奥様、ちょっと素破に興味ありませんか
前回までのあらすじ
友人を庇って重体となった三上正成は、目を覚ますと戦国時代、後の石田三成である石田佐吉となっていた。
なんやかんやあって秀吉に小姓として仕える事になり、早々に絡んできたガキ大将、福島市松にまぐれ勝ちした佐吉に、新たな影が忍び寄る―
懐かれた。
あれから、なぜか。
市松少年に。
いや、懐かれたというのは語弊がある。
認められた、というのが正しいだろうか。
小姓として割と忙しくしている私を見かけては絡んでくる市松少年を適度にあしらう日々を送るなか。
小姓仲間の紀之介と仕事をしているときにふとそんな話になり。
多分……と答え合わせのようなものがあった。
「自分より弱いと思っていた相手に負けたのが初めてだからだろうな。」
……遠回しに喧嘩売られた?
市松少年にとって初見自分より弱い奴認識だったと。
そしてそれが見て取れたと。
そういう事だろう。
否定はしないが。
手を止めて非難がましい目を向けると、なぜか目をそらしながら言葉が続けられる
「まぁ実際驚いたからな。私も、虎も。」
負けると思っていたんかい。
「えぇ……。」
勝ち目はそりゃ無さそうだけど。
負けそうと思ったならその段階で助け舟の一つや二つ、出してくれたって良いじゃないか。
新人が早々ぼこぼこにされるとこだったのに。
体育会系よりよっぽど……仮にも戦国時代なら当然か。
などと考えていると、さらにひどい続きがあった。
「正直コテンパンにされると思っていたのだが、思ったより…というか想定外というか。」
だから止めろって。
と言うわけにもいかず、適当に合いの手を入れる。
「勝ってしまったと」
「そうだ。驚いて声をかけるのが遅くなったほどだ。」
確かにちょっと遅かったけども。
……遅かった理由それか!
「そう思うならはじめから庇ってくれても良かったじゃないですか。」
「それはムリだ。市松は」
紀之介が半笑いで言いかけた、その時。
「佐っ吉ー!!」
スパァンッと勢い良く障子を空けて市松が飛び込んできた。
後ろに困り顔の虎之助を従えて。
タイムリーな奴だ。
そんな事より毎度毎度こんなに勢い良く開けられてよく壊れないものだ、この障子も。
戦国時代というのは、人だけでなく物まで丈夫らしい。
若干現実逃避を試み始める私の隣に腰掛ける市松、宥めながらにこやかに二人を迎える紀之介。
やれやれ。
今日もまた、騒がしくなりそうだ。
我が物顔で部屋を賑やかにする市松に、生温い目を向けながら、息を吐く。
まぁ、悪くは無い……か。
何処か懐かしさを感じながら、座り直す。
これまでと同じように、何の変哲もない、平和な市松がすぎると、その時の私は思っていたのだ。
市松と虎之助とじゃれながら細々と仕事をしている部屋に、ある人物が来るまでは。
「あら、みんな揃っているのね。ちょうど良かったわ。」
明るい声とともに、盆を持った女性が、部屋にあらわれる。
「っっっねね、様っ!」
何処か怯えたような顔になる三人と、ねね様−秀吉様の奥方とを交互に見比べる。
秀吉様に挨拶をしたとき、隣にいた事は憶えているのだが。
……そんなに怯える必要がある相手では無いように、とそこまで考えたところで、三人の目がねね様の持つ盆に注がれている事に気付いた。
えーと……何でそんなに引いているかだけ聞いても
再び三人に目を向ける。
と、じり、とねね様が近づいてくる。
手に盆を持って。
おいわんぱく小僧組、露骨に逃げるな怯えるな!
紀之介、何とかいっ駄目だ一番深刻そうな顔をしている。
そんなに不味いのか?
だとしても尋常ではない……気が、なぜ私を盾にする?!
「おい…虎之助、一体どういう事なんだ?」
手近だった虎之助に小声で問えば、良薬を口に流し込まれた子供のような顔で言葉が絞り出される。
「ね……ねね様の料理は……劇薬なんだ!」
「劇薬?」
よくそんな難しい言葉を知っていたな。
偉いぞ。
……ってそうではなくて。
思わず頭を撫でようとした手を引っ込めて、聞き返す。
料理が劇薬ってどういう事だ。
「五回に四回の確率で九割の人間が生死の境を彷徨うような代物なんだ……!」
そんな物を作らせるな!
