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絶望のファーストキスの後に君が選んだのは…  作者: 猫の集会


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カフェ

 気まずいショッピングをして、ノドがカラカラです。

 

「あのさ…ノドがカラカラになりそうなんだよね…てか、カラカラでさ…」

 

 ユイカに、砂漠でお水くださいってなくらいな感じで訴えているオレ。

 

 いつでもどこでも、水が手に入るお店の中にいるのに、カラカラでいるオレって…なんなんでしょうね?

 

 さて、問題です。

 

 オレはなぜ、ノドがカラカラなのでしょうかっ‼︎

 

 早押しです‼︎

 

 ピンポン‼︎

 

 はい‼︎そこのあなた‼︎

 

 えー、口呼吸していたから?

 

 ぶーっ‼︎

 

 正解は、へんな汗がとまらなくて脱水状態なのでしたぁ。

 

 …

 

 なんてね。

 

 脳内クイズしてさ、現実逃避でもしないと、こんな状況…乗り越えられないっての‼︎

 

「あ、じゃあどっかで少し休憩でもしよっか?」

 

 ユイカ…

 

 

 

 それは…

 

 それは…まさか、面と向かって…お座りタイム…。

 

 まさか、ここで別れ話…的な?

 

 自分から申し出ておいて、窮地に立たされるおバカなオレ。

 

 …

 

 …

 

 いや、でも…逃げるわけにもいきません‼︎

 

 受けて立ちます‼︎

 

 こわいけどね…

 

 仕方ない。

 

「…じゃ、カフェでも行こうか」

「うん、そうだね!」

 

 …

 

 ぁあ…

 

 カフェ…

 

 これから入るカフェの前を通るたびに、オレは…

 

 幼馴染ユイカと別れた場所を何度も幾度なく、思い出すんだろうな。

 

 …

 

「ここでいい?」

「うん」

 

 …

 

 オレがここに決めました。

 

 よく行くコーヒー店じゃない、あまり行かないコーヒー店。

 

 このコーヒー店…たぶんもう、一生来ないだろうな。

 

 まぁ、元からあまり行かないお店だし…ちょうどいいよ。

 

 うん、そうそう。

 

 

 

 入ってみると、まぁ…普通なカフェだよ。

 

 でも、オープンって感じで隣の人の話し声が聞こえるような席じゃなくて、仕切られている感じだから、話し声は…そんなに漏れない感じですね。

 

 別れ話…隣の席の人に聞かれなくてよかったです。

 

 ただ、隣とか後ろの席の人がうっかりオレの母さんで、聞き耳なんかされていたら、一撃で終わります。

 

 でも、大丈夫。

 

 座る時、きちんと確認した。

 

 前後とも、優しそうな老夫婦でした。

 

 いいなぁ。

 

 年老いてまで、仲良くカフェとかさ…。

 

 オレだって…オレだって…ずっと…ずっとさ、ユイカとさ…

 

 …

 

 ヤバい。

 

 泣きそうになるじゃん。

 

 鼻がツーンってなったから、ちょうどくしゃみがでて、命拾いいたしました。

 

 これなら目が潤んでても、バレないよね?

 

 ありがとう。ナイスだぜ‼︎オレの鼻‼︎

 

 初めて鼻に感謝したかもしれない。

 

「大丈夫?風邪かな?ティッシュいる?」

 

 ユイカが優しく声をかけてくれた。

 

「あー、大丈夫だよ。ティッシュいらないかも」

「そ?なら、よかったね」

「…うん」

 

 …

 

 危ないところでした。

 

 うっかり幼馴染であるユイカから、最後にティッシュとかもらったらさ…

 

 ティッシュ見るたびに、ユイカ思い出してさ、泣いても泣いてもティッシュ見るたび、涙とまらなくなって、それこそ脱水状態になって、パニックさ。

 

 最後のユイカからの優しい言葉は、大丈夫?になるのかもしれない。

 

「ねぇ、どれ飲む?」

「あ、そうだったね。すっかり忘れてたよ」

「えー、自分でノドカラカラって言ったんじゃないの」

「あはは…確かに」

 

 ユイカが笑っている。

 

 もうすぐ、お互い気まずい重い空気になるのに…

 

 こんないい雰囲気なのに…

 

 数分後には、別れよう。わかった。

 

 みたいなことになるのに…

 

 いや、でも心の準備ができてるんだから、よかったのかも知れない。

 

 知らないでさ、いきなり別れようなんて言われたらさ、オレ…どうなっちゃってたかわからないもんな。

 

 ブチ切れるかもしれないし、泣きじゃくって別れない‼︎とかわめいてたかもだもんな…

 

 知ってて…よかったじゃん‼︎

 

 別れの準備体操できて、よかったじゃん‼︎オレ‼︎

 

 開き直ったオレは、ソーダを持ち上げてユイカのいちごミルクに乾杯した。

 

「おめでとう!」

 ってね。

 

「え、なに?おめでとう?」

 って、ユイカは不思議がったけど心の中でユイカとこうじの両思いに祝杯をあげた。

 

 いいんだ、これが一番いいんだ。

 

 ズルズルとソーダをすすった。

 

 あ…

 

 オレ…うっかり大好きな飲み物注文してた。

 

 飲むたびに思い出すじゃん…

 

 あー、いつも飲まない飲み物にすればよかったー…。

 

 

 …

 

 続く。

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