第24話:キモいです
管理者倉庫の能力、どこまで公開するべきか。
少し話をして、今回はデータベースにも登録しないという条件を飲んでもらえてたので、ある程度は教えてもいいとは思っているけど……。
「霧島さん、他の人には話しませんし思い切って、ほら! はい! それ! どっこい!」
なぜに変な合いの手を……?
ぱっと見た目、中性的な感じで線も細く、影が薄い寡黙な感じの人だったのに、今はこの人の勢いについていけない……。
「はぁ……。おい。銀杏。霧島が話しにくそうだから、ちょっと黙ってろ」
大門寺さんの言葉で黙ってくれたが、口パクで「それ!」ってのもやめてくれない!?
くっ……もう話が進まないからスルーしよう……。
「え、えっと、オレの管……じゃなくて倉庫ってスキルですが……」
とりあえず、次のような説明をしておいた。
まず、収納は分かれておらず一個だけだが、軽トラの荷台程度の広さがある。
少し小さめに報告しようと思ったら、咄嗟に軽トラの荷台ぐらいって例えが出るのオレらしいなとちょっと苦笑いした。
でもこれぐらいのサイズであれば、大きめのものは収納出来るけど総容量だとアイテムボックス持ちの人より少ないことになるので、そこまで目立ちすぎないはず。
次に収納内は普通に時間が経過するし、食べ物なども腐ると話した。
これは状態保存設定をしなければその通りなので、そうそうバレることはないだろう。
もし疑われても、熱々のコーヒーでも入れて暫くしてから取り出し「ほら、冷めてるでしょ?」ってすれば誤魔化せる。
そして出し入れに関してだが、出し入れそのものは一瞬で出来るが、かなり集中しないと駄目だってことにした。
これは半分本当のことで、取り出すにしても収納するにしても、どこにその物があるのか、倉庫内のどこに置いておくのかをイメージしないといけないので嘘は吐いていない。
ただ実際には、収納は一時物置き場を作って整理するのは後ですることにしているので一瞬だ。取り出しも、よく使うものは分けてあるので武器やポーションなどは素早く出せる。
だから普段はあまり集中する必要はなし時間もかからないんだけどな。
あと、ホームセンターで大きな棚やラックも買って普段から整理整頓を心掛けているので、今のところ物が見つからないって状況にはなっていない。
でも唯一、いつもお弁当を取り出すときだけは時間がかかる。いろんなところで買ったお弁当などが大量に状態保存設定して入れてあるせいで「ぽかぽか弁当のチキン南蛮弁当が食べたい!」って思っても、中々見つからないのだ。
まぁ探しながら他の弁当に目移りしているのも大きいが。
だいたいこのような感じで過小評価されるように報告した。
スキルは探索者にとっての切り札であり命綱だから。
「とまぁ、オレの倉庫スキルはこんな感じです」
「うぁ~! すごい! なんて独創的なスキルなんだ! 素晴らしいです!! エクセレントです!!」
食いつきがすごい……。オレの倉庫スキルの説明にいろいろ質問したそうな銀杏さんだが、これ以上時間をかけたくないし、ボロが出ても困るので話を無理やり進めることにする。
「そ、それで! ここからが本題なんですが、オレ、このスキルを使って亡くなった三人の探索者の遺体を収納してあるんですよ。だから、それを引き取って欲しくて……」
ここで管理者倉庫が使えたら、もうここで取り出して引き取って貰いたかったんだが、ここはダンジョンゲートから離れすぎていて当然のようにスキルは使えない。
もしここで使えたらダンジョンブレイク間近ってことになるので、それはそれで困るんだけどな。
「なるほどな。そういうことなら、この後ダンジョン入った所で俺が引き取ろう。桐生、一緒に来て霧島がダンジョンから出てきたら回収班の奴を呼んできてくれ。そうすりゃ、霧島のことも一応隠せるだろ」
回収班とかあるのか。
もしかしてアイテムボックス持ちとかだろうか?
ちょっと興味はあるが、いろいろ気を使ってくれているみたいだし、こちらもあまり深くは聞かないでおこう。
これで一安心だ。
遺体なんてずっと収納していたくないからな。
その後、イレギュラーの報告が本当にサクッと終わったので、すぐにダンジョンゲートへと向かった。D-Loggerのログを残す機能はオレの思っていた以上にすごいようだ。
◆◇◆◇◆◇◆◇
四人でゲート前に着いたので、桐生さんをその場に残し三人でダンジョンに入った。
なぜかニコニコしながらついてきた銀杏さんはスルーしておく。
ダンジョンの中に入ると、人気を避けるために少し奥に進んだところにある小部屋へと向かった。
すぐに問題なく着いたので、そこで冥福を祈ってから遺体を取り出そうとしたのだが……。
「は? え? ……ない……え……まじか……えぇぇぇ……」
三人の探索者の遺体が管理者倉庫の中から消えていた。
え、ここに来てまさかのホラー展開!?
「ん? どうした? なにかあったか?」
「あ、あの、取り出そうと思ったんですが、な、ないんですよ……遺体が消えてるんです!!」
管理者倉庫の中をもう一度探してみるが、どこにも見当たらない。
「お、おいおい。冗談はよせよ。俺は魔物は怖くねぇが、そういうの苦手なんだよ……」
「え? 今もうスキル使おうとしてたんですか!? 全然わかりませんでした!」
いや、驚くのそこじゃねぇよ!?
「いや、本当に冗談なんかじゃなくて……ん? なんだこれ?」
三人の探索者の遺体を寝かせておいたはずの場所をもう一度あらためて確認してみると、なにかが落ちていることに気付いた。
これは紙……か? 手のひらぐらいの大きさの紙だ。
「どど、どうしたんだよ?」
「えっと……ちょっと待ってください」
よく見ると三枚落ちている。
「ちょっと取り出してみます」
あ、あぶね……そのままサクッと取り出す所だった。
集中する振りをして、しゃがんで地面に手を着く。
「取り出すので、ちょっと集中します……!」
少し待ってから地面にその紙を取り出した。
「遺体を収納したところにこれが……」
そこにあったのは、あちこち破れて千切れかかった三枚の人型の紙だった。
「な、なんだ? 遺体じゃねぇのかよ?」
大門寺さんがまだビビりながらそう呟いた時だった。
ちょうど小部屋に誰かが入ってきた。
「大門寺さ……」
「ひぃぃぃ!? って、桐生じゃねぇか。お、脅かすなよ」
「何をそんな驚かれてるのですか……(キモいです)」
小部屋の入口にいたのは、大門寺さんにジト目を向ける桐生さんと、さっきオレが助けた森羅さんだった。




