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ヨネシゲの記憶  作者: 豊田楽太郎
3章 海からの悪夢
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第55話 一隻の漁船

炎に包まれている西ヨネフト港。

マロウータン海賊団によって船や倉庫が燃やされてしまった。

そのマロウータン海賊団を追うため、ユータたちはまだ無事な船があるかどうか探していた。

港の中央付近はユータ、ヨネシゲ、ゴリキッド。

東側はマックス、マッチャン、ジョーソン。

西側はノア、ジョン、チャールズ、ムラマサが捜索している。


しばらくすると、捜索を終えた中央付近の捜索班と東側の捜索班が合流した。


「無事な船はあったか…?」


「いいや…そっちも全滅だろ?」


ヨネシゲが東側の状況を尋ねると、マックスが落胆した様子で彼の問に答えた。

結果は全滅だった。

一隻残らず炎に飲み込まれていた。

そもそも、質問するまでもない。

お互いの表情を見れば、船が全滅だと言うことくらい察しがつく。


「西側に望みをかけるしかないか…」


一隻の小船でも構わない…

どうか、無事な船が残っていてくれ…!

ヨネシゲたちは僅な望みにかけた。


その時、西側を捜索していたムラマサの姿が見えた。

ちょんまげがチャームポイントのこの男、何故か笑みを浮かべながら走ってくるではないか…!

これは、もしや…?


「マッチャンさん!ありましたよ!無事な船が!」


「でかしたぞ!」


なんと、西側に無事な船がまだ残っているそうだ。


「早速行ってみよう!」


ヨネシゲの言葉を合図に一同無事な船の元へ急行した。

港を西へ3分ほど走った所に、スキンヘッドのノア、金髪モヒカンのジョン、リーゼントのチャールズ、3人の姿があった。

3人は無事だったと思われる漁船の前で誇らしげ顔をしながら立っていた。

その表情はまさしくドヤ顔と言ったところか…


「見てください、マッチャンさん!奇跡的にも生き残ったこちらの漁船を!」


ノアがそう言いながら一隻の漁船を指差した。

その漁船は全くと言っていいほど炎の影響は受けておらず、目立った外傷も無さそうだ。


「ヨッシャー!これで奴らを追えるぞ!」


「やりましたね、ヨネさん!この大きさなら俺たち全員余裕で乗れます!」


「俺たちが見つけたんだ!少しは感謝しろよ!」


無事な漁船を発見することができ、喜びの表情を見せるヨネシゲとユータ、そしてマッチャン一家の四人衆たち。


「おいおい、喜ぶのはまだ早いぜ…」


そんなヨネシゲたちの様子をゴリキッドは呆れながら見ていた。

喜ぶにはまだ早い、本当の戦いはこれからなのだから…

一方のマックス、マッチャン、ジョーソンは漁船を調べていた。

そして、中の様子を確認していたジョーソンが船から降りてきた。


「中の方も特に目立った損傷も無さそうだ。だが…」


ジョーソンがそう言うと、マックス、マッチャンは眉をひそめる。


「これは、罠だな…」


マックスのその言葉を聞いたヨネシゲたちが一斉に静まり返る。


「罠って…一体どういうことだ!?」


ヨネシゲは焦った様子でマックスに詰め寄る。

すると隣に居たマッチャンがマックスの代わりに返答する。


「ヨネさん、どう見ても怪しいだろ。他の船は全滅なのに何故この漁船だけが無傷で残っている?」


マッチャンの言葉にヨネシゲは漁船の周囲を見回す。

確かにマッチャンの言うとおり不自然だ。

無事だった漁船の両サイドの船は派手に炎上している。

もっとも、この無事な漁船と燃え盛る漁船の間には漁船一隻分のスペースが空けられていた。

この距離があれば燃え移ることはないだろう。

そのため、この漁船は奇跡的に難を逃れたのか?

しかし、これを奇跡の一言で終われせてよいのか?

よく見ると他も船と船との間にそれなりのスペースが空いている箇所がある。

隣の船から燃え移ることはないはず。

海賊たちは一隻一隻に火を放ったのだろう。

そうなると海賊たちは、この生き残った一隻の漁船に火を放ち忘れたのか?

否、火を放ち忘れた訳ではない、意図的に火を放たなかったのだ。


「何か仕掛けがしてあると言うことですか…?」


ユータはマックスに尋ねる。


「仕掛けがしてあるかは念入りに調査しないとわからん。しかし、調査している暇もない。そうなると俺たちはこの船に乗る他の選択肢は無いと言うことになる…」


仕掛けがしてあるかは念入りな調査が必要だ。

単純な細工ならすぐに見破ることができるが、綿密に罠が仕掛けられてるなら発見するのは容易ではない。

更には特殊能力を使用して罠を施すことも可能である。

そうなると、専門の調査員を呼ばないと探し出すことは不能だ。

そもそも本当に罠が仕掛けられているのか?

少なくともマロウータン海賊団に誘導されてることは間違えなさそうだ。


「じゃあ、どうする!?」


ヨネシゲな再びマックスに詰め寄る。

するとマックスはあることをヨネシゲたちに提案する。


「乗ってみるか?奴らの誘いに…!」


思いがけない提案にヨネシゲは一瞬言葉を失うも…


「他には方法は無いんだろ?」


「ああ…。今からいかだを作る方法もあるが時間がないだろう…」


「わかった!行こう、この漁船で…!」


マックスの提案を受け入れたヨネシゲ。

ユータたちもその提案に反対することはなかった。


一同、疑惑の漁船に乗り込むとマロウータン海賊団を追うため出航していった。


果たして…この漁船は本当に大丈夫なのか…?


そして、彼らに待ち受ける運命とは…!?



つづく…

お世話になってます、豊田楽太郎です。

投稿が遅くなってしまい申し訳ありません。

おまけに話の内容も短めとなってます…

仕事の影響で8月中旬くらいまでは、投稿ペースが1週間~2週間に1回程となります。

ご承知おきください。

遅くなっても投稿は必ず続けますので、応援していただけると幸いです。

投稿まで時間は掛かりますが、次回もよろしくお願い致しますm(__)m


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