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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。

2番目の男

掲載日:2026/02/12

***BL*** 僕は二番目の男。彼には地元に彼氏がいて、遠距離恋愛をしているから。ハッピーエンドです。

 彼には彼がいる。

 遠距離恋愛。

 相手は高校の同級生。

 大学進学で彼が上京、彼氏は地元に残った。

 大恋愛で、彼が上京する時は大変だったと聞いた。

 長期休暇が楽しみで、地元に帰り、ギリギリまで実家で過ごすと言っていた。

 大学の夏休みは長い。

 早々に地元に帰り、短期のバイトをしながら、毎日デートをする様だ。


 それが、僕の友達。で、好きな人。

 だから、僕は長期休暇が嫌いになった。

 大好きなあの人がいない世界。

 連絡しても返事が無い。

 早く帰って来れば良いのに、、、。

 そればかり考えているから、時間は止まった様に遅い。



 大学が始まるとやっと彼に会える。

 それからは、毎日昼食を一緒に摂り、時間が合えば一緒に過ごす。



 ただ、僕の気持ちは彼に届かない。



 好きだと思うのは、俺ばかり。



*****



 彼が熱を出して大学を休んだ日。助けてって連絡が来た、僕は彼のマンションに行った。

 ワンルームの学生用のマンション。

 入り口でインターホンを押し、暫く待つ。

 彼は寝ているのか出なかった。

 もう一度押す、、、。

 出ない。

 もう一度、、、。

 仕方が無いからスマホの通話ボタンを押した。

 出る気配は無い。

 彼から連絡があったから、色々買い出しをしてきたのに、、、。そう思いながら、ため息をいた。

 漸く彼から、「インターホン押して」とSNSが来た。

 部屋番号を押して、呼出ボタンを押すと無言で自動ドアが開いた。

 部屋を探して、ドアのインターホンを押す。

 

 返事は無い。

 玄関の前で20分は待った、、、。


 僕は仕方が無いから、玄関先に買った物を置いて、SNSで連絡をしてマンションを後にした。



*****



 本当は彼の様子が心配だったけど、インターホンを押してもSNSで連絡しても返事が無ければ、僕に手立ては無かった。

 外は冷たい雨が降っていた。彼の玄関先にコンビニで買った物を届けただけでも、感謝して欲しかった、、、。



*****



 翌日、金曜日、僕は案の定、寒気と闘っていた。

 大学に行き、夕方には気分も悪くなった。

 早々に家に帰り、布団に潜り込んで、全てをシャットダウンして寝まくる。


 アイツからは一切連絡は無い。

 僕は寝た。兎に角寝た。ひたすら寝た。たまにウトウトと目を覚ましたけど、直ぐに寝た。

 金曜日の夜から日曜日の昼過ぎまで、ご飯も食べずに寝た。

 日曜日の朝方、スマホの充電が切れている事に気が付いた。

 何とかスマホを充電器に乗せ、そのまま寝た。

 夕方、少し元気になってSNSを見たけど、彼からは何も連絡は無かった。



 僕はそう言う存在。



*****



 それでも良かった。だって彼が好きだったから。

 どうせ僕は付き合って貰えない。

 彼には大事な恋人がいるから。


 春休み、高校の友達と旅行に行った。夏休みと冬休みにバイトをして、貯まったお金で海外へ。

 彼は実家に帰るだろう。

 僕は彼の事を考えたく無かった。

 初めての海外旅行、高校の同級生五人の旅は楽だった。

 計画を立てるのが好きな友達が、色々提案してくれた。

 気遣いが上手いヤツもいる。

 時間の潰し方を知っているヤツ、、、。

 僕は何にも考えなくても、何とかやっていけた。


 でも、旅行から帰ると、アイツの事を思い出す。

 

