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256 幼女にマニアックな趣味をぶつけないで下さい

 私はスミレちゃんの発言に困惑しながらも、手で胸を隠す。

 すると、スミレちゃんがニヤニヤしながら私を見た。


「なんだか逆にエッチな感じなのですよ」


 どうしよう?

 なんだか凄く嫌な予感がする。


 私は更に困惑して、首を傾げて頭に?を浮かばせる。

 すると、両目が復活したのか、ソイさんが私を見て興奮しながら大声を出す。


「姉御! 俺はこんな最高の景色を今まで見た事が無い! 手袋と靴下と絆創膏が、これ程までに魅力を引き出すだなんて知らなかった!」


 手袋と靴下と絆創膏?

 たしかに、今の私はパンツの下に絆創膏も付けてるけど……って、あれ?

 おかしいな。

 まさか見えてる?

 いやいやいや。

 冗談だよね?

 見えてないよね?


「当たり前なのよ! 幼女先輩のロンググローブに靴下、そして絆創膏と言う名のパンツを着用した姿は、絶景以外の何物でもないなのよ!」


 えーと……うん。


 私は恥ずかしさで沸騰するんじゃないかと思えるくらいに頭に血が上るのを感じながら、慌てて胸だけでなく股間も隠す。

 そして、涙目でスミレちゃんに抗議の視線を向ける。


「なんで見えてるの!?」


「幼女先輩。実は、幼女先輩には隠していた事なのですが、私の透視能力も覚醒していたなのです」


 か、覚醒!?


「今までの透視は、穿いているパンツのみを見るだけの、中途半端な出来損ないの能力だったなのです。だけど、今の私の能力は、最早恐れる物が無い程の恐ろしい能力となったなのです」


 今までも十分酷いのに、更に酷くなったって事?


「私の能力は、視界に入る人物が身に着けている服などから、好きな物を選んで透視する能力へと覚醒したなのです。でも条件があるなのです。それは、必ず一つは透視出来ない物を選択する必要がある事なのです。ちなみに男を含めた見たくない相手は、そんな仕様なので服が透けて見える事が一切無いので、安心なのです」


 えーと……隠れよう。


 私はスミレちゃんのお話を聞いて、キョロキョロと隠れられそうな場所を探す。

 だけど、隠れようとする私の考えは、直ぐに無に返った。

 何故ならば。


「そして、見たいと思った人物以外の障害物は、物であれ人であれ何であれ、無条件で透視も可能なのですよ!」


 え、ええぇぇ……。

 何その斜め上でおバカな犯罪臭しかしないチート能力。

 逃げ場が無いよぉ。


「ただ、欠点としては覚醒前と覚醒後の能力の使い分けが出来ないのと、見たい相手が今の幼女先輩の様にちゃんと手で隠したりすると、しっかり隠されてしまう事なのですよ」


 ……だから胸を隠してとか言い出しちゃったの?

 って言うか、そんなのスミレちゃんが透視しなければ良いだけだよ?


「凄いんだぞ!」


「が、がお!」


「ぷぷぷ。ご主人、やばいッス。おっぱい女がバカすぎて笑いを堪えるのが辛いッス」


 トンちゃん笑ってる場合じゃないよ?

 でも、どうりでだよ。


 私はため息を一つ吐き出した。

 さっき話題に上がった絆創膏。

 実はこの絆創膏は、リリィがドワーフの鉱山街で買ってきた例の絆創膏だ。

 もちろん絆創膏を張っている場所は、口に出してい言う事が出来ない女の子の大事な場所である。

 この絆創膏は何故かパンツとして扱われる。

 見られたら恥ずかしくて嫌なのだけど、この絆創膏を使えば二重にパンツを穿く事になるので、パンツを穿いていないと死んでしまう呪いがある私には、便利で使い勝手が良いと思ってつけたのだ。

 と言っても、結局裏目に出てしまったようなのだけど……。


「やべーよ姉御! 聖母が絆創膏を手で隠すと、まるで何も穿いてないみたいで、めちゃくちゃエロいんだ! 手をどけても見えないのに、まるで見えてしまうかのようなこの錯覚! これが全裸では味わう事が出来ない景色なのか!?」


 ひぃっ。

 気持ち悪い!

 これどうすれば良いの!?

 隠しても隠さなくても、凄く恥ずかしい状況なんだけど!?

 って、落ち着け私。

 スミレちゃんは、なんて言った?

 相手が身に着けているものの中から、一つ好きな物を選んで残すみたいな事を言ってたよね?

 それってパンツ以外の、例えば靴下だけを残して、パンツを透かして見る事も出来るって事じゃないの!?

 やばすぎるんだけど!

 最早隠すのは必須だよ!


 私はスミレちゃんのおバカで恐ろしい能力を前に、どうする事も出来ず涙目で隠し続ける。

 すると、スミレちゃんがソイさんに微笑んで手を離した。


「姉御?」


 お、終わったの?


 ソイさんはスミレちゃんに手を離されて、もの凄く悲しい顔をしてスミレちゃんを見た。


「これ以上は、もう駄目なのよ。本来、男であるお前に、幼女先輩のエッチな姿を見せるのは不本意な事なの。本当に大切なのは何かを、お前に気付かせてあげる為に、仕方なく見せてあげただったなのよ」


 不本意なら、見せなくて良かったんじゃないかな?


「姉御、そこまで俺の事を……っ」


 ソイさんが目から一粒の涙を流し、スミレちゃんと力強く見つめ合う。


 何この雰囲気?

 凄く良い雰囲気になってるよ?

 私がソイさんの心を開かせようとした時より、よっぽど良い雰囲気だよ?


「全裸では到達出来ない可能性が、お前にもわかったなの?」


 スミレちゃんが優しく微笑み、ソイさんが穏やかに微笑んで答える。


「ああ。俺は何もわかっちゃいなかった。姉御のおかげで、それに気付けたぜ」


 そこは気付かなくても良いと思うなぁ。

 って言うか、好みの問題だと思うよ?


「それに、裸の幼女が手袋をつけて靴下を履き、絆創膏でアソコを隠しているだけで、あれ程に興奮するとは思わなかった」


「その通りなのよ」


 その通りって、マニアックすぎるよスミレちゃん……。

 と言うかだよ。

 もしかして、それの為にロンググローブを私に渡したなんて事はないよね?

 スミレちゃん、信じて良いんだよね?


「お前も私が見る領域に、やっと一歩、足を踏み入れる事が出来たなのね。幼女先輩にロンググローブを渡しておいて、正解だったなのよ」


 スミレちゃんはそう言って、とても良い笑顔で頷いた。


 殴りたい! この笑顔!

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