遊園地での一幕
皆様の作品お待ちしております。
「ねえ! 次あのジェットコースター乗りたい!」
「おい、それフリーフォールだから別のアトラクションだぞ。良いけど」
愛子に引っ張られるまま、俺は遊園地のアトラクションに付き合わされていた。
「リタは」
「嫌だって言っているにゃ」
「だよなあ。ミレーは身長制限に引っかかるし、オルスも別に乗る気ないんだろう」
「ああ、別に二人と一緒に楽しむほどじゃないしな」
「水城! 早く行こうよ!」
「ああ、じゃあまた待っていてくれ」
水城が愛子とかいう女と一緒に、遊園地のアトラクションとか言う場所に行くのを見送ると、俺はまた二人に話しかける。
「本当に乗らなくていいのか?」
「そう言うオルスはどうにゃ」
「私は、身長ばかりは……どうしようもないですし」
いつになく消極的な二人に俺はどうすればいいのか困ってしまう。そこで、水城の父上だと言う人が声をかける。
「少し良いかな」
「あ、はい」
「私は天滿土骸、水城の父だ。水城の仲間だとあいつが言った君たちに聞きたいことがある」
「はい」
「あいつに一体何をしたんだい」
その要領を得ない質問に困惑していると、土骸さんは続きを語る。
「あいつは幼少期からしばらくの間、我が家系の習わしに違和感を抱かず暮らしてきていた。それこそ人死にが沢山出ているにもかかわらず、それさえ当たり前だと生きていた。なのに突然それに疑問を抱き陰陽術を使わないと言い出したのが……」
「あの、その話をしてどうして。何が繋がるんですか」
「話は最後まで聞きなさい。陰陽術を扱う上で人死にが出るのは当たり前のことだった。任務中の不慮の事故、弱者を切り捨てる儀式での死亡、何も珍しくない。中国では蟲毒とさえ呼ぶ共食いをし合い強くなる儀式のようなことを我々はしている。それに疑問を抱き術を使いたくないなどとのたまう弱者は切り捨てるつもりだった。だがどうだ、あいつは術を使う事をためらわなくなり、あまつさえ強くなって帰ってきた」
「……」
「炎仁の時もそうだ、儀式から逃げるために魔法の研究所に行ったと思えば確かに強くなって帰ってきた。しかもいかなる理由があろうと『殺してはならない』基準に到達してな。炎仁はともかく水城を変えたとすれば研究所の何かだ。だからこそ、近くで見ていたであろう君たちに」
「変わってなんかいないにゃ」
「リタ」
「……」
リタが、そこで話に入って来る。
「水城は、私が入学許可証を盗んだ時も、昇級試験で何をすればいいのか分からない時も、いつも何かを突破するときには悩みながら陰陽術を使ってくれたにゃ。だから」
「それは違うんじゃないか」
「それは違うと思います」
「にゃ」
「……」
「確かに最初は悩んでいたかもしれないけれど、でも最初から軽い物なら無意識に使っていただろう」
「でも、最近は強いモンスターを討伐するのにとか、困難を乗り越えるのとかにしか使わなくなりましたよね。ダンジョンに結構潜っていますから頻繁に使っているように見えますが」
「悩んでいるのはどうだろうな。最近は悩んでいる様には見えないけれどな」
「でも、水城は今でも一人の時は使うの躊躇しているにゃ。魔法の授業でも、頑なに魔法とは違うって使わないにゃ」
「あーそれはありますね。試験とかでは合格のために躊躇なく使いますけれど、何か線引きはありそうな気はしますよね」
「なるほどのう、もういいぞ」
「え」
そこで、草縁と言ったおじいさんが話を止める。
「土骸も良いじゃろう。お主の見つけられなかったものをあ奴は見つけたようじゃ。もうお主の強さとは別の強さを身に着けておる。これ以上はわしらでは育てることは敵わん」
「そのようですね」
「え」
「異国の者たちや。老いぼれからせめてもの頼みじゃ」
「はい」
「水城の隣にいておくれ。儂達には出来ぬことじゃからの」
書きだめ放出。もうすぐ次の作品が書けると良いな。




