2076.称号、機械
まず豚が答えるらしい、呆れた感丸出しな表情でだ、聞いてみよう。
『あのね、アンタそもそもしすさんの事、どう思っているのよ?』
「え、どう、って?」
『はあぁ~、やっぱり何にも判っていないのね~』
ほう、どうやら自分は何か判っているらしい、引き続き聞いてみようじゃないか。
「で、ではお二方はしすさんが自ら疲れたと話していないと知っていた、と?」
『機械なのよ? つまり自分の業務に一切の私見や個人的な事情を排除して取り組む職人気質なマエストロ、言わばプロ中のプロだけが尊崇と共に呼ばれる称号、それが機械…… しすさんは正に機械の中の機械、その道の第一人者な訳! 眠いとかパラペリとかクッソだりぃとか、仮に思っていたとしても他者に悟られる様な迂闊な真似する筈が無いじゃないのっ! 仮に悟られたりしたらヴィルトゥオーゾとは認められない…… そう言う世界なのよ? 厳しいのっ!』
ふむ? あくまでも物理的にしか動けない機械に対してマエストロにヴィルトゥオーゾ、ね…… ある種詩的な表現ではあるが、そこに至るには設計者や技術者の純粋且つ飽くなき努力と日々の献身を要すると思うのだが…… このしすさん、バアル式オートロック機構搭載型クラックがソレだと? うむ、判らん。
おっ、ギレスラも話す様だぞ。
『かつて世界は理不尽な暴力に溢れ却っていたそうだ…… お前達はそんな忌むべき時代の事を聞いているのか?』
「忌べき時代? 暴力の……」
「いいえっ! 寡聞にして……」
『さもあらん…… お前達は守られていた故、なのだ……』
「お教え下さいませっ! ギレスラ様!」
「どうかっ! どうか暗愚な我々に知識の光をぉっ!」
『…………ふむ、よかろう、ならば聞かせてくれんっ!』
何と無く凄そうな感じで始まったギレスラのレクチャー、それは大体こんな感じである。
かつて世界は闇に包まれていた、それは格差と呼ばれる深く苦痛に満ち溢れた闇だったそうだ。
令和と呼ばれた時代には数世代前から世を統べた邪がこの世の隅々まで浸透し尽くし、全ての生き物は残らず塗炭の苦しみの中、息も絶え絶えでその日その日を絶望と共に過ごしていたそうである。
具体的には国家、信仰、企業体と呼ばれる人間の指導者層が、下位の人間、家畜と呼ばれる動物、植物から海洋生物までをも一括して養殖管理していた地獄以上に闇深な時代であったのだ。
邪な指導者は自分達と同種の人間を働かせて利益は己の物とし、思い通りに動く者には忠誠のご褒美にカネを与え、反抗したり怠けたりする者は容赦なく放逐した。
カネは食料や衣服、住居や各種の娯楽と交換出来る、つまり、指導者に従順でなければ食えず、着れず、雨風すら凌ぐ事が出来ず、不安と恐怖に苛まれながら、笑う事すらなく死を待ち続けるしか出来なかった時代、それが令和だったと言う。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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