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絶望のファーストキスの後に君が選んだのは…  作者: 猫の集会


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5/5

ついに…

 ジュースを後悔しつつ飲んでいると、ユイカがじっとオレをみていることに気づいた。

 

 …

 

 あ、いまから別れ話が始まる。

 

 そう悟ったオレは、きちんと座り直した。

 

 で…

 

 ユイカの言葉をじっと待った。

 

 待てができるお利口さんなオレ。

 

 じっとユイカをみつめた。

 

 これが最後だろう。

 

 こんなに面と向かって、ユイカの目の前にオレがうつるのは…最後。

 

 ユイカ…

 

 オレは、もう満足だよ。

 

 ユイカが幼馴染でオレは、幸せだった。

 

 心の中での感謝の気持ちを述べ、別れを待った。

 

 でも…

 

 ユイカが何も言ってこない。

 

 …?

 

 まぁ、そうだよね。

 

 言い出しにくいか…。

 

 仕方ない。

 

 オレがアシストするよ。

 

 …

 

 別れたくないのに、好きなのに別れたい彼女のアシスト…

 

 切ない…

 

 仕方なく、重い口をひらいた。

 

「あの、オレはユイカと付き合えて嬉しかったよ」

 

 いきなりオレは何を言い出してしまったんだ?

 

 これは、合って…る?

 

「えっ、なんで過去形?わたしも瞬と幼馴染脱皮できてよかった」

 

 …

 

「えっ…脱皮って…なんか、ヤダな」

「たしかにー。でも、ほんとにカレカノになれてわたしは、すっごく幸せ…です♡」

 

 少し照れてるの?

 

 ユイカ…照れてるね?

 

 …

 

 別れ話に照れるユイカは、謎だけど…とても愛おしく、やっぱり離したくない‼︎って衝動に駆られた。

 

 でも、ユイカは…

 

 ユイカは、泣くんだもんな。

 

 オレとキスして…泣いたんだもんな。

 

 泣くほど嫌なのに…そんなに嬉し恥ずかしそうに…笑うなって…。

 

 ヤバ…

 

 なんか知らないけど、オレ…泣きそうだよ?

 

 ひじをテーブルについて、眉間に手をのせた。

 

 あ…うつむいたら涙落ちるやんけ。

 

 堕ちる…

 

 このままじゃ、涙落ちて堕ちる…人生です。

 

「なぁ…ユイカ…」

「え、どうしたの?具合悪いの?」

「ううん、そうじゃないけど…オレはいいよ?」

「なにが?」

「だから…ユイカが好きな方選んでも…ってこと」

 

 …

 

「えっ…バレて…た?」

「うん。その…うん。」

「なら…バレたなら…いただきます」

 

 ⁉︎

 

 えっ⁉︎

 

 いただきます⁉︎

 

 ばっと顔を上げると、ユイカがオレのジュースをすすすーっと飲んでいた。

 

 え?

 

 どういうこと⁇

 

「あ、えっ?」

「ああ、ごめん。わたしばっかり…これも飲んで?あ、イヤなら…いいけど…」

 

 ⁉︎

 

 えっ?

 

 んっ⁉︎

 

 よくわからないけど…ユイカの飲みかけのジュースを差し出された。

 

 …

 

 一気に涙は、引っ込んだ。

 

 でも…そのかわり目が飛び出たけど?

 

 なに⁉︎

 

 えっ?

 

 どういうことー⁉︎

 

 …

 

 いまいちわかりません…が、とりあえず差し出されたジュースを飲ませてもらった。

 

「うまい」

「でしょ?こっちも…ね…やっぱり美味しいな。色んな意味で…なんちゃって♡あははははっ……」

 

 色んな意味でとは…

 

 

 わからない…。

 

 白が何色もあるって言うけど、どこからが白とクリーム色のさかえめですか?ってくらいわからない…。

 

 …

 

「えと…オレにわかるのは、ユイカは…やっぱりかわいいってことだ」

 

 …オレは何を言い出して…

 

「えっ、嬉しい…。でも、ここじゃないところでもっと囁いて…欲しかったり…なんてね♡あはは…はは…」

 

 どっちだ⁉︎

 

 これって…どっち⁇

 

 オレに気をつかって、言ってくれてる?

 

 それとも…ガチ?

 

 …

 

 最後のあはは…って…

 

 どっち?

 

 てか…

 

 別れ話切りだしやすくするつもりが…

 

 しにくい状況をつくりだすアホなオレ…

 

 なんなら、させない方向に向かいつつあります…かね。

 

 …

 

 なにしてるんだ…オレは…

 

 大好きな幼馴染を…

 

 このカフェという空間で、目に見えない別れないという呪いの紐で、縛りつけている感…

 

 情けないな…

 

 こんなんだから、フラれるのか。

 

 …

 

「いいよ、オレは。」

「えっ?」

「オレは…もう決心がついたから」

「それは…その…わたしだっていいよ。今からでも…全然」

「今から…か」

「うん。なら…行く?わたしの部屋」

 

 ⁉︎部屋…

 

 あー、そうだね。

 

 別れ話は、外じゃね…。

 

「うん、そうだね。行こうか」

「うん」

 

 オレたちは、席をたちユイカの部屋へと向かった。

 

 

 続く。

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