2060.リバース
結局パラトゥンカに残ったのは赤竜と黒豚、ミロブロ、バッタにカメムシ、何故か男気を発揮させたレオニードだけという…… とてもじゃないが私の観察で主役と呼ぶのは憚る顔ぶれだけ、心底がっかり、正に暗黒時代といった感じだ。
レイブはこの間、大入道の群れとそのリーダー、デイダラだかダイダラだかの巨大な腑栗、尻こだま(大粒)を入手して高々と掲げ、大いに気を吐いていた、おめでとう。
ここからの何日間、いや、若しかしたら何ヶ月、ひょっとしたら何年かもしれないが、それは非常に退屈、無意味で不毛で無為そのもの、時間を返せっ! そんなムードだけでダラダラと流れた。
バッタとカメムシは掘り起こした草の根を、ニーズヘッグとフルダークネスは温泉水だけで日々を過ごし、こいつ等程生物として浮世離れしていないミロブロは糧を求めてそこいら中を彷徨った挙句、漸く見つけたミミズをぺトラに食われて一晩中泣き明かしたりしていたが、そんなに面白くないので割愛しよう。
ドラゴンの旅立ちから一ヶ月位過ぎた時、不意に訪れた好景気、賑やかそのもので盆と正月、おまけにクリスマスやらハロウィンやらバレンタインに春節、祭りと土用の丑の日とラマダン明けと防災訓練まで一緒に来た様な大騒ぎとなった事がある、海と空からドラゴン共が帰還したのだ、トボトボと。
先頭を切って海から上がった竜王グラム・ランドは言った。
『想定通り、結界を越える事は出来なんだ…… だがもう一つの目的、海の幸だけは確り持ち帰る事が出来たぞっ! さぁ、遠慮なく食べてくれっ! 余と配下はガト様やダソス・ダロスを追って出立するとしよう! グァーハッハッハッハァー!』
「お、おおお、おおっ! これは慮外の喜びぃっ! 助かりますっ! 本っ当っー、にっ、助かりましたーっ!」
「南無竜王大明神…… 貴方こそ救いの神です、南無南無命の大恩神様ぁーっ!」
飢えが限界を越え、やむなく小さなお人形フォルムで出迎えたミロブロは、ドラゴン達の姿が北に消えるまで、その背に手を合わせながら何度も何度も頭を垂れ続けていた物である。
さて、山と積み上げられたマグロやブリにシャケにタラ、美味しそうな魚介類に向き直ったミロブロは残酷極まりない主達の声を聞く事になる、曰く、
『あんた等それ食べちゃ駄目よ! ねっ、ギレスラお兄ちゃん?』
『ハタンガでは魚類は神様なのだ! 子供でも知っている常識なのだっ!』
「「え? ええぇっー?」」
『何がえーっ、よっ! あんた等だって元々魚類じゃないのっ! ねっ? ギレスラお兄ちゃんっ?』
『……うむ、共食い、か…… それで良いなら好きにすれば良いがぁ…… ふうぅ~』
「「あ、あう……」」
『あー溜息よね? そりゃそうよねっ! どうすんのっ? ねぇ、あんた等っ! どーすんのよっ!』
『ふうぅ~、ふううぅぅ~』
「「っ! い、要りませんっ! 要らないですともっ!」」
『そうよねっ!』
『むっふーん、なのだ♪』
「「…………」」
信仰とは時に苦痛を伴う試練を与える、そんな割と良くある一場面であった。
泣く泣くお魚達を埋葬するミロブロの横では、レイブが管狐と白狐のボス、玉藻の前っぽい女狐を倒したのに、抜くべき尻こだまが無かった事にガックリと肩を落とす姿が映し出されていたが、まあ、こっちは嘘みたいに下らない話だからどーでも良いだろう。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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