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213 幼女は精霊の回想を静かに聞く

※今回は◇からラテール視点の回想が入ります。

 エルフの里へと向かっている2日目のお昼。

 私達は見晴らしの良い草原で、お昼休憩を取っていた。

 風も程よい微風で心地良く、空気も澄んでいて、とても気持ちが良い。


 私はニスロクさんがお昼ご飯を作ってくれている中、景色を眺めながらのんびりしていた。

 すると、ラテちゃんが私に話しかけてきた。


「ジャス。昨日言いそびれてしまった潜入捜査の事を、少し話すです」


「そう言えば、そんな事もあったね」


「そうです。中々楽しかったです」


「へぇ。そうなんだ?」


 めんどくさがりやのラテちゃんが楽しいって言うなんて、よっぽど楽しかったんだろうなぁ。


 私が景色を眺めながら、ぼんやりそんな事を考えていると、ラテちゃんは潜入捜査の話をし始める。





 あの日、ジャスと加護通信を終えたラテは、双子を直ぐに助けたです。

 だけど、おバカな双子は助けたのに、おバカな事を言い出したです。


「「ふっふっふーん。甘いですぞラテールちゃん。我々は、潜入捜査をするべきなのです!」」


「潜入捜査です?」


 ラテは変なポーズをとる双子に冷や汗をかきながら、まだこの時は、めんどくさいと思っていたです。

 だけど、この後に双子が言った言葉で、目が覚めたです。


「「潜入捜査は危険がつきもの。しかしそれを乗り越えれば、きっとジャスミンちゃんの評価も爆上がり。ご褒美だっていっぱい貰えちゃうんだぜぃ!」」


「ご褒美!? ぱ、パンケーキをいっぱい食べられるです!?」


「「パンケーキ一年分は余裕ですな~」」


 ラテはパンケーキ一年分の為に、変なポーズをする双子のお手伝いを、やってあげる事に決めたです。


 それから双子の話を聞いてあげると、双子は港町トライアングルでサーカスの張り紙を見た時に、潜入捜査を思いついてバニースーツを買っていたです。

 だから、ラテと双子は荷物からバニースーツを回収しに、まずは行動を開始したです。


 そう言えば、バニースーツを回収した後、フェールと博士に会って事情を説明して別れたです。


 サルガタナスに取り入るのは、結構簡単で拍子抜けしたです。

 フウとランが事前に用意しておいたバニースーツに着替えて、左右対称に踊って仲間に入れてほしいと頼んだら、あっさりオッケーしたです。

 それにサルガタナスはかなりおバカらしくて、バニースーツに着替えたフウとランを見て、初対面だと勘違いしていたです。


 その日の晩御飯は、ハチミツをたっぷり乗せたパンを食べたです。

 甘くて美味しくて幸せだったです。


 次の日にラテ達は新人という事で、商店街に買い出しに行かされたです。

 せっかく商店街に来たので、買い食いをしたです。

 その中でも、カスタードプリンと生クリームがたっぷり入ったクレープは、とても甘くて格別だったです。


 クレープの三つ目を食べ終わる頃に、港町トライアングルで見たエルフの一人と、ビリアを見つけたです。

 丁度その時に、エルフが運よくその場を離れたので、ラテはフウとランを連れてビリアに話しかけたです。

 それでアイスココアを飲みながら話を聞いたら、ビリアがエルフの奴隷になっていると聞いて、ニクスのついでに助けてあげると約束したです。


 ラテ達がテントに戻ると、ニクスが荷物を運んでいたのが見えたです。

 だから、ラテは手に持っていたチュロスを食べてから、ニクスに近づいて話しかけたです。


「ジャスがウチの為に……」


 ラテから話を聞いたニクスは、少し俯いたです。


「それが本当やとして、それでも、ウチは今はまだ帰れん」


「何故です? もしかして、タイムが関係しているです?」


「違う、違うんよ。ウチはただ、おっぱいを大きくしたいだけなんや。ボインボインのおっぱいで、ジャスの顔を挟むんや!」


 ラテは心底もの凄く困ったです。

 一瞬、何を言われたのかわからなかったです。