 連絡のない日々。


 大学二年生になった一番初めの日に、彼は

「よぉ!」

と言って、近寄って来た。

「彼氏とデート、沢山出来た?」

僕はにっこり笑って聞いた。

 でも、次の瞬間には返事を聞きたく無くて

「海外旅行に行ったんだ。はい、お土産!」

と言って、彼に渡した。

「何処に行ったの?」

と聞かれて、旅行の話しに花を咲かせた。



 そして、いつもの日常が帰って来た。



*****



 夏前の、少し肌寒い夜。

 昼間は半袖で過ごせるのに、夜は薄手の上着が欲しいそんな時期。

 僕と彼は二人きりだった。

 僕は、叶いもしない気持ちを伝え、自分の恋を諦めようと心に決めた。

 、、、それなのに、まさかの

「良いよ、、、。付き合おう」

だった。


 僕は、頭が回らない。

 何故、彼は「良いよ」と言ったんだろう。


 いきなりキスをされた。

 不意打ちで涙が出た。

 嬉しい気持ちと同時に、彼の彼氏に申し訳ない気持ちでいっぱいだった。


 ごめんなさい、、、。



 誰にも届かない言葉。



 ごめんなさい、、、。



 彼の彼氏に罪悪感を感じながら、、、。



**********



 俺は、一年間の遠距離恋愛に幕を閉じた。

 恋人に新しい相手が出来、俺には気になる相手がいた。


 大学一年から二年に上がる春休み。

 実家から帰ると友人は

「彼氏とデート、沢山出来た?海外旅行に行ったんだ。はい、お土産!」

と言った。

 俺は返事に困りながら、どこに行ったのか聞いた。



*****



 もうすぐ、夏だな、、、。と思った日、友人に告白された。

 凄く嬉しかった。



「良いよ、、、。付き合おう」

と返事をしたのに、友人はそれきりだった。


 何故?


 と、思いながらキスをしていた。

 友人は涙を流した、、、。

 可愛いと思った。俺のキスを喜んでくれた。


 それなのに、友人はちっとも幸せそうじゃなかった。



 彼は何故、涙を流したんだろう、、、。



**********


 

 付き合い出した夏。

 彼に会っている時間は楽しかった。

 一緒にいる時間がこんなにも満たされるとは知らなかった。

 何処に行っても、何をしても、何もしなくても楽しかった。


 でも、一人になるとダメだった。

 彼の彼氏を思い出し、僕は二番目の男なんだと実感する。

 

 彼は今頃、彼氏と電話をしているかも知れない。

 彼氏の事を思い出しているかも知れない。

 彼氏の為に、夏休みの計画をしているかも。

 

 そんな事をグルグル考える。


 

 彼と初めて、恋人同士の触れ合いをした日、嬉しいのに淋しかった。

 遠距離で彼氏と会えないから、僕に触れるのかな、、、?そんな考えが頭を掠める。

 一度、身体の関係を持つと、彼は毎日僕に触れた。

 会う度に彼が触れて来ると、僕はまるでデリヘルかセフレの様に感じた。

 彼は確かに気持ち良さそうで、必ず最後までいくのに、愛していると言われた事は無かった、、、。


 愛しているのに、、、。

 多分、愛してくれているのに、、、。

 僕はいつまでも二番目の男だった。



 僕が彼に好きだと言ったのは、告白した日だけだった。恋人のいる彼の重みになりたく無かったから。僕は「愛してる」も、「好き」の言葉も言えない。

 だから、尚更僕は幸せそうに接した。いつもニコニコする様に心掛け、僕は君と一緒にいると楽しいんだとアプローチした。



 彼の誕生日とクリスマスには食事に誘った。プレゼントは買わない。

 後に残る物は、彼の恋人に悪いと思ったから、、、。


 でも、結局、僕が彼と付き合っている事が一番悪い事なんだ、、、。



*****



 彼が冬休みは実家に帰らないと言った。

 僕は理由を聞きたかったのに、聞けないでいた。

 そう言えば、夏休みも帰らなかった。バイトを入れていたからかと思っていたけど、、、。

 彼氏に会いに行かないのかな?

