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竜に転生したら竜騎士様に溺愛されています。※ただしペットとして  作者: 殿水結子@「娼館の乙女」好評発売中!
聖女伝説の真実

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28.救出

 エマは棍棒を振り上げた。


 ──が、その棍棒はオーガに鷲掴みにされてしまった。エマがなおも腰を入れようと踏んばると、今度は背後から滑り込んで来たオーガに体を羽交い絞めにされる。


「!?」


 いきなりピンチに陥ってしまった。エマはオーガに担ぎ上げられると、屋敷の外へと連れ出される。


「えっ……何?私を盗むつもり?」


 エマはじたばたともがいた。が、妖怪とはいえ女の体では力で対抗するのは難しい。


「ぐっ……私が竜だったら……!」


 きっと彼らの狙いは──エマとその回復魔法だ。


 屋敷の外に出ると、大勢の竜がいた。魔物たちはこれに乗ってやって来たらしい。


 竜たちが彼女を見て口々に鳴く。


『来るぞ!』

『竜騎士が来るぞ!』


 しかしオーガには何も伝わっていないらしい。


 エマがその言葉につられて空を見上げると、確かに遠く彼方から竜の群れがやって来るのが見えた。


(あれに竜騎士が乗っている……?)


 彼女は瞬時に判断した。


(逃げるなら、今!)


 エマは力一杯、じたばたと暴れて見せた。オーガたちが複数人集まって来てエマを取り押さえようとした、その時。


 遠くで、何か叫び声がした。


 竜騎士たちが猛スピードで、エマめがけて突っ込んで来る。


 エマは驚いて目を閉じ──風と共に何か懐かしい感触がして、目を開いた。


「エマ!無事か!?」


 彼女を抱き止めていたのは──ユリウスだった。


「……ユリウス!」


 思わずエマはユリウスの首にしがみつく。ユリウスも、エマの背中を撫でた。


「魔物め。エマを狙いに来たんだ……!」

「きっと回復魔法が使えるってバレたのよ」

「怪我はない?」

「大丈夫」


 魔物たちの放つ攻撃魔法が、こちらめがけて飛んで来る。ユリウスは巧みに竜を操ってそれをかわしながら、空をぐるぐると旋回した。


 その間に地上では竜騎士たちの乗った竜が炎のブレスを吹きかけ、オーガに攻撃を仕掛けて行く。


 オーガ達は彼らの統率力を前に勝ち目がないことを悟ると、めいめい竜に乗って逃げて行った。


 ユリウスとエマは、上空からその様子を眺めてほっとする。


「行ったか……」

「ああ、よかった~!」


 しかし次の瞬間、エマはふと、自分がずっとユリウスに抱きついていることに気がついた。


「!ごめんなさい……」


 そう言って体を放そうとすると、ユリウスはようやく笑顔になって


「いいよ、別に」


とエマの体をぎゅっと抱き寄せる。


「……へ?」

「心配した。間に合って、本当によかった……」


 ユリウスの額が肩に乗って、エマは顔を真っ赤にした。


「ユリウス……」

「もう絶対に、君をひとりにしない」


 ユリウスはそう言うと軽くキスをするように、エマの側頭部へ頬を寄せた。


「!!」

「ずっと一緒にいよう、エマ」


 エマは喉から心臓が飛び出そうになっている。




 地上に降りると、彼は何食わぬ顔で竜からエマを下ろした。


 使用人たちが屋敷から出て来る。


「ユリウス様ぁ!」

「みんな、怪我はないか?」


 エマは真っ赤になり、少しふらつきながらユリウスの後方をついて行く。


「ユリウス様こそ、お怪我は?」

「俺は大丈夫。それより、エマを」

「ああっ、エマ様!お顔が赤いですよ、大丈夫ですか?」


 そう言ってメイが駆け寄って来る。


 エマは大丈夫ではなかった。


「うん……大丈夫。ちょっと酔っちゃっただけ……」

「あんなに空でスピードを出されたら、そうなりますよね。さ、早くお屋敷へ……」


 


 屋敷の中は、荒らされていた。


 窓ガラスが割れ、いつの間にか食品が持ち逃げされている。


 使用人たちは一日中掃除に追われた。


 他の部屋も荒らされていたが、ほとんど何も取られてはいなかった。


 ユリウスは部屋を見て回りながら、ぽつりと呟いた。


「やはり、魔物の狙いはエマか?」


 背後から、ジャンがやって来る。


「恐らく、そうですね。何かを……捜し回った形跡があります。その割に、食料品以外は盗まれていない」

「もう魔物に居場所を嗅ぎつけられたとはな……これから、どうすべきか」


 ユリウスが手近なベッドに腰を降ろすと、ジャンは言った。


「私からは二つ、安全な場所として提案がございます。一つ目は、竜獄。もう一つは、王宮です。この二カ所ならば兵士が多いのでエマ様もより安全に暮らせるでしょう」


 ユリウスは、じっと考え込んでいる──


「いや……」


 しばらく間があって、彼は口を開いた。


「俺はエマと、ずっとここで暮らしたい」

「……はい?」

「彼女の姿が見えないと、不安なんだ。彼女と一緒にいるためには、魔物を残らず退治する。それしか方法がない」

「……」


 ジャンはやれやれと首を振った。


「おやおや、ユリウス様。ついに本音を隠さなくなりましたね」

「そう?別に最初から隠してはいないけど」

「……そうでした。確かに……隠してはいませんでした……」


 ユリウスはじっと考え込む。


「やはり、彼女を竜に戻す必要があるな。今の姿では、魔物に襲われたら太刀打ちできない」

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ブレイブ文庫様より
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