 だから聞き返したです。


「タイムは関係していないです?」


 そしたら、ニクスは目に涙を溜めながら、まるで訴えるように話したです。


「師匠なんか、今はどうでもええんや! ウチはおっぱいを大きくして、ジャスをおっぱいで挟んで添い遂げるんや!」


 この時にラテは悟ったです。


 おバカすぎて話が通じなさそうです。

 ここは強行手段をとって、誘拐してあげるのが一番効率よくて楽が出来るです。


 そう言うわけで、ラテはフウとランにニクスを誘拐しようと提案したです。


「「お~。面白そうですな~。最初はサルガタナス一味の情報を集めて、今日中に出て行くつもりでしたが、パーッと派手にいきましょー」」


「派手です?」


 双子は左右対称にポーズを取って、ドヤ顔になったです。


「「サーカスをぶち壊してやろうぜって事ですよ」」


「ラテはめんどくさいのは嫌いです」


「「何を仰るラテールちゃん。サルガタナスを出し抜いてサーカスを台無しにして、ニクス嬢を救っちゃえば、ジャスミンちゃんの評価がうなぎ上り間違いなしですぜ! 旦那」」


「ぱ、パンケーキがいっぱいです?」


「「もちろんですとも。一年分どころか、一生分ですよ」」


 双子が左右対称にポーズを取って、ラテにウインクしたです。

 ラテは決心したです。


「やってやるです! ラテは一度やると決めたら、最後までやる精霊です!」


 そんなわけで、ラテはジャスの記憶から知ったサルガタナスの情報を双子に教えて、双子と計画を企てたです。

 おバカな双子と一緒に決めポーズも練習したです。

 そう言えば、計画を企てている時に食べたアップルパイが美味しくて、大満足したです。


 そして、サーカス公演日当日です。

 朝食で出たプリンを、おバカな双子から貰って、全部で三つも食べて満足したです。


 朝食を食べ終わると、事前にアブソーバーキューブの性能をおバカのライオンのマレファルから聞きだしたラテ達は、作戦実行をしたです。

 でも、まさか、ジャス達が見に来ているとは思わなかったです。

 てっきり、ラテの勇姿を待ちながら、何処かでお茶でも飲んでると思ったです。


 ニクスを誘拐した後は、商店街に行って、巷で流行っているタピオカ入りのミルクを飲んだです。

 とても美味しくて、見た目も可愛くて最高だったです。

 タピオカ入りミルクのおかげで、飲み終わった頃には、ビリアを見つける事が出来たです。


 ビリアはエルフと一緒にいたので、邪魔なエルフと戦ったです。

 だけど、エルフが意外と強くて、結構手こずったです。

 エルフの魔法は土の魔法の上位の生物魔法系で、植物を操っていたです。

 土属性ならラテの敵では無いと思ったですけど、変な薬を飲んだ途端に、急激に魔力が高まって厄介だったです。

 苦戦はしたですけど、戦闘中に商店街のおばあちゃんから貰ったあめ玉を食べて、元気百倍で頑張ったです。

 そして、ラテと双子の三人がかりで、何とかエルフを戦闘不能の状態にもっていけたです。


 それからは、ジャスが知る通りです。

 そこでサルガタナスに追いつかれて、エルフと戦って消耗していた双子が劣勢な所で、ジャスが来て助かったです。





「以上が、ジャスと別れた後の潜入捜査のお話です」


 ラテちゃんは説明を終えると、もの凄く達成感に満ちたドヤ顔で、鼻息をフンスと荒く吐き出した。


 えーと……うん。

 色々と言いたい事はあるけど……。


「が、がんばったねー」


 と、私は色んな言葉を飲みこんで、ラテちゃんの頭を優しく撫でる。

 ラテちゃんは頭を撫でると、とても可愛らしい笑顔を見せた。


「今日もご褒美のパンケーキが楽しみです」


 あはは……。

 ニスロクさんに頼んで、フライパンを一つ借りよう。

 ラテちゃんのこの顔を見たら、作ってあげたくなっちゃうもんね。


 私はパンケーキを楽しみにしているラテちゃんの笑顔を見て、パンケーキ作りに取り掛かったのでした。

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