表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】もう結構ですわ!  作者: 綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢をよろしく


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

55/80

55.冠雪ではなく塩害

 ル・メール侯爵は寝る間も惜しんで、翻訳してくれた。古代語をそのまま翻訳した詩を、一般的な言い回しに直してもらう。事実上、二回の翻訳が必要なのよ。


 本国では雪が降らないのに、冠雪に似た表現が何度も出てきたらしい。山の頂上が白く染まったと。高い山は、今でもほんのり白い。その理由が判明した。山に雨を降らせたの。限られた山に何度も海水を降らせ、塩が雪のように残った。


 水は山に染み込み、ゆっくりと濾過されて川になった。最初に加減が分からず、大量に海水を降らせたみたいね。濾過が進むと、地下水が満ちて大地が潤う。その過程で生まれた塩も、活用してきた。確かに本国では岩塩が主流だわ。


 海から分離するヴァレス聖王国と違い、山に岩塩があるから海水を煮なくて済むの。なるほどと納得した。これなら農地が塩まみれにならなくて済むのね。どうやって農作物を育てたのかと思ったけれど、意外な方法だったわ。


 地下水となって湧き出すまで、数年かかったそうよ。その記述も見つかった。ご先祖様は濾過にかかる時間を忘れて、水が湧き出ないからと大量の海水を降らせて続けたの。それこそ、海の水が目に見えて減るくらい大量に……。


「となると、かなりの量と期間だったのね」


 その水が枯渇したことが、大地の乾燥した原因だった。普段雨が降っていたのも、地下の湿気が影響していそう。大地で蒸発した水が、上空で冷えて落ちる。そう考えたら、本当にすごい量の海水を汲み上げていた。


 ずっと繰り返された雨と湧水だけれど、徐々に川となって海に合流し、今に至る。また降らせるなら、塩が取れる山を使うしかないかも。


「塩を分離させる魔法道具を作ったらよかったのよ」


「シャル、普通に濾過装置ではダメなのか?」


 そのほうが簡単だ。レオに指摘され、目を見開いて凝視する。そうね、確かに濾過装置を作ればいいんだけど。スポンと考えが抜けていたわ。ご先祖様が山に降らせた原因も、それじゃないかしら。うっかり地上に降らせて塩害になり、慌てて人里離れた山に降らせた。


 ありそう……。ルフォルの一族って誇り高いけれど、アレじゃない? 変態多いし、極端な考えや趣味趣向の持ち主も普通にいるし。苦笑いが浮かんだ。


「魔法道具を取りに戻りましょうか」


 くーん、きゅー! 大人しくしていたドラゴン達が、ばたばたと脚を踏み鳴らす。軽い地揺れを引き起こしながら、彼らは訴えた。ちょっと隣大陸へ遊びに行きたい。船を押すなり引くなり、手伝うから……と。


「リュシー?」


 あなたが説得したの? 褒めてあげようと思ったのに、叱られると勘違いしたリュシーは首を大きく横に振った。振り子のように反対に尻尾を振りながら、全身で否定する。赤いドラゴンが教えてくれたのは、羨ましがるように伝えたリュシーの説明だった。


 説得じゃなくて、勧誘だったのね。


 旱魃解消の手段が見つかった。船の職人達が歓声を上げて造船所へ走り、後ろを農民が追いかける。この際、航路を開拓するべし! と息巻く商人が追いかけた。


「まて、危険を確認するのは我々が」


 叫びながら貴族が最後尾を務める。なんとも締まらない姿だけど、現実ってこんなものよね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