というかやたら細かいな。
データ取れるレベルで起きてるのか?
……ここまで来ると死人が出ていないのが奇跡だな。
直接結びついていないだけかも知れないが。
と、こそこそ言い合っている間にも、本日のねね様の料理、もとい劇薬の犠牲者一号が決まったらしい。
可哀想なほどにがたがたと音が聞こえそうなほど怯える市松を、大変だなと思いつつ見ていると、市松が叫ぶ。
「さ、佐吉は……まだ、来たばっかだから……歓迎ってことで佐吉から」
裏切ったな市松ぅーーーーー!
「まぁ。そうね、市松の言う通りね」
とねね様がこちらに目を向ける。
怒りと非難を込めて市松を睨みつける、間にも、ねね様の手が近づく。
「ほら、佐吉?」
ふつふつと、なぜだか沸騰する湯のような音がする。
それから焦げたような匂いと、つけものような匂いと、微かに甘い匂いがする。
それぞれが独立していればまだ良かったのだが、どうも混じり合っている。
断りきれずに開けた口に、料理が入る。
「……?!っ、ぅ?」
途端に口内に味が広がる。
舌が旨味以外の全ての味を感じ取る。
……嗚呼。成る程、これは……無理だ。
過度な情報を脳が処理しきれずに、私は暗転する視界に呑まれた。
ほぼ同時に倒れ込む第二の犠牲者、虎之助を横目に捕らえながら。
だから顔合わせのときは遠慮してもらったのに、という紀之介の小さな叫びを遠くで聞きながら。
ありがとう紀之介。
そして佐吉ーーーとか叫んでる市松、お前は目が覚めて回復したら一発入れてやるからな。
覚悟しとけよ。
三成さんはトラウマが蘇って体調不良のため、本日は欠席です。
幽霊なのに……なんてことは言わないであげてください。
作者「さすがに2日は無理でした、作者です。もっと早く、より楽しんでもらえる作品を書けるようになりたいですね。」
三上「まぁ頑張れ。5日あってぎりぎりになる人間には無茶だなとは思ってたけどな」
作者「思ったなら止めてくださいよ。まぁいける気がした私も悪いですけど。
思ったより無理でした。
念の為今日も指定していて助かりました。」
三上「まあ人間誰しも予定通り物事を進められない事はあるけども。」
三上「遊んでたわけじゃないよな?」
ギクッ。
作者「そ、そんな訳ないじゃないですか、まさか最推しが新キャラとして出ると聞いて半年ぶりに周回して貯めてたなんてそんな」
三上「凄い早口……遊んでたんだな?!」
作者「……という訳で今回は戦国時代の遊びついてです。」
三上「逃げたな。」
作者「戦国時代の多くの人の生活は、日が昇れば起きて活動し、日が沈めば眠りにつくというものでした。」
三上「現代みたいに夜遅くまで作業ってのは難しいのか……」
作者「そうですね。まぁ日が暮れても活動できている現代がおかしいとも言えますが……そんな戦国時代は、農民から武士まで基本的に忙しくしていました。」
三上「……遊びについてだよな?」
作者「戦国時代の武家に生まれた子供は、遊びを通しても武芸やらなんやらの訓練をしていたと言われています。双六や囲碁など、頭を使う遊びで軍略を、身体を動かすことで武芸を。という感じだと思います。多分。」
三上「多分て。」
作者「リアルタイムで見てるはずの一番詳しい人がいないので…」
三上「あんまり子供やってるイメージつかないけどな。」
作者「まあまあ。ちなみに大人だと鷹狩りとかも入ってきますね。準備というか色々大変なのでそうぽんぽんやれることではなさそうですけどね。」
三上「へー…意外とあるんだな。」
作者「あとはやっぱり読書とかだったりするのでしょうかね。ちなみに鷹狩りは三成さんも好きだったようですよ。」
三上「……嘘だろ?」
作者「ほんとですよ。」
三上「えぇ……」
作者「次回、年内にもう一度更新予定です。
よろしくお願いします。」




