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復讐に取り憑かれた偽りの勇者は、もふもふ大精霊様に癒される。  作者: 赤金武蔵
第二章 偽りの勇者は助けたい

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第二十一話 ショバ代

 みんなを守るように前に出て、優男を睨みつける。

 が、特に俺の眼光に怯まず、男はただただ微笑んでいた。



「俺はライゼル。あんたら誰だ? ここに何か用か?」

「おや、これはご丁寧にありがとうございます、ライゼルさん」



 杖を後ろにしまい、優雅にお辞儀をする優男。

 大男はぼーっとしていて、特にリアクションはない。



「初めまして。私はアレルド。彼はギドー。この通りの管理を任されている者です。なに、この通りで店を開くのなら、ショバ代をいただこうと思いましてね」



 ショバ代……つまり、金を寄越せってことか。


 みんなを守るために腕を広げているシスターを振り返ると、目に涙を浮かべて首を横に振った。



「い、今まで、そんなものを払ったことなんてありません……!」

「と、言ってるが?」



 剣の柄頭に手を置き、圧を高める。

 だけど、アレルドはどこ吹く風というように肩を竦め、俺の圧を受け流した。


 こいつ、できるな。並みの戦士ではない。



「申し訳ありません、今年から変わったのです。建国祭を行うのも、お金が掛かりますから」



 杖をつき、にこやかに微笑みながら紙を差し出してきた。

 内容は、今アレルドが話した通りの内容だった。ちゃんと貴族の署名もされている。



(アリュシオン家、か)



 聞いたことがないけど……もしかして、あの時の豚貴族か?

 近くを通りかかった人を呼び止め、この紙のことを聞いた。



「あの、ここに書かれてることって、本当ですか?」

「え? ああ、そうだよ。うちらも大変だけど……でもこのおかげで、変な金儲けの為だけの屋台が減ったから、まあウィンウィンだね」



 チッ。この反応、ガチっぽいな。

 彼を見ると、微笑みを崩さず、けど困ったような表情をしていた。



「我々も心苦しいのですが、孤児院が相手でもこればかりは特別扱いできません。ご理解のほど、お願いいたします」



 深々と頭を下げるアレルド。シスターたちも困っている。


 ……俺としては、今回に限って言えばアレルド側だ。

 ちゃんとした手続きをされていて、これがルールである以上、俺がとやかく言えることじゃない。

 むしろ踏み倒すなんて、勇者としてあってはならない。

 ルールは正義。別にこいつらも、悪いことをしてる訳じゃない。仕事をしているんだ。



「……いくらだ?」

「銀貨五枚です」



 たっか……!?

 銀貨五枚って、一般階級の人間の一週間の食費くらいだぞ……!


 後ろを振り返ると、シスターたちは涙目で手持ちの金を出し合い、数えていた。


 そりゃそうだ、この人たちは金持ちではない。

 今回の屋台も、施設運営の資金にするために頑張って準備しているんだ。

 そんな大金、持っているはずがない。


 俺も、普段から金は持ち歩いていないし……どうする。

 手持ちを数えようとカバンに手を突っ込むと、アレルドはふむと口元を手で覆った。



「と、言いたいところですが、事情が事情のようですし……銀貨一枚でいいでしょう」

「……いいのか?」

「本当は駄目ですがね。我々も鬼ではありませんから。残りは私のポケットから出しましょう。せっかくのお祭りなのです。遺恨を残さず、楽しもうではありませんか」



 ……そう言ってもらえると、助かる。


 カバンから銀貨一枚を取り出し、アレルドへ手渡す。

 ちゃんと確認し、笑顔で握り締めた。



「はい、確かに。それでは、失礼します。よい一日を」



 終始ぼーっとしていたギドーを引きつれ、帰っていくアレルド。

 少し歩いてから立ち止まり、もう一度振り返った。



「あぁ、そうそう。一つお聞きしたいことがあったのを忘れていました。……ネイ、という子供は、誰ですか?」



 ネイ? なんでネイを?


 アレルドの視界を遮るように、さりげなく立ち位置を変えるが、今の動きでバレてしまったのか、にこりと笑った。



「ネイに何の用だ」

「いえいえ。少々気になっただけです。では、またいずれ」



 帽子を取ってお辞儀をし、去っていく。


 最後、なんでネイを機に掛けたのかわからないが……なんにせよ、これで無事に準備を進められるな。


 安堵の息を吐く。

 一部始終を見ていたカルミアさんや他のシスターたちが、目を輝かせて頭を下げてきた。



「ライゼル様っ。本当に……本当にありがとうございます……!」

「き、気にしないでください。困った時はお互い様ですから」



 このまま何もせず見ていたら、きっと屋台の設営すらさせて貰えなかっただろう。

 何度も言うけど、困っている人は見捨てられないんだ、俺。


 シスターも、子供たちも、まるで神でも現れたかのような目で俺を見てくる。

 や、やめてくれ。そんな上等なものじゃないから。



「そ、それより、早速屋台の準備を始めましょう。力仕事は俺に任せて、飾り付けをお願いします」

「もちろんです。さあ子供たち。沢山飾り付けをして、可愛くしましょうね」

「「「はーい!」」」

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