで……」



 あたしが不思議そうな顔をしていると、その表情に気付いたマイスが補足で説明をしてくれた。



「なるほど、ラハマン鉱山で働いていたマリベルたちがアビスフォールの地下施設に来ていたとなれば――」



 ようやくあたしの中でも話が繋がった。



「近衛騎士団長のジャイル様が色々と裏で動いてるということかしらね。アルの王都での件もあるし」


「わしはそう睨んでおる。だが、相手は王国でも屈指の大貴族だ。しっかりと証拠を固めなければ言い逃れされてしまう。そうならんようにわしも動いておる。だから、人探しをしているアルたちには悪いが今回の依頼を受けてくれぬか? ジャイルがわしを疑っておるとなれば、手紙でのやりとりは危険すぎるのでな。信頼できる者を派遣したい」



 一介の冒険者を信頼すると簡単に公言する辺境伯ロイドは、貴族としてはやはりかなりの変わり種のようだった。


 王都の貴族なら持って回った言い方で、こちらに言質を与えるようなことは絶対にしない。


 自分に責任が及ばないよう、幾重にも責任の所在をはぐらかして冒険者を動かす貴族が大半なのだ。



「辺境伯様はボクたちがその情報を近衛騎士団長様に持ち込むとは思いませんか?」

 

「わしは人を見る目はたしかだと自負しておる。お主はそんな器用な芸当はできぬであろう?」


「あ、ぅ」



 辺境伯の返答に言葉が詰まってしまった。


 たぶん、今の状況でジャイルの顔を見たら、速攻で剣を抜き首を飛ばす自信はあった。


 もともと大嫌いなやつであったが、今は更に後ろ暗いことへも関与していると知り、大嫌いなやつから倒すべき悪に認識を変えていた。



「その反応であればアルがわしを売ることはないな。ゆえにこの依頼を受けてほしい。事態は急を要すのだ」



 辺境伯ロイドは懇願にも似た声で、あたしたちに依頼を受けてほしいと頭を下げていた。



「……分かりました。辺境伯様のご依頼をお受けいたします」


「おお、そうか! では、すぐにでも頼む」



 あたしは依頼を受けることに決めるとすぐに出立の準備を整え、メイラとマリベルを連れてインバハネスの南にあるデボン村へ向かうことにした。




アルフィーネたちは、情報交換するためデボン村へ出発いたしました。


次話はジャイル視点となります。来週からはフリック視点となりますのでよろしくお願いします。


書籍の方も来週発売ですが、特典SSがつくお店が追加されたので追記しておきます。/)`;ω;´)


特典SS付き


・書泉ブックタワー様←NEW

・書泉グランデ様←NEW

・アニメイト様

・虎の穴様

・ゲーマーズ様

・メロンブックス様

・COMIC ZIN秋葉原店様


特典SSには限りがありますので詳細については、各書店様の店頭へ直接お問い合わせください。



書籍情報↓↓↓


挿絵(By みてみん)



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― 新着の感想 ―
[良い点] で、出会ってしまうのかーーー!楽しみすぎ!書籍も楽しみですー。
[一言] 出会ってもお互い見た目を変えすぎていて気付かない感じでしょうかね。 あ、戦闘になれば剣筋で気づくのかな? これからも楽しみにしています。
[良い点] 邂逅の時が近い か なんとなくだが すれ違ってしまいそうなw
感想一覧
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