年号なんて誰が覚えているんだ
前回のあらすじ
通り魔から友人を庇って重体となった三上正成は、目が覚めると見知らぬ場所にいた。
しかもどうやら体が縮んでいるようで、その上佐吉という聞いたこともない名前で呼ばれてしまう。
これは一体どういうこと何だ――?
困惑しながらも情報を集めようとする正成(佐吉)だったが――。
試験期間に入りましたので、しばらく更新はありません。
そして恐ろしく短い。
あとがきの方が長いんじゃないかこれ。
申し訳ありません。
また、そこまで歴史に詳しい訳では無い人間が思いつきで始めた物語なので史実ではありえない状況になっていたりもします。
あらかじめご了承ください。
恐らく戦国時代であろう時代に目を覚ましてはや三日。
三日たっても目覚める場所が変わらないあたり、転生した可能性は限りなく高い。
などと考えること以外することがないために暇を持て余した頭で考える。
体を動かすことはできないし、記憶が混同しているということになったためか、滅多に人も来ない。
重体の人間の元にそう軽々しく来られても困るが。
とは言っても、何かしら情報を集めなければここがどこで自分が誰かもわからない。
床に伏したまま集めた情報によれば、ここは近江国の坂田郡石田村という場所であるらしい。
そして今が天正の元年らしい。
いや知らんわからん西暦で言え。
言われてもわからんけども。
近江国って何処だよ。
滋賀県だっけ?
浅井が織田がという言葉が聞こえてきたあたり戦国時代であるのは確からしい。
それから佐吉という少年はこの村一帯を治めている石田正継――数人の大人を連れて現れた壮年の男性――の子供であるらしい。
つまり目を覚まして一番にあった青年、正澄の弟に当たるわけだ。
つい先日、そこそこの規模の戦が近くであり、行き場を失ったいわゆる落ち武者に、一人で外出していた佐吉少年は襲われ、怪我を負ったそうだ。
……よく生きていたな。
なにはともあれ、まず助からないと言われた弟が目を覚ましたことで感極まっていたわけだ。
—―別人ではあるけども。
それにしても石田佐吉って誰だ?
戦国期の石田っていったら石田三成くらいしか知らないが。
というか日本史上の人物で石田と言えば三成くらいしか思いつかないな。
そういえばいつだったかの大河ドラマで佐吉って呼ばれてた気もする。
何だっけ
というか三成のことだっけ?
そうだとしても兄弟いたとか滋賀県出身とか知らないし。
石田なんてありふれた名前じゃ特定出来ないし。
今1番多い苗字が何かは知らないけども。
仮に石田三成だとしても、どんな人物か詳しくないし。
秀吉に仕えていたらしい、そんで、えーと何をした人なんだっけ。
一応漫画でわかる!歴史人物伝は小学生の頃に全巻読破したはずなのだけど。
わからん。
全くもってわからん。
もういいや、同じ石田ならどっかで会うかもそれないし。
石田三成関係のことを思い出せるだけ……思い出し……関ヶ原?
ひょっとして関ヶ原で負けて死ぬ人間に転生した可能性が高いんですか僕?
えっヤダな、どうせ二度目の生を送るなら今度こそ畳の上で死にたいのに。
もし万が一石田三成に転生したなら間違いなく死に方穏やかじゃないじゃん。
勘弁してよ、僕が何をしたっていうんだ。
それ以外だと検地くらいしか浮かばないし。
いやほんと何した人なんだろ石田三成。
確定したわけじゃないけど。
普通こういうのってさぁ、何か元から知識を持ってるとか、類まれな才能を持ってとか何かしらの転生特典が付いてくるもんじゃないの?
