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208 幼女は新たな事件を知る

「えええぇぇぇっっ!? ルピナスちゃんがエルフの長の息子の花嫁にされちゃう!? ビリアお姉さま、それって本当なの!?」


「本当にごめんなさい。まさか、こんな事になってしまうなんて、思わなかったのよ」


「ビリアお姉さまのせいじゃないよ」


「ありがとうジャスミンちゃん。ルピナスちゃんはまだ八歳だから、直ぐに結婚って事にはならないと思うけれど、心配だわ……」


「……うん」


 私は気絶しているサルガタナスを見る。


「もしかして、ビリアお姉さまを殺そうとした理由って、私にその事を知らせない為だったのかな?」


「多分そうではないかしら。それに、エルフの里の場所を知られない為だと思うわ」


「まったく、困った連中よね」


 そう言って、リリィがサルガタナスを睨みつける。


「あはは。本当だよね」


 私は苦笑しながらリリィに同意して、一つため息を零した。


 サルガタナスとの戦いを終えた私達は、気絶しているサルガタナスの側で話し合いをしていた。

 そんなわけで、今は各地に散らばっていた皆が、この場に集まっている。

 ちなみに私をパンツの女神と言って騒いでいた人達は、コラッジオさんのおかげで、今は移動していなくなっていた。

 今この場にいるのは、私とリリィを含めた一緒に旅をしている皆と、アマンダさん達3人。

 そして、サガーチャちゃんとフェルちゃんと気絶しているサルガタナスだ。


「それにしても、サガーチャって凄いのね。まさか、エロピエロの能力を分析して、スミレを元に戻すだなんて」


「本当に助かったなのよ。ボールになった時、意識はあるけど何も出来なくて、恐怖しかなかったなの」


「まったくだ。俺もスミレさんと同じ気持ちだったよ。博士様様だ」


 あれ?

 ビフロンスいたの?


 ビフロンスと言えば、フウさんとランさんの話では、ゾンビ達は追いかけて行ったフウさんとランさんに土下座して、悪い事しないから私やリリィの前に連れて行かないでと血の涙を流して懇願したそうだ。

 フウさんとランさんも、流石に少しだけ居た堪れなくて逃がしたのだとか。


「私としては、自力で元に戻ってしまったリリィくんの方が、よっぽど凄いと思うけどね」


「ハニーに基本不可能は無いッスからね~。出来ない事があるとすれば、ご主人のハートを射止める事くらいッスよ」


「ドゥーウィン、それはどういう意味かしら?」


「や、やめるッスよハニー! ボフのほっぺはは、ほれいじょーほびないッスー!」


「ドゥーウィン、あなたはいつも一言多いのですわ」


 リリィがトンちゃんの頬っぺたを引っ張り、それを見てフェルちゃんは呆れて、サガーチャちゃんが楽しそうに笑う。

 私が楽しそうな4人を見ていると、スミレちゃんが首を傾げながら、ブーゲンビリアお姉さんに話しかける。


「何でルピナスちゃんが、エルフと結婚させられる様な展開になったなのよ? ルピナスちゃんはエルフにホの字なの?」


「いいえ。そうではないの。そうね……」


 そう答えると、ブーゲンビリアお姉さんが真剣な面持ちで言葉を続ける。


「私とルピナスちゃん、それにオぺ子ちゃんの三人で、村を旅立って行ったジャスミンちゃんを追いかける事になったのが全ての始まりだったわ」


「私達を追いかけたなの!?」


「ええ。そうよスミレさん。私達にも色々あったのよ。それで、私達は数日前にエルフの里まで辿り着いたの」


 私は何があったのだろうと疑問に思いながらも、ブーゲンビリアお姉さんのお話を静聴する。


「最初はジャスミンちゃん達を捜していたのだけど、捜しているうちにエルフの里に来ていないとわかって、三人で話し合って待つ事にしたの。でも、それが失敗だったわ」


 ブーゲンビリアお姉さんが俯いて、深刻な面持ちになる。


「今、エルフの里では神隠しの事件が起きているのよ」


 神隠し?

 神隠しって、あの神隠しだよね?

