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第四十五話 服薬指導の話(病院編)

 病院薬局と病院の外にある調剤薬局に分けるのは仕事の範囲が微妙に違うからです。理由は先にも書いていますので割愛します。もちろんどちらが良いの悪いのという話ではありません。

 さて院内。病棟活動は終わりました。今は電子カルテがあるので、紙製のカルテを看護師さんと取り合いしなくても大丈夫。外来が終わり、閑散とした薬局の廊下をとおって帰ります。自分のカップにインスタント紅茶を入れながら一息いれる。それから薬局用のパソコンに座って服薬指導記録簿を書きます。

 そこで今回はその話。


 行く前にこういう会話、薬の増減の話などあらかじめ、メモをいれて指導の順番をシュミレーションをしていきますが、時間や予定とおりにうまくいったためしはありません。途中で何か医師から質問されたり、緊急入院で複雑な注射箋や薬の在庫がないとかで、外来処方のややこしいのがいっぱい来たので今すぐ帰ってこいとか。そういうわけでゆっくり担当病棟にいられません。誰もいない患者さんの食堂で一生懸命書いていると、院内放送で呼ばれたこともあります。あわてて帰ると鬼のような顔をした局長から「遅いっ」と怒られたこともあります。

「私は今日は◎◎があるので、午後七時まで仕事を終わらせて帰りたい」 とかいうときは必死です。

 当直の人もいるのですが、昼間に片づけるべき仕事を夜まで引き継ぎお願いと言われると、私だっていやです。みんなそうなのでやるべき仕事はその日のうちに、がモットーです。

 まあ一段落ついてあとは記録を書くだけとなると、ちょっと心の余裕ができて、書く前にためこんでしまったイエローレター(緊急安全性情報のこと) などを読んだりします。

 それから電子カルテを閲覧、書き込みをしていきます。ページはそれぞれ患者さんごとに分かれていて、新しい指示が出れば瞬時にわかりますので急ぎなら処方箋を出して作っておいたりします。そこが調剤薬局の業務の差ですね。注射の混注も来ないから。(注射処方の点滴を作った後は病棟ごとの棚に置いておくと看護師さんやメッセンジャーさんが取りに来てくれる。急ぎの時は率先してできるだけ早く仕上げる)

 患者さんへの指導内容を書くのは好きなので、苦にはなりません。書くのがあまり好きでない同僚からは、どうしてそんなに書けるのと驚かれるぐらいでした。いやたくさん書いたからって偉いわけでもないし、要点は抑えています。多分枝葉末節が多いのでしょうね……。

 薬剤師の記入する欄は一番下の方にありました。読んでくれる医師とまったく読まない放置する医師と両方いました。私はこの人の書く記録なら読みたいと思ってもらえるようにがんばったつもりです。時折医師から反応があって、尿回数が増えてるから確かに効きすぎている。処方変更しますと書かれた時はすごいうれしかったりします。ちょっとは考察してもらえたと思いますので。


 電子カルテの筆記順番がやはり決まってまして一番目立つところが医師記載、その次看護師、栄養士、一番下が薬剤師でした。だからスクロールしないと閲覧できないようになっていますので、読んでもらったと思うとうれしいのです。看護師さんは担当患者のは必ず読んでいまして出来る人は質問をしてきたりします。私も聞きました。聞きやすい人と聞きにくい人がいましたが皆まじめに仕事をしていました。医師は薬剤師を選んで質問されていました。ここが得意、というのがある先輩は本当に強くて名指しで質問されたりしました。

 添付文書に載っているようなことは誰も聞きません。違う会社の同種薬の比較論やインシュリンの切り替えの確認など難易度高いです。治療のメインになる処方薬の変更には私は必ずその前後に患者の様子を診に言っていました。会話可能な患者さんには必ず声をかけていました。病棟スタッフは皆それをするのが仕事です。治療方針のキーマンはやはり医師です。患者の選択にまかせるとはいっても、やはり入院にあたって医師がこうした方がいいですよ、といえばこうなるのです。それを受けて医師以外のスタッフはコメディカルスタッフといいますが、カンファレンスを重ねながらチームを組んで治療にあたるわけです。

 患者さんは遠慮なさる人が多いのですが、なんでも聞いてくださいねと言います……慣れてくるうちに薬についての告白……たとえば、実は全く飲んでないとかの告白をされたりして……そういう場合は不安感を持たせた医師や薬剤師が悪かったと反省します。(私たちは責めたりはしないので正直に言っていただけたらいいのですが、でも医師によっては怒る人もいますね。治りたいんでしょ? どうして言うことが聞けないの? と責める人だと後で落ち込む患者さんへのフォローが大変です。先生も、お優しくね)



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