頼むからそんな気軽に出さないでくれ。
新年明けましておめでとうございます。
※注意※
直接的では無いとは思いますが、グロ表現がありますので苦手な方はご注意ください。
友人を庇って重体となった三上正成は、目を覚ますと戦国時代、後の石田三成である石田佐吉になっていた!
いろいろあって史実通り秀吉に仕官した佐吉は早々に舎弟を作り、奥様お手製劇物を食べて倒れたりする。
そんな平和とは言いたくない日々を送るなか、外では戦が起こっていて―?
短いです。
申し訳ありません。
それは、言ってみれば突然の出来事だった。
ねね様の劇物に倒れたあと、何とかかんとか、回復し。
再び小姓として忙しくしていたある日ある時。
たまたま、本当にきっと偶然。
紀之介も市松も虎之助も各々の用事でいない間に。
士官してからほとんど始めてと言っても過言ではないような、珍しい状況に。
妙なこともあるものだ、仕事が進んで有り難いが、などと思いながら仕事を片付けていると。
竹中某の使いと名乗る男が、大事そうに桶を抱えて現れた。
風の噂、どころではないが戦が起きた、知っていた……というかまぁ割といつでもどこでも何処かしらで戦は起きているのだが。
何処かでまだ他人事のように捉えていた自分を、まるで試すように嘲笑うように。
使いの男が淡々と告げた。
「首実検をして頂きたい。」
と。
くびじっけん。
首?
……くび?
まさか小姓をクビに……なんてわけはないか。
あぁ良かった、ひとまずこれで路頭に迷う心配はなくなっ……
などとボケている場合ではなく。
ではクビとはなんぞや、
首実検って、何じゃそりゃ。
響きからして碌でもないことなのはわかるのだが。
まさか人の、生首なんてことは無いだろうと思いたいが。
仮にそうだったとして。
第一誰のなんの首なのだ
なぜ私が人の首を見なくてはならんのだ。
みる義理などあっては困る。
では一体何のことだろうと首をかしげる私の前に、竹中某の使いが平然と丸い桶を持ってくる。
そう、まるで人の首を入れれそうな、蓋のされている円柱型の桶を。
ご確認ください、とぱかっと嫌に軽い音を立てて蓋が開く。
蓋が開けられ、桶の中身が陽の下に明らかになる。
何であるかを理解するより前に、ひ、と掠れた声が漏れたことに、相手が気づいていないといいが。
無意識の震えを抑えて、凝視する。
生首だった。
乱れたぼさぼさの黒髪、黒髪に覆われた黄土色の、大きめのたまごのような形に台座のついたような、表面に目鼻口の揃った、まごうことなき。
生首。
流石戦国時代、切り口鮮やかきっと安らかにいけたのだろうと思わせるような……違う違う違う。
絶対断じてそうじゃない。
呑気に現実逃避している場合ではない。
何故あるのだ。
生首が
ここに。
処理しきれない情報に目を白黒させている間に、使いの男が語るところによれば。
何でも、主君である秀吉の主君である織田信長を裏切った荒木某の討伐が行われるらしいのだが、その前段階として交渉に行った黒田某が帰ってこないらしい。
心配してやれよ高確率で無事じゃないだろと思ってしまうのだが、この時代ではそうではないらしい。
裏切ったと思われて人質であった黒田某の嫡男、松寿丸の首を持ってこいとの命令が出、言われた通りに首を斬って運んできたらしい。
……何でだよ。
色々ちょっと言ってやりたいことはあるが、まず。
まずもって、第一に。
私は黒田某との面識などない。
そしてその子どもの松寿丸とも。
分かりたくもないが首実検と言うのは斬って届けられた首が本物かどうかを見極めるためのものだろう。
つまり、本物を知っていて始めて出来るはずのものなわけだ。
親の顔も子どもの顔も、何なら竹中某の顔すら知らない私がする事では無いと思うのだが。
一体何を考えているのだ、竹中某は……
面識のない相手の顔、もとい首を確認して取り次げ何て、せめて写真ないし似顔絵でもあれば違うのだろうが……
うーん、と悩んでる間にも首桶を持って来た相手も困った顔をしている。
そんな顔をされてもというかそんな顔をしたいのは私のほうだ。
急に生首を持って来られただけでも困るというのに、本人かどうかを確認して取り次げなどと……
待てよ。
知らないことが大事何じゃないか?
