エピローグ
あるところに美しい公爵家のご令嬢がおりました。彼女は、公爵家の一人娘でそれはそれは大切に育てられ、美しく成長し、国一番と評判が高いようです。少しばかりわがままが目立つ女性でしたが、つい何でも叶えたくなるほどの美貌に周りは魅了されていました。
年頃に成長した美しい彼女に国中の御曹司や美男子が交際を申し込みます。国1番の騎士団長、知的な宰相、才能あふれる舞台俳優、何かと噂の絶えない芸術家、はたまた自国の若きプリンス。ありとあらゆる男たちが彼女に一目会いたいと屋敷を訪れますが、ご令嬢の答えはいつも「NO」でした。
そんな彼女の元に手紙が一通。白無地の封筒に黒色の蝋で封をされている珍しい手紙に配達人は、首を傾げます。手紙を最初に受け取った執事は顔をしかめ、太陽に透かしどうにかして中身を確認しようと試みました。そこに現れたメイドは、執事から手紙をどうにか奪い、宛先である公爵家のご令嬢に届けます。
美しいお嬢様は、まるで宝物を扱うかのようにペパーナイフを使い、手紙の封を開けました。
一文字ひともじ、噛み締めるように手紙を読む彼女の姿は微笑んでるようで泣いてるようにも見えます。
手紙を読み終えた彼女は、顔を上げて、メイドに言いました。
「ーーークロに会いに行くわよ!」
わがままお嬢様は、美しいものがお好き
完




