たまには真面目な話をしよう
前回までのあらすじ
友人を庇って重体となった三上正成は、目を覚ますと戦国時代、後の石田三成である石田佐吉になっていた!
なんやかんやあって史実通り羽柴秀吉に小姓として仕官した佐吉は、そこそこ平穏な日々を送っていた。
加筆したのですが、ちょっと整合性が気になるのでまた加筆すると思います。
「えー、見た?見たのか。佐吉、お前生首を?!」
「生じゃない。塩漬けだ。」
……多分。
無事に……と言って良いのかわからないが、多分偽首であろう人質の首を主君に取り次いでから、数刻もしないうちに。バタバタと続々と皆戻ってきた。
何故か事の次第を聞きつけていた紀之介と虎之助によって自分がいない間に起こった出来事を聞いた市松が、そろそろ壊れそうな障子を空け気にせず勢いよく開けて叫ぶ。
何だそんなレアアイテムか何かなのか生首って。
道端に転がっていても困るけど。
そんな珍しがるものなのか塩漬け生首。
戦国時代で武士になろうと思っているならもうちょっと見たことがあるものではないのかと、一度も生首は見たことがなかった自分を棚に上げて考える。
どんな感じだった?!
と何故か目を輝かせながら騒がしく近寄って腰掛ける市松。
なぜそんな興奮できるんだ。
一応まだ仕事の途中なのだが、生憎と今この部屋には、元からそんな事を気にするような繊細さなど持ち合わせていない奴と、こんな時ばかりノリよく一緒に入ってくる奴と、多分仕事に飽きたのだろうが手つかずの仕事を脇に避け始める奴。
もうちょっと真面目に生きようと思わんのかと小言を言いそうになりながら、事実まともに仕事をできる状況かと言われればそうではないので、諦めて仕事を放る。
どんなって言われてもなぁ……別に普通だったぞ?
普通が何か分からないが、これと言って変なところはなかったはずだ。
多分。
オーソドックスな生首なんてものを知らないから何とも言えないが。
というか逆に見たことないのか生首。
これから先二度と言う事が無い事を、祈りたくなるような問いをする。
自覚はなかったが、随分と戦国時代というものに毒されてしまっているのかも知れない。
……否、或いは。
どろりと粘着質な昏く澱んだ澱が、心の器にゆっくりと溜まり始めるような感覚。
元から、私は
深い思考の闇に嵌まりかけた所で、市松の声に引き戻された。
「そりゃあるに決まってるだろ。」
……そうか。
「俺等この前初陣飾ったばっかだぞ。」
そうだな……まて初耳だぞ?!
「お前私より年下じゃないか何時済ませたんだ!」
私はまだ行ったことないのに。
「来る前。」
成る程分かった私がおかしいだけか。
「……正確に言えばほんの少し前だな。」
補足を入れてくれるのはありがたいけどそうじゃないんだ紀之介。
いや重要ではあるけど。
そして多分君も初陣は済ませてるんだろうね。
それは……まぁそうだな。三人まとめて言ったわけだし。
「虎之助も?!」
「……そんな驚くなよ佐吉。」
いや……そりゃだって虎之助お前。
私より二つ年下だしそこの筋肉馬鹿松と違って私や紀之介と同じような立ち位置じゃないか!
すでに四人の中で一番大きい将来が楽しな虎之助は、意外や意外、見た目によらず……などと言ってしまえば各方面からお叱りを受けそうだが。
恐れずに言えば、前線より後方でスタンバイしている組の人間なのだ。
まぁ年齢とかもあるのかも知れないが。
前線に出したら大活躍間違いなしだろうに。
市松とよく相撲をとったり打ち合ったりしているあたり、本人にやる気が無いわけではないだろうし。
お茶を出しただけで気に入ってくるあたり、どうも羽柴秀吉という男は変わっている。
変わっているからこそ天下を取れたのかもしれないが。
などとまた余計な事を考え始めるなか、逆にまだ済ませていないのかと問い返されてしまう。
済ませるような機会が無いと返せば、何とも言えない顔をされてしまった。
いや普通そんな機会ないから。
そりゃよほどのことがない限りある程度の年になったら戦に行くことは聞いていたけども。
実際行くような機会が何故か無かったのだからしょうがない。
絶妙に勝ち誇った顔の市松と、どうしてかさもありなんといった顔の紀之介。
そして何やら考え込んでいる虎之助。
それじゃあこれに関しても俺のほうが先輩なんだなと何故か嬉しそうにしていた市松がねね様に呼び出され、紀之介も席を外したあと。
残された虎之助がぽつりとひと言問う。
「本当に……初陣を済ませていないのか?佐吉は。」
「え?ぁ、あぁ、そうだが……」
虎之助が何を言いたいのか、よくわからないためにしどろもどろになりながら相槌を打つ。
そうか、と小さく呟いた虎之助が、視線をしたに向けたまま、続きを口にする。
「俺が実際に戦場に行ったのは十四の時だ」
「早いな?!」
「親父様には……秀吉様には止められたけど、どうしても行きたくて勝手に行った。」
いやなんかもう色々言いたいことはあるけどよくお咎め無しで済んだね?!