 人が突然いなくなっちゃうって言う……。


 そう思った途端、私は背筋に悪寒が走るのを感じて、ごくりと唾を飲み込んだ。


「神隠しは未だに解決していなくて、夜な夜な幼い女の子が消えているの。そして、私達はそれを知っていながらも、オぺ子ちゃんを一人にしてしまったの」


「まさか、オぺ子ちゃんが神隠しにあったなの!?」


「ええ……」


「ま、待つッスよ。僕っ子は男ッスよ? 幼い女の子が消えているんじゃないんスか?」


 いつの間にか、ブーゲンビリアお姉さんのお話を聞いていたトンちゃんが、驚いて口をはさむ。


「その通りよ。その通りだからこそ、私は大丈夫だって決めつけちゃっていたのよ。本当にごめんなさい」


 ブーゲンビリアお姉さんが目を潤ませて、頭を下げる。


「オぺ子ちゃんが神隠しにあったのは、十分わかったわ。でも、それがルピナスちゃんが花嫁にされる事に、どう繋がるのよ?」


 リリィが訊ねると、ブーゲンビリアお姉さんが顔を上げて話を続ける。


「オぺ子ちゃんが神隠しにあって、私とルピナスちゃんはエルフの長に、相談をする為にその事を伝えに行ったの。そしたら他種族の事なんてどうでも良いと、門前払いされたわ。そして、その時たまたま居合わせた長の息子が、ルピナスちゃんに目を付けたのよ」


「とんだロリコン野郎なのよ。それでルピナスちゃんが捕まったなの?」


「違うわ。もっと卑劣な行動に出たのよ」


 卑劣な行動?


「アイツは……エルフの長の息子のソイは、神隠しの真相を知っているようだったの。そして、それをネタにして私達を脅したのよ。言う事を聞かなければ、神隠しにあったオぺ子ちゃんのおちんちんをちょん切るって!」


「はい?」


 私は拍子抜けする程おバカなお話に、思わず声を高く上げて固まる。


「このままだと、オぺ子ちゃんが性転換させられてしまうわ! だから、私はアイツの奴隷になって、ルピナスちゃんが花嫁になる事を決めたのよ!」


 ブーゲンビリアお姉さんの瞳から、ついに一粒の涙がこぼれ落ちる。


「ねえ? スミレ。ルピナスちゃんはともかく、オぺ子ちゃんの事は放っておいても良いと思うのだけど、スミレはどう思う?」


「これは非常に難しい問題なのよ。それをしてしまうと、ある意味大変な事になってしまうなのよ」


 コソコソと話すリリィとスミレちゃんに、ブーゲンビリアお姉さんが何処からともなく、そっと何かの本を取りだして渡す。


「スミレさんは理解している様だけど、これを見てもらえば、リリィちゃんにも事の重大さがわかるわ」


 ブーゲンビリアお姉さんが真剣な面持ちでリリィを見て、本を開けて見せる。

 すると、リリィはその本のページを捲りだす。

 そして、こくりと頷く。


「仕方がないわね。オぺ子ちゃんを助けましょう」


「わかってくれたのね。リリィちゃん!」


「それでこそリリィなのよ!」


「オぺ子ちゃんはラークの事が好きなんだもの。きっとこの本の様な関係を持ちたいと思っている筈よ。それなら、私も友人として助けてあげるべきでしょう?」


「その通りなのよ! 男の子同士の愛の邪魔はさせないなのよ!」


 おバカなの?

 と言うかだよ。

 私思うの。

 オぺ子ちゃんなら、むしろ切られる方が喜ぶんじゃないかなぁ。

 それと、それって神隠しでもなんでもなく、エルフの長のロリコン息子による連続人攫いだよね?

 ただの自作自演だよ。


 と、私は思いながら、とりあえず微笑む事にした。

 そして、そんな私の周りで、精霊さん達が何やらこそこそと話していたのだけど、私は精霊さん達を汚さない為に聞かなかった事にする。


「ドゥーウィン。わたくしには、言っている意味がちっとも解らないのだけれど、あなたにはわかりますの? 何だか、半裸の男の人同士が、何かやってる様な絵が見えましたわ」


「ボクがわかるわけないッス。気にしたら負けッスよ」


「アタシもおちんちんついてないから、わかんないんだぞ」


「そう言う話では無いですけど、おバカに関わりたくないのでラテは寝るです」


「がお?」

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