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Review(レヴュー)!  作者: 鴉野 兄貴
二次創作が好きな男の子

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23/149

君が大人になる前に

原曲

「やのすけ音楽堂」さん

http://www2s.biglobe.ne.jp/~tkamata/


歌詞リンク。

http://www2s.biglobe.ne.jp/~tkamata/midi/tako.txt

音声(唄つき)

http://www2s.biglobe.ne.jp/~tkamata/midi/tako.mp3

 「アイツと俺が踊ってる最後のビデオ。編集したんだ。見るか? 」

むしろ見てくれ。と義樹の目は語っていた。


……。

 ……。

 ……髪の毛がほとんど抜け落ちた少女が帽子をかぶり、コスプレをして微笑んでいる。撮影は美幸。

アップテンポの曲が流れ出す。唄は当然、あの有名な音楽ソフト。


 「蛸音ミクいきますっ! 」「作詞/作曲:やのすけさんですっ! 」

お~~~~~~~~~! そういって盛り上がる小児病棟の幼い子供たち。


 『岩場でウツボとデスマッチ♪ 』

綺麗に二人の腕が上がった。


 『足を狙うのは卑怯です♪ 』

機敏に動く義樹と少しふらつきながらも先読みの動きで合わせる少女。

足元に蹴りこむそぶりをする義樹に倒れ掛かり、抱きついて微笑む。

 『かじられて ちぎられて 足が減ったよ

痛いです 泣いちゃうから

タコスミ噴射で スタコラ逃げろ♪ 』

コミカルな動きは義樹がうまく彼女を支えることで成立している。


 『何はなくとも海の中♪

平和な生活どこにある ♪

火星人 襲来だ ちょっと違う?

空を飛ぶ タコが飛ぶ

雲を突き抜け 宇宙へFARAWAY !!!』


 大盛り上がりの子供たちと合成された海や宇宙の画像。

美幸でなくても笑うしかない。むしろ大笑いした。


 『ボーカロイドはタコの夢を見る !

触手でいたずらしちゃいましょ !!

ボーカロイドがタコでもいいよね~♪

みくみく♪ みんなを♪

 ……骨抜きにしてあげる~ 』


『みくみくっ♪ 』

義樹と少女は華麗な投げキスを周囲に放ち、両手をつないでフィギアスケートのような演舞を魅せる。

看護婦が慌てて止めるのを小谷野が止める光景が写っているはずなのだが。


 「……おいっ! フランケンになってるぞっ!! 」

小谷野が見たら泣くぞ。マジで。

「ガハハッ!!! 本人了承の編集だッ!! 」 マジか。


 ……少女のパートに入る。


 『8本足だと困ります ♪

似合うコスプレがありません ♪

メイド服 セーラー服 巫女さんも無理ね ♪

ネコミミを 付けちゃおか ♪

駄目駄目 ネコにはタコは禁物♪ 』


……いや、似合っている。最高に似合っている。美幸はそう思った。信じた。

 

 『穴があったら入りたいなら

猟師の罠には気をつけて

捕まって 茹でられて 食べられちゃうから

タコ焼きだ タコ飯だ

衣を付けたら タコタコあがれ』


 ……義樹パートで少女をまた持ち上げる義樹に大騒ぎの病院スタッフ。

「また怪物にされ」「本人了承♪ 」色々酷い。

……少女と義樹の二人は瞳を合わせ、一斉にコーラスに入る。


 『ボーカロイドはタコの夢を見る ♪

触手でマイクを離さない ♪

虹色の~サンゴのステージで ♪

みくみく 歌うよ♪ 毎日が蛸音ミク~!!!!』


 『みくみく! 』

二人の握られた手が、しっかりと上に上がった。


 『ボーカロイドはタコの夢を見る ♪

触手でマイクを離さない ♪

ボーカロイドがタコでもいいよね ♪

みくみく 歌うよ! 毎日が!蛸音ミク~! 』


 『みくみく!!! 』

病棟の皆が、スタッフが叫ぶ。大盛り上がり。


……。

 ……。

 「……どーよ。自信の編集だろうが」

「すげぇなんてもんじゃねぇ。お前、プロになれるぜ」


 「ソレだ」

義樹はニヤリと笑った。


 「アイツはアイドルになった。皆に夢を、希望を与えるアイドルにな」

まぁな。美幸は認めざるを得ない。こんな凄いビデオを見せられたら。


 だが、義樹の次の台詞は美幸の想像の斜め上を行った。

「……次は俺たちの番だろ? 」「はい??! 」


 ナニをいってやがる。俺は大人になる前に死ぬんだぞ。義樹。

好きで書いてたヒーローの二次創作は全削除されちゃったし。今更なにをしろと。


 「好きじゃなければ二次創作なんかしないっ!!!!!!!! 」

義樹は言い切った。


 「好きだって。皆と一体感を味わいたいからやってるのだっ! 俺は!!! 」

「……お前、難しいこというな。マジで」


 「たとえ、俺は某音楽ソフトが著作権アウツになっても好きなのを辞めないぞっ! 」

「お前も、書いてくれっ! とびっきりのをっ! ヒーローをっ! 」


 「な、な、ナニを」

ボロボロ泣く美幸の肩を義樹は掴んだ。


 「大人になる前にっ! 死んじゃうならっ! 『今』夢をかなえようぜっ!! 」

二人の夢。幼い頃に誓った夢。叶わないはずの夢。


「……俺の撮影と、お前の脚本っ! 最高のヒーローモノを撮るんだっ!!!!!!!! 」

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