というかそんな生きたがるような場所じゃ無いからね戦場って。
見かけによらず……とまでは言わないが、なかなかにやんちゃだった事に驚きながら、酸素を求める魚の様に口を動かす。
「それまでにも喧嘩で殴ったこととか、まぁ……その、懲らしめたことはあったけど。」
待った待った待った虎之助、情報が多い。
お前そんな率先して殴りに行くようなタイプには見え……市松ほどは見えないのに。
そんなやんちゃしてたの?!
「戦場は違った。」
「分かっていなかったんだ。でも今更逃げるなんてあり得なかったし。」
いやそこは逃げよう?
十四だったんだろう?
まだ子供じゃないか!
しかも黙って言ったなら叱るような人もいないと思うけど……。
「だから目を瞑って、お教を唱えながら暗闇を進んだ。」
おぉ……。
「そのまま一人殺して、そこからようやく落ち着いて戦場を見れた。」
うーん、あんまりさらっと言われても困るのだけど。
「いや……だって佐吉は人を殺した事がないだろ?」
……当然のように決めつけないでくれるかな?
心臓を直に握られたかのように、浅くなる息を殺して。
心の奥底の、柔らかい場所を触れられた痛みから目を逸らして。
つい、言ってしまった。
「いや?あるよ。」
直接的では無いけれど。
続く言葉を飲み込みながら、動揺を見通されていないか、ちらりと相手の顔を伺えば、驚いたように目を見開いて。
ぽつりとひと言零した。
「……武士の家に生まれると幼少期からそういう経験をするものなのか。」
いやごめん、別にそういうわけじゃ無いと思う。
家なんて地方のしがない地侍らしいし。
……兄上ならギリギリやってそうと言えばそうだけど。
三上「お~い?何だかシリアスに寄りすぎてませんかねぇ?!」
作者「いやぁ……そんなつもりは無かったのですが……色々と作った設定を盛り込もうとしたらこんな感じに……」
三上「なっちゃったと。」
作者「ハイ!」
三上「返事だけは威勢が良いな!」
三成「まぁそう攻めるな。これまでがおかしかっただけであれが普通だ。」
三上「普通ってどこの何が?!」
作者「まぁともかくそういうわけで。」
三上「ナニガドウイウワケダー?!」
作者「今日は戦国時代の身長についてです。」
三上「関連性無くない?」
作者「戦国時代の平均身長は男性が155センチから160センチほど、女性が145センチほどだったとされています。」
三上「低いな。」
三成「今はそなたもそう変わらぬはずだが。」
三上「私じゃない。貴方だ。私は180近くあったんだ!」
三成「数字で言われてもな。」
三上「えぇ……」
作者「んー、多分清正さんとか高虎さんあたりより四寸ほど低いくらいですかね。」
三上「……それでわかるのか?」
三成「あぁ……成る程。かなり高いな。」
三上「いや標準ちょい下ですけど。」
作者「あちらの基準は戦国ですから。ちなみに三成さんは平均ぐらい、後々出てくるあの人、徳川家康さんも155〜8と平均ぐらいとされています。」
三上「意外と変わらないのか!」
作者「まぁ現代人の身長がおかしいだけとも取れますが……今回はここまで。次回、なるべく早く更新できるように頑張ります。」




