2089.ぶり返し
何故か、心を一つにウラジオストクに旅立つ事になったスリーマンセル-1と弟子世代のスリーマンセル。
慌しく準備に掛からされたミロブロとレオニードは大忙しである。
とは言え、持ち出せる糧食はほぼ皆無な有様だ、カタツムリはエバンガが絶対駄目っ、と厳命を出したから草の根っこと温泉位だ、貧しさの極みである。
取り敢えず、持って来た全ての皮袋に温泉水を詰め込んでエバンガの背に乗せ、忘れ物は無いかと平原を振り返ったラマスは目を剥いて仰天せざるを得なかった。
空っぽになったパラトゥンカ城裏庭の原っぱに、豚と赤竜がボーっと座り込んでいたのである。
場所は久しぶりに再会した鏡面前のまま、すぐ近くで忙しく草を集めているカタボラをガン無視して画面(バアル式オートロック機構搭載型クラック)の真っ暗な様子を凝視している…… 心なしか呼吸とかも浅そうで、何も映っていないのになんかニヤニヤしてもいる、正直恐い。
そう思い出来れば関わりたくない、そうも思ったラマスであったが、そこはそれ、一応師匠筋に当たるトカゲと豚だ、ちっ、世話の焼けるっ! そう思い返すと労働の汗を拭って怠け者達に近付いて声を掛ける。
「ね、ねえギレスラにペトラ、そろそろ出発しようと思うんだけど…… っ!」
話し掛けた途端、ゆっくりと首だけこちらに向けた二者の顔は完全な無表情、知らない人間を見る様な無感情で無関心、心ここに非ずの極地、取り分けマットで開き切った瞳孔には何も映っていないだろう事が容易に察せられたのである。
一旦は言葉を失したラマスであったが、すぐさま気を取り直して再びのコミュニケーションを計る、こう見えてレイブ達の一番弟子、ガッツには定評があるのだ。
「えっとぉ…… わ、忘れ物とかぁ? もう戻らないかもだしぃ…… ね?」
無論、忘れ物なんかどーでも良い、話し掛けてしまった手前、当たり障り無さそうな事に言及しただけに過ぎない。
『忘れ物、か…… 忘れたくとも忘れられぬ物、ならばあるのだ』
「え?」
ギレスラは無表情な顔を正面に戻しながら言葉を続ける。
『出会いは暗い穴ぐらの中…… 共に笑い共に涙を流しながら過ごした時間…… 忘れられる物か……』
「あ…… それって」
ペトラも同様に正面に向き直ってから続く。
『日の当たる場所に出てからも一時として離れる事は無かった…… ううん、離れたくなかった、のね、フフフ』
「ペトラ…… グス……」
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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