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226 幼女は精霊に好かれやすい

「フルーレティさんとプルソンさんが精霊の森に出かけてるの?」


「うん。精霊さんがお婆ちゃんに、いい加減そろそろ雪を止めろって言いに来たの。だから、雪を降らしてるフルーレティお姉ちゃんを連れて行って、精霊さんと直接お話させるって、ベルフェゴール小父さんとお話してたよ。プルソンオネエちゃんも護衛の為って連れて行かれたんだよ」


「ベルフェゴール小父さん?」


 名前だけなら、前世の私も知ってるなぁ。

 悪魔の名前だよね?


「うん。ベルフェゴール小父さん」


 ルピナスちゃんがそう言うと、ブーゲンビリアお姉さんが頭を傾げながらルピナスちゃんに訊ねる。


「ねえ、ルピナスちゃん。その、ベルフェゴール小父さんって私は知らないのだけど、誰の事なの?」


「マンゴスチンお婆ちゃんのお家で、ご飯作ってくれてる人だよ」


「ああ、あの料理が凄く上手な人ね。そう言えば、そんな人もいたわね」


 ご、ご飯作ってくれてる人?

 うーん。

 名前は一緒だけど、私が知っているベルフェゴールとは、全然違うのかも。

 もっと、悪魔悪魔したイメージだったよ。


「ベルフェゴール……確か、ベルゼビュート様と仲の良かった魔族の筈なのよ」


「スミレさん、知ってるの?」


「残念だけど名前しか知らないなのよ。普段は姿を見せずに、ベルゼビュート様と行動をしている人なのよ。だから、私もどんな人なのか見た事が無いなのよ」


 そうなんだ?

 どうして、そんな人がご飯作ってるんだろう?

 料理を作るのが好きなのかな?


 私がそんな事を考えながら首を傾げていると、げっそり顔のトンちゃんが私の肩の上に止まって座る。


 お話終わったんだね。


 と思いつつ、私は苦笑しながらトンちゃんの頭を撫でた。

 リリィは満足気な顔をしながら、ルピナスちゃんに話しかける。


「ルピナスちゃん。タイムが何処にいるか知らない? 早くジャスミンに能力を使って貰いたいのだけど」


「ううん。知らないよ」


「そう……」


 ルピナスちゃんの返事を聞いたリリィは、一瞬だけ眉根を下げて表情を曇らせた。

 そして、リリィは勢いよく立ち上がる。


「それなら、精霊の森に行ったって言うフルーレティ達に、タイムのいる場所を聞いて来るわ」


 リリィ凄い。

 トンちゃんにずっとお話してたのに、ちゃんとこっちのお話も聞いてたんだね。

 って、それよりだよ。


「精霊の森にリリィも行くの?」


「そうよ。皆は疲れているでしょう? 私一人で行って来るから、ここで休んでいて」


「待って。それなら私も行くよ」


 私も立ち上がって、リリィの手を取る。


「ジャスミン……」


「一緒に行こう? リリィ」


「……ええ。勿論よ」


 私とリリィはお互い見つめ合い、微笑んでこくりと頷く。


「ボクはここで休んでるッス。何だか凄く疲れたッス」


 う、うん。

 さっきまで、ずっとリリィのお話聞いてたもんね。


「ラテもめんどくさいので寝てるです」


「アタシはついて行くんだぞ」


「がおー」


 そんなわけで、私とリリィとプリュちゃんとラヴちゃんで、精霊の森に向かう事になった。

 スミレちゃん達もついて行くと言い出したのだけど、ルピナスちゃんに安全な場所にいてもらいたかったので、一緒に残ってもらう事になった。

 ちなみにサガーチャちゃんなのだけど。


「ジャスミンくん。私はやはり天才のようだ。良い事を思いついたよ」


 と言って、馬車の止めてある馬車小屋に行くと言って、何やら発明品の開発に取り掛かった。


 私達は宿屋を出ると、地図を広げて、ルピナスちゃんから聞きだしたフルーレティさん達が向かった先を確認する。

 地図には精霊の森も少しだけだけど乗っていて、その中には、森の精霊の集落と文字が記されている場所があった。


「ねえ、プリュちゃん。精霊さんって、普通は人から隠れて暮らしてるんだよね?」


「そうだぞ。主様、それがどうかしたのか?」


「うん……。そのわりには、この地図に場所が載ってるし、それに今までの旅の中でも結構な数の精霊さんと会ってきたなと思って」


「そうよね。ドゥーウィンに会ってから、やけに会う機会が多いわね」


「うーん。地図の事はわからないけど、会う事が多いのは何となくわかるんだぞ。主様は、とっても優しくてあったかいから、精霊にはわかるんだぞ」


「ジャチュ、あったかい。ポカポカ」


「それなら納得だわ」


「そ、そうかなぁ。えへへ……」


 トンちゃんがいたら、甘々なだけッスよとか言いそうだよね。


 なんて思いながらも、私はなんだか顔に火照りを感じて、手で顔をパタパタとあおぐ。

 それから、リリィと一緒に森の精霊の集落と書かれた場所に向かって歩き出すと、リリィが歩きながら首を傾げた。


「精霊と言えば、実は私この前まで、精霊の森だなんて今まで聞いた事が無かったのよね。ジャスミンは知ってた?」


「え? ううん。私もだよ」


「精霊の森には普段は結界が張ってあって、本来は他種族から見つけられない様になってるんだぞ」


「そうなんだ?」


「何よプリュ。アンタ、精霊の森の事を知っていたの?」


「知っていたけど、精霊の森は世界の各地にあって、アタシも全部の場所を知っているわけじゃないんだぞ。だから、ここの精霊の森には、アタシも来たのは初めてなんだぞ」


「がお」


 プリュちゃんの言葉にラヴちゃんが同意して頷く。


「そうなのね。そうなると、ドゥーウィンとラテも、ここの精霊の森の事は知らなかったのでしょうね」


「だと思うよ。知ってたら、村を出た時に教えてくれるはずだもん」


「それもそうよね。さて、それじゃあジャスミン。はぐれない様に手を繋いで行きましょう」


「うん」


 話しながら進んでいると、いつの間にか精霊の森の前まで来ていた。

 私は返事をして、リリィと手を繋ぐ。

 すると狙ったかのようにリリィに恋人繋ぎをされて、私は仕方がないなぁと、少し照れながらも受け入れた。

 そうして、私はリリィと手を繋ぐと、精霊の森に入って行った。

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