唐突に現れたいかにも戦国と言った生首への驚きと、本人かどうか確かめろと言われたことへの困惑が大半を占める頭脳に、曇り空に射す一筋の光のように、閃きが奔る。
いくら戦国時代とはいえ、誰も彼もが非道な訳ではあるまい。
同僚に嫌疑がかけられて人質の幼子を殺して持ってこいと言われても、どうにか庇おうとする人がいてもおかしくない。
というかいて欲しい。
どちらにせよ一人の子供が犠牲になってはいる理由だが。
ともかく、何とか誤魔化そうと別人の首を用意したは良いが、本人の顔を知っている相手が万一首実検なんてしようものなら露見してしまう。
まぁ知っていたとして目を瞑ってくれるかも知れないが、そんな不確実な事は流石に出来ないだろう。
そこで、だ。
元から対象の顔を知らない相手に頼むことにする。
知らないなんて素直に言えるわけもないし言える状況でもない。
そして普通別人の首を用意させるなんて思わないからハイそうです、これが黒田某の嫡男の首に間違いありませんと狙い通りの言葉を言わせることができる訳だ。
……多分。
これで間違っていたら大分恥ずかしい気もするがまぁ良い。
コンマ1秒ほどの一連の思考を終えて、運び屋に向き直る。
何処か緊張した面持ちの相手に、こちらも緊張しながら口を開く。
「確かに確認しました。秀吉様に取り次がせていただきます。」
と、告げたあと微かにほっとしたような顔をされたのは見間違いではなかったと思いたい。
作者「改めまして、新年明けましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いします。新年一発目とは思えない内容ですが、こんな感じで今年もいかせていただきます。」
作者「という訳で今回は戦国時代の年齢感覚について。」
三上「何がという訳で今回はだ。せめてひと言二言突っ込ませろ!」
三成「いつもそれで長くなるからだろう。それにどうせ生首についてだろう?今のうちに慣れておいたほうが良いぞ。」
三上「いやあのな。言いたかったこと全部持ってったうえにいやな助言までしてくるなよ。」
作者「まぁおっしゃる通り戦国時代と言えば生首、生首と言えば戦国時代を含むそれより前の時代と言っても過言ではないほどきりたくともきり離せない存在ですからね。」
三上「だからあのな。」
作者「……気を取り直しまして。戦国時代というか昔は十代の半ば、早ければ前半に元服といって成人の儀を迎えます。」
三成「成人になった証として男子は髪を剃り髷を結うこと、そして佩刀するようになるな。」
三上「……え?いやでもあなたしてな」
作者「……落ち武者は例外ということにしておきましょう。頭部に関して言えば、烏帽子親から烏帽子を授かるというのもありますね。詳しくはまた別の機会になりますが、この烏帽子親結構大事だったりします。」
三上「あー何か聞いたことあるような無いような。」
作者「そして女子は髪上げ、お歯黒、始めて裳をつける裳着があります。……詳しくは源氏物語へGO!」
三上「投げるなよ。というか平安の頃じゃないのか?」
三成「まぁあまり変わってないということだろう。」
三上「ある意味凄いな……」
作者「そして成人が早いぶん、老人に類されるのも早くなります。」
三上「……ちょっと嫌だな。」
作者「当時の感覚で言えば、四十くらいで初老だそうです。」
三上「えっ……じゃぁ、つまり」
三成「私も充分老人扱いされる歳なわけだ。」
三上「えちょっとまってまっていろいろ追いつかないんだけどこのままいくと初老で死ぬってこと私?」
三成「そうだが。」
三上「嫌すぎる!というか四十で初老なら六十とか八十とかはどうなるんだ!」
作者「大大大往生ってことじゃないですかね。ちなみに父親である三成さんはご存知の通り初老で市中引き回しのうえで斬首されますが、嫡男に当たる息子さんは百歳近くまで生きたそうです。」
三上「うーん……ちょっと自慢げな顔するのやめてくれますかね三成サン」
三成「……ふっ。」
三上「何だろうすごく癇に障るなその笑い方。」
作者「まぁまぁ。余談ですが、その百歳近く生きた嫡男、名を重家と言うのですが」
三上「……家?」
作者「彼の烏帽子親を務めたのが徳川家康とされていたり家の字は家康からとったとか言われています。」
三上「え?」




