ついに…
ジュースを後悔しつつ飲んでいると、ユイカがじっとオレをみていることに気づいた。
…
あ、いまから別れ話が始まる。
そう悟ったオレは、きちんと座り直した。
で…
ユイカの言葉をじっと待った。
待てができるお利口さんなオレ。
じっとユイカをみつめた。
これが最後だろう。
こんなに面と向かって、ユイカの目の前にオレがうつるのは…最後。
ユイカ…
オレは、もう満足だよ。
ユイカが幼馴染でオレは、幸せだった。
心の中での感謝の気持ちを述べ、別れを待った。
でも…
ユイカが何も言ってこない。
…?
まぁ、そうだよね。
言い出しにくいか…。
仕方ない。
オレがアシストするよ。
…
別れたくないのに、好きなのに別れたい彼女のアシスト…
切ない…
仕方なく、重い口をひらいた。
「あの、オレはユイカと付き合えて嬉しかったよ」
いきなりオレは何を言い出してしまったんだ?
これは、合って…る?
「えっ、なんで過去形?わたしも瞬と幼馴染脱皮できてよかった」
…
「えっ…脱皮って…なんか、ヤダな」
「たしかにー。でも、ほんとにカレカノになれてわたしは、すっごく幸せ…です♡」
少し照れてるの?
ユイカ…照れてるね?
…
別れ話に照れるユイカは、謎だけど…とても愛おしく、やっぱり離したくない‼︎って衝動に駆られた。
でも、ユイカは…
ユイカは、泣くんだもんな。
オレとキスして…泣いたんだもんな。
泣くほど嫌なのに…そんなに嬉し恥ずかしそうに…笑うなって…。
ヤバ…
なんか知らないけど、オレ…泣きそうだよ?
ひじをテーブルについて、眉間に手をのせた。
あ…うつむいたら涙落ちるやんけ。
堕ちる…
このままじゃ、涙落ちて堕ちる…人生です。
「なぁ…ユイカ…」
「え、どうしたの?具合悪いの?」
「ううん、そうじゃないけど…オレはいいよ?」
「なにが?」
「だから…ユイカが好きな方選んでも…ってこと」
…
「えっ…バレて…た?」
「うん。その…うん。」
「なら…バレたなら…いただきます」
⁉︎
えっ⁉︎
いただきます⁉︎
ばっと顔を上げると、ユイカがオレのジュースをすすすーっと飲んでいた。
え?
どういうこと⁇
「あ、えっ?」
「ああ、ごめん。わたしばっかり…これも飲んで?あ、イヤなら…いいけど…」
⁉︎
えっ?
んっ⁉︎
よくわからないけど…ユイカの飲みかけのジュースを差し出された。
…
一気に涙は、引っ込んだ。
でも…そのかわり目が飛び出たけど?
なに⁉︎
えっ?
どういうことー⁉︎
…
いまいちわかりません…が、とりあえず差し出されたジュースを飲ませてもらった。
「うまい」
「でしょ?こっちも…ね…やっぱり美味しいな。色んな意味で…なんちゃって♡あははははっ……」
色んな意味でとは…
わからない…。
白が何色もあるって言うけど、どこからが白とクリーム色のさかえめですか?ってくらいわからない…。
…
「えと…オレにわかるのは、ユイカは…やっぱりかわいいってことだ」
…オレは何を言い出して…
「えっ、嬉しい…。でも、ここじゃないところでもっと囁いて…欲しかったり…なんてね♡あはは…はは…」
どっちだ⁉︎
これって…どっち⁇
オレに気をつかって、言ってくれてる?
それとも…ガチ?
…
最後のあはは…って…
どっち?
てか…
別れ話切りだしやすくするつもりが…
しにくい状況をつくりだすアホなオレ…
なんなら、させない方向に向かいつつあります…かね。
…
なにしてるんだ…オレは…
大好きな幼馴染を…
このカフェという空間で、目に見えない別れないという呪いの紐で、縛りつけている感…
情けないな…
こんなんだから、フラれるのか。
…
「いいよ、オレは。」
「えっ?」
「オレは…もう決心がついたから」
「それは…その…わたしだっていいよ。今からでも…全然」
「今から…か」
「うん。なら…行く?わたしの部屋」
⁉︎部屋…
あー、そうだね。
別れ話は、外じゃね…。
「うん、そうだね。行こうか」
「うん」
オレたちは、席をたちユイカの部屋へと向かった。
続く。