「お正月なのに、実家に帰らないの?」

「夏休みみたいに長く無いし、バイトもあるからな」

「そうなんだ」

僕は勿論嬉しかったけど、彼氏は大丈夫なんだろうか、、、。



 クリスマスもお正月も一緒にいられるのは嬉しかった。

 デートは相変わらず、彼の家でコンビニで買い出しをして、一日中映画を見たり、触れ合って、抱き合って眠り、布団の中でまったりしていた。

「ね、何か欲しい物ある?」

と彼に聞かれて、僕は彼の彼氏を思い出す。

「何もいらない」

ギュッと彼にしがみ付く。

 彼はきっと、彼氏に色々プレゼントをしただろう。彼氏と同じ物は欲しくない。

「でもさ、クリスマス来るから」

「じゃあ、何か美味しいもの食べたい」

「良いよ。何か選んでおいて」

、、、僕は、彼が選んだ物が食べたかったのに。

「分かった。考えておくね」

結局、選ぶのを辞めた僕は、いつも通りの日を二人で過ごした。



 お正月は二人で初詣に行った。珍しく外出をしてデートみたいだった。電車で有名な大きな神社に行き、お参りをして、おみくじを引いた。彼がお守りを買ってくれたから、僕は出店でたこ焼きと焼きそばをご馳走した。

 彼からの初めてのプレゼントだった。凄く嬉しくて、宝物にしようと決めた。



 初詣から帰り、彼の部屋に行く。

 彼がポストを開けると、年賀状が一枚入っている。差出人の住所が彼の地元だった。

 彼氏からの年賀状だ。

 部屋に入ると、彼はいつも郵便物を置く場所に、それを置く。僕が帰ったらゆっくり読むんだろうな。


 いつもの流れで二人で布団に入る。お正月早々、僕は何をやっているんだろう、と考えながら彼に抱かれた。



*****



 二月のバレンタインデー。僕はチョコレートを買った。

 このチョコレートを渡して、彼と別れようと思う。

 僕は、疲れてしまったんだ。

 彼は彼氏と別れていない。僕はずっと二番目の男。

 罪悪感を感じながら、一番に選ばれる事なくこの関係を続けるには長過ぎた。

 彼と彼の彼氏に謝りながら、その日を迎えようと心に決めた。



**********



 結弦ゆづるは、いつも笑っている。

 それなのに、ふとした瞬間淋しそうな顔になる。

 俺は、結弦に何か悩み事があるんだろうと思いつつ、中々聞けないでいた。

 結弦の淋しそうな顔が一瞬で消えるからだ。


 俺は結弦が大好きだ。いつも一緒にいたい。時間が許す限り、彼に触れていたい。

 自分でも良く無いなと思う。

 ちゃんと外にデートに行ったり、健全な付き合い方をしないといけないのに、結弦に会うと我慢が出来なくなる。

 いつも一方的な愛し方で、悪いと思いながら止める事が出来ない。

 俺はいつまでも中学生みたいな愛し方しか出来なかった。



*****


 

 元旦に年賀状が一通来ていた。宛名の文字を見て、誰から届いたのかすぐに分かった。

 それよりも、俺は結弦と布団に入りたくて仕方が無かった。正月早々馬鹿だと思いながら、結弦に触れたい。匂いを嗅ぎたい。キスをしたい。



*****



 バレンタインデー、結弦は俺にチョコレートを渡しながら

「ごめんね。今日で最後にしよう」

と、泣きそうな顔で言った。

 俺は意味がわからなくて固まった。

「えっと、、、」

俺の事、嫌いになった?俺、結弦に何かしたかな?したか、、、会う度に布団に誘ってばかりだもんな、、、。

「ごめん、俺が自分勝手だから、、、」

結弦は首を振った。

「違うよ。僕がもう限界なんだ、匠は悪く無い」

「そんなに、俺、しつこかった?ごめん、もっと回数減らすよ。毎回なんて止める、我慢するよ。デート!デートしよう?外に行って、美味しい物食べたり、楽しい事しよう?」

結弦はクスッと笑った。

「違うんだ、匠。僕、二番目の男に疲れちゃったんだ、、、」

「二番目の男?」

訳が分からず、眉間に皺が寄る。

「匠、遠距離の彼氏いるでしょ?。僕、匠の事、諦めるつもりで告白したんだ。匠が付き合う?って言ってくれて、嬉しくて付き合ったけど、、、やっぱり罪悪感が酷くて、もう無理だなって」