などと誰にでもなく心の中で愚痴ってみる。
いつの時代の何処の誰に転生したのかも分からないんじゃあなあ。
転生損じゃんか。
そもそも転生先でもいつ起き上がることが許されるか分からない傷で寝たきりってのも、ないよなあ。
とそこまで愚痴ったところで、からりと障子が開けられる。
「佐吉様。」
「すずさん!」
恐らく薬湯か粥を乗せた盆を持って入ってきたすずと呼ばれているこの女性が、もっぱらの情報源だ。
「お体の具合は……」
「もう大丈夫ですよ、父も兄も心配しすぎなんです。」
佐吉少年の世話をするよういい使ったであろうこの女性は、記憶が混同していることを聞かされているのか、何を聞いても不思議がらずに快く答えてくれた。
おかげで――すずさんからの情報を信じるなら――ここがいわゆる戦国時代であることや、親兄弟の名前、織田信長の存在について知ることができたのだ。
全く、感謝してもしきれない。
すずさんととりとめのない話をしながら薬湯を飲んでいると、そういえば、と日本人で知らない人は居ないであろう名前がその口から語られた。
「明智様が一昨年から普請なさっているお城の工事が、滞っているようで……」
あまりにも自然に会話に出てきたものだから流してしまいそうになった。
「……ふーん?」
薬湯を飲み込んだあとでよかった、吹き出してしまうとこだった。
明智様。
織田信長の名前が出てくるなら、まあ間違いなく明智光秀だろう。
本能寺の変で織田信長を殺し、その後豊臣秀吉に敗れた男。
今やある意味でその存在が人々の記憶に残り続けている男だ。
――三成に転生したのだとしたら私にとって他人事ではないが。
いや、そんなことより。
明智光秀が普請している城……多分普請が建築ってことだろうから城を建てているってことだろう。
三成に関してもそうだが、明智光秀まで近江国と関係があるとは驚きだ。
すごいじゃないか滋賀県。
一時は天下を取った男と天下を二分した男、両方と関わりがあるだなんて。
呪われているのか近江国。
今のところ負けた人間ばっかり出てくるぞ。
私が石田三成に転生したとするなら、だが。
ため息をつけばまた心配をかけてしまう、と息をつくかわりに、飲み終わった椀を返しながら、話題を変えることにした。
「そういえば、一帯の領主が新しくなるそうですね。」
「ええ……何でも、羽柴秀吉というお方が。」
危うく喉から奇声を発するところだった。
もうだめだ、今日は恐ろしく運が悪い。
織田信長、明智光秀、そして苗字は違うが秀吉。
戦国時代で最も有名と言える武将たちが、会話の中で出そろった。
もう間違いない。
私は戦国時代に転生した。
そして多分転生先は石田三成だ。
しょうがない。
もう腹をくくるしかない。
すずさんが静かに障子を閉め、去ってゆく。
私には障子の閉まる音が、平穏な最期を送る未来の閉じる音に聞こえた。
作者「どうもこんばんは、試験期間中の学生です。第一話、第二話と続き展開に勢いが欠けますが、何卒ご了承くださ――何でここに三上さんが?!」
三上「え?ずいぶんな言い方だな、前回も話しただろ。」
作者「……なんの話ですか?」
三上「……えっ」
作者「えっ?」
三上「いや、ほら前回名月だからって団子出してきただろ?」
作者「……確かに団子は食べましたが……食べすぎたせいかすぐ寝てしまって。」
三上「牛になるぞ。……というか本当に前回はいなかったんだな?」
作者「だからそう言っているじゃないですか。……私が寝ながらしていた可能性が若干無いですけど。」
三上「無いのかよ。」
作者「いや、あとがきを書こうとは思っていたのですが。前回の内容的にやろうと思っていたことができなさそうで断念したはずで……」
三上「……やろうとしていたことって?」
作者「コラム的な何かですね。戦国時代の豆知識とか、人物の紹介とか。」
三上「ほーん。確かに結局何もわからなかった前回じゃあ書けることないな。」
作者「うっ。いや、ほんとはもうちょっとスムーズにいくはずだったんですけど……」
三上「いってないけどな。」
作者「そこまで歴史を知らない人がいるとは想像していなくて……」
三上「遠回しに人のせいにしようとしてないか?」
作者「チガイマスヨ。まぁそれに、普通に考えて誰も彼もが死んだはずなのに生きてる!じゃあ転生したんだ、ここはどこで今の私は誰それ何だ!ってなる訳がなくない?って思ってしまいまして。」
三上「まぁそりゃその通りだったけどな。」
作者「という訳で今回も特に書けることはないのですが、書かないのも嫌なので最近割とメジャーになった戦国豆知識をご紹介します!」
三上「急だな?」
作者「現代では怪我をすれば病院に行けますが、戦国時代にはそんなものはありません。職業としての医者もいることはいますが、そう頻繁にかかれるものではありませんし、何より現代ほど医療が発達していません。」
三上「ふむふむ。それで?」
作者「特に戦場では兵士全体に行き渡るほどの薬草なんてありません。現代では当然のように使われる消毒液などもありません。そこで代わり――になったかは知りませんが、使われいたのが――。」
三上「……使われていたのが?」
作者「戦場で入手しやすかったであろう、馬糞です。」
三上「……え。」
作者「馬糞です。」
三上「馬糞。」
作者「ええ、馬糞です。現代の価値観から言えばあり得ないものですが、当時は当然のように使われていました。あとはまぁ、同じく馬の……」
三上「もういいもういいもういい、とんでも医療がまかり通っているのはわかった。……つまりあれか、私が今後戦場に行って怪我でもした暁には馬のアレコレまみれになるという事か?」
作者「つまるところそういう事です。」
三上「嫌すぎる!」
作者「……まぁ頑張って……ください?」
三上「他人事みたいに!他人事だけど!」
作者「……テヘペロっ?」
三上「古いぞ?」
作者「ま、まぁ前線に出ることがなければ大丈夫な可能性が高いですし、大将になれば薬草を使うこともできたりするのでは?」
三上「無責任だ……」
作者「と、まぁこんな感じで戦国時代の豆知識何かを紹介できたらと思っています!今後ともお願いします!という訳で三上さんも頑張ってください。それではまた~。」
三上「言いたいことだけ言って終わらせよった……」
三上「って、あれ……そういえば……」
作者「そういえば……」
三上·作者「前回あそこに居たのは結局誰なんだ……?」




