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092 幼女は友人に同情する

 数日前、スミレちゃんが風抜けの町カスタネットに行って、フルーレティさんのお手伝いをしに行くと言って出かけた。

 私が壊してしまった建物の修理のお手伝いをするので、暫らくの間は帰って来れないと、その時スミレちゃんから聞いたのを私は覚えている。





 スミレちゃんが落ち着くまで、私達は一旦立ち止まる。

 それから、少し時間が経ちスミレちゃんが泣き止んだので、私はスミレちゃんを離した。

 そして、スミレちゃんから事情を聞いたのだけど……。


「ニクスちゃんとフルーレティさんが、ベルゼビュートに捕まった!?」


「はいなのです」


 なんでカスタネットにいるはずのスミレちゃんが、ここにいるのかわからなかったけど、それなら納得だよ。

 なんだか、凄く大変な事になってきてるなぁ。

 もしかして、村の皆を元に戻して終わりって状況でも、無いのかも……。


「ニクスが……。だから、魔族の君が猫にされてしまったのか。それで、俺がこの村にいる事も、知られてしまったわけか」


「たっくん。ニクスお姉ちゃんが捕まると、何でスミレお姉ちゃんが猫になっちゃうの?」


「ニクスの能力でスミレさんを一度人間にしてしまえば、そこからケット=シーの能力で猫に出来てしまうからね」


「たっくんと一緒?」


「そうだよ。ルピナスちゃん」


 2人が話し終わると、スミレちゃんが深刻な顔をして口を開く。


「フルーレティ様は最後まで幼女先輩の事を黙っていたなのですが、ニクスちゃんのパンツを使ってベルゼビュート様が拷問を繰り返したなのです」


 え?

 ニクスちゃんのパンツを使って拷問?


「見ていられなかったなのです。何度も何度もニクスちゃんのパンツで頬を叩かれ、フルーレティ様は限界だったなのです」


 あ。

 思い出した。

 結局、あの時使わなかったから忘れていたよ。

 フルーレティさんの弱点って、女の子のパンツだったっけ?

 パンツに触ると、ダメージを食らうんだよね?

 うーん。

 バカだなぁ。


 スミレちゃんが、お目目をうるうるとさせて私を見る。


「だから見ていられなくなって、サキュバスの一人が、幼女先輩とフェニックスの居場所を喋ってしまったなのです」


 どうしよう?

 申し訳ないけどくだらなすぎて、私は全然可哀想とか思えないよ。

 だってパンツだよ?

 見ていられなくなってって、もう別の意味で見ていられないの間違いなんじゃないかな?

 どちらかと言うと可哀想なのは、パンツをそんなおバカな事に使われてしまったニクスちゃんだよ。

 私も色々と、パンツで酷い目に合ったからわかるよ。

 私だったら、もうそのパンツ穿きたくないもん。

 本当に、ニクスちゃんが不憫すぎて可哀想だよ。


「スミレさん。俺の居場所をってのはわかるが、何故ジャスミンの事までサキュバスは聞かれたんだ?」


 言われてみれば、たしかにそうだよね。

 私の事なんて聞きだしても、特に何も良い事があると思えないもん。


「それは、フルーレティ様を懐柔かいじゅうさせた相手を聞きだして、邪魔される前に猫にする為なのよ」


 なるほどだよ。

 それで、私は猫ちゃんにされちゃったんだ。


「でも、幼女先輩がまだ猫にされてなくて、良かったなのですよ。幼女先輩の事だから、猫ちゃん可愛いとか言い出して、誰よりも早く猫になっちゃうと思っていたなのです」


 流石スミレちゃん。

 その通りだよ。

 私の事をよくお分かりですね。

 ……うう。

 なんだか恥ずかしい。

 真っ先に猫ちゃんになった事は、黙っておこう。

 うん。

 それが良いよね。


「私も猫ちゃんにはなっちゃったけど、土の精霊さんのラテちゃんと契約して、元の姿に戻ったんだよ」


 そう言って、私は頭の上で眠っているラテちゃんを、スミレちゃんに見せる。


「凄いなのです! 流石幼女先輩なのですよ!」


「えへへ」


 私は褒められて、嬉しくなってスミレちゃんをなでなでする。


「スミレ。ニクスは無事なのか?」


 うん。

 そうだよね。

 ニクスちゃんが心配だよ。

 酷い事されてないといいんだけど……。


「実はサキュバスの一人が情報を流した時に、エリゴスが裏切ったなのよ。それで、ニクスちゃんは裏切ったエリゴスに連れて行かれて、それ以降は見ていないなのよ。多分、今頃はお風呂に入れられてるなのよ」


 ど、どうしよう。

 連れてかれてお風呂って、もうそれ、絶対アレする為だよね?

 安心だけど安心出来ないよ。

 と言うか、エリゴスさんはフルーレティさんを裏切ったんだね。

 でも、元々はフルーレティさんがベルゼビュートを裏切ってるんだから、元の居場所に戻ったって事かな?


「そうか。……とにかく今は、村へ急ごう。まずはケット=シーの能力を、どうにかしないといけないしな」


「うん」


 私は返事をしてから、スミレちゃんを抱き上げる。

 モフモフで気持ちが良い。


「私、このままでも良い気がしてきたなのですよ~」


「何言ってるのよスミレちゃん。ちゃんと元に戻してあげるからね」


「はいなのです~」


 村に戻ったら、まずはケット=シー。

 早く皆を元に戻さなくっちゃ!


 私はそう心に誓い、村へと急いだ。

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