「、、、」

「一番目の男にもなれないし、いつも匠の彼氏に申し訳無かった。クリスマスとかお正月に匠と一緒に過ごせて嬉しかったけど、頭の何処に君の彼氏の存在があった、、、」

「、、、」

「、、、疲れちゃったんだ。、、、良い子でいられなくなって来た。僕だけの匠になって欲しいけど、そんなの我儘だって分かってるから、、、。今日で最後にしよう」

「待って!」

「?」

「俺の事、好きなんだよね?」

「そりゃぁ、そうだよ。だから苦しいんだ」

「俺とのエッチは嫌?」

「イヤじゃ無いよ、、、。でも、ちょっと寂しいかな?」

テーブルの上のチョコレートを見つめながら、弱々しく言った。

「いつも、デリヘルがセフレみたいだなって思ってた」

「そっ!そんな事っ!」

いや、あるか、、、あるな、、、。結弦の方からしたら、そうかも知れない、、、。

「ごめん、、、俺が悪い、、、」

「良いんだよ、、、。僕も嫌われるのが怖くて言えなかったんだから」

俺は立ち上がって、郵便物の山を探す。

 いらない郵便物は早々に捨てているから、探し物はすぐに見つかった。

「これ、元彼からの年賀状、、、」

結弦の前に出す。結弦は静かに手に取った。

「見て良いの?」

「勿論」



**********



 匠が持って来た年賀状には、年始の挨拶の次に手書きで

「春には、彼と同居します」

って書いてあった。

「?」

僕は匠の顔を見た。

「俺達、去年の春に別れたんだ、、、」

聞いて無い、、、。

「アイツに好きなヤツが出来て、俺も結弦の事、気になり始めた頃だった。穏便に別れたよ」

「春?じゃあ、僕が告白した時は、、、」

「別れて随分経ってた、、、」

「な、、、なぁんだ、、、」

結弦は笑いながら泣いた。

「僕、馬鹿みたいだ、、、」

ポロポロ泣いた。

「ずっと苦しかったんだ、、、」 

俺に泣き顔を見せない様に、伏せって泣く。

 俺は結弦の頭を撫でた。

 結弦は俺の手を握ると、そっと掌にキスをした。

「匠の事、好き、愛してる、、、。いつも言葉にしたかった。でも、彼氏がいたから言えなかった、、、僕の事、重たいヤツだと思われたく無かったから。プレゼントも送りたかった、だけど、彼氏に気付かれるといけないと思って買えなかった、、、。ごめんね。次の誕生日もクリスマスもちゃんとプレゼント用意するからね」

 俺はそっと結弦を抱き締めた。

 結弦も俺の身体に腕を回してくれる。

 頬を頬で撫でる。

「匠、大好き、、、」

さっき、回数を減らすなんて言ったクセに、俺はもう我慢が出来ない。こんな自分が嫌だと思いながら我慢をする。

 結弦が頬にキスをした。

 目が合った結弦の瞳が涙に濡れて可愛い。

 ゆっくりと視線を落とし、俺の唇を見る。伏目がちの瞼にキスをしたいと思う。

 結弦の顔が近付いて来ると、俺の心臓が早くなる。少し開いた唇が彼を迎える。

 片方の手でそっと頬を触られ、片方の手が俺の腰に添えられる。

 たったそれだけなのに、理性が吹っ飛び結弦を押し倒してしまった。

 これじゃあ、いつもと変わらない、、、。

 ごめん、結弦、好きなんだ。好きだから、触りたい、、、。

「好きだから」

俺が言うと、ピクリと反応して涙を流す。コクコクと頷きながら

「僕も、、、。僕も好き」

 結局、いつもと同じ夜が来た。

 でも、今日はちゃんと「好き」と「愛してる」を伝えあった。

 凄く幸せなバレンタインデー。



言葉で伝える事は大切ですね。

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