99、ジェラルドが倒れた!!犯人はあの人だった!
身体が熱い。
目の前がクラクラする。
節々が痛い。
身体がだるい。
ああ、おでこが冷たくて気持ちいい。
僕はふと目を開いて見ると
「始姐?」
「ジェラルド目が覚めたね?、体調を崩して倒れたんだよ。今日からの御飯は歳三と私が作るからジェラルドは安心して寝てな。勿論私のやり方でやるけどね」
始姐が言い部屋を出る。
ジェラルドの部屋は相変わらずの殺風景だ。机と椅子と小さいテーブルだけで、机には毎日書いてる日記と後、レシピノートだけだったが、ジェラルドがここに来たばかりに読み聞かせていたボロボロの絵本がある。
静かに部屋を出て歳三がいる陽当たりのいいテーブルに足を向ける。
「解熱剤と弱った体力を補うドリンクだね。有ったかな?」
頭の中であれこれ考える始姐。
中央の階段は滅多に使われない。
広くて掃除が面倒の為だがジェラルドの使ってやって下さいと言う。「だいたい」から始まる説教に始姐も歳三も中央階段を使うようになった。
陽当たりのいいのかテーブルで緑茶を飲んでる歳三は、茶菓子を選んでいた。
昔の鬼の副長は何処に行った?
始姐は家の中にあるのは倉庫に薬草を粉末にした物をとりに向かう。
そこには空になった空き瓶が何本か有っただけだった。
「前の時は依頼作って無かったか、よし山に行こう。そろそろ生える頃合い出し」
始姐は腰に袋とナイフを持って家から出て行った。
その頃、歳三は、まだ茶菓子で悩んでいた。本当に鬼の副長は何処に行った?
家の異様な静けさに気付いた歳三は、始姐を探して部屋中を探した。けれど何処にもいない。
それはそのはずだ。
始姐は薬草を取りに山に行っている。
この時期しか取れないドングリより2回りの大きさでタケノコの様な見た目の木の実は木の根に実を付ける。
玄関に来た歳三は置き手紙を見つけた。
『解熱剤を取りに山に行く』
「了解」
誰もいない玄関で呟く歳三は、キッチンに戻り水とお皿に取った桃とフォークを持ってジェラルドの部屋に向かう。
「水と桃の実を食べさせてやろう」
お盆にお皿と水とフォークを乗せて中央階段を歩く。
カツコツと足音を立てて階段を歩く。キッチンはタイル張りだが、他は木と大理石で作られてる。
コンコンと扉を叩いて「入るぞ」と言って扉を開けた。
「起きれるか?」
「………歳三?」
熱で朦朧とする頭でジェラルドは答えた。
「そうだ。水と桃の実をシロップで煮込んだ物だ。安心しろ俺が作った。」
「ありがとうございます」
ほっとしているジェラルド。
ベッドの上で身体を起こして座る。身体を支え水に砂糖と塩を混ぜた物を飲ませる。
「ほふっ」
喉がカラカラだったのか水を飲み干した。
「腹に何か入れておけ。シロップで煮込んだ桃の実だ。」
桃のシロップで煮込んだ物を食べてからベッドに横になった。
「ジェラルドが倒れたと聞いてびっくりしたよ。何が有った?」
「最近疲れているから甘いものがものすごく欲しくなったて、たまたまテーブルの上に置いてあるチョコレートホンデュ?見たいなの物を食べたんです。始姐と食べたチョコレートホンデュだったかな?まあそれはナイフで切ると中からトロトロのチョコレートが出て来るの……あれはおいしかったです。」
近くにある椅子に座り「それで」と続きを促した。
「一口サイズのチョコレートホンデュ?見たいな物がテーブルの上にあって食べたんどけど、チョコレートの割には何かエグ苦くて美味しく感じなくて、まぁ疲れてるしそんなもんだろうと思って3個程食べたんです」
「冒険したな。俺なら1個目でやめておく」
歳三は始姐が作った料理でジェラルドが倒れた事を覚えてる。
「正直疲れがたまっていたから正常な判断が出来なかったんです。………その夜中に気持ち悪くなって全て戻しました。リバースです。」
「戻しました」「リバースです。」の言葉で顔がひきつる歳三。
「何かヤバくないか?そのチョコレートホンデュ?」
「で、誰が作ったか調べたら始姐でした。」
「だな。そうだな。期待裏切らないな、シロエは!殺人料理を作り出すのは」
「まだ死んでません。熱が下がらないだけです。ちゃんと始姐に聞いたらあの一口サイズのチョコレートホンデュは始姐の手作りで、レシピどうりに作ったと言っていたが、あのエグ苦さは何なのか分からりません。始姐の事です。普通に作っても不味くなるのです。鍋料理をレシピどうりに作ると闇鍋になるのです」
「レピシどうりに作って中身が全く別物って何の罰ゲームなんだ?」
「僕は9歳の時から半年間、始姐のご飯を食べていますからある程度免疫が付いていましたが、途中から見よう見まねで料理を作って始姐の料理のヤバさを忘れていました。ただお菓子は大丈夫だろうと思っていましたが、僕が間違っていました。」
「そうだな…」
「当分の間お菓子は抜きです。」
「ええ!何でそうなる!」
「ちょっとの間見たく有りません」
ジェラルドの話を聞きながらおでこのタオルを冷たい水に付け軽く絞り乗せる。
「あー気持ちいいです」
「シロエが解熱剤を取りに山に行った」
「山ですか?なら大丈夫ですね」
「?」
「始姐の森は始姐にとって庭見たいな物です」
「そうか。もう少し寝ろ。お昼になったら何が食べたい?」
「お粥でいいです。始姐が作るお粥だけは美味しいのです。僕達が食べれるまともな料理です。」
「粥だけか?」
「だけです。まともに作れるのは」
「大丈夫か?それ」
「ええ。歳三も食べて見れば分かります」
「その内な」
そう言って歳三はジェラルドの部屋から出て行った。
山の中に木の実を取っている始姐。
まだ春なのでそんなには木の実がなってないが3人+1人分が大丈夫の様に茶色の小さいタケノコの様な木の実を必要な分を取る。
「森の奥に来たのは久しぶりだな?始姐。」
「ゼウスか?」
「アイゼンだ」
「アイゼンか!修行の旅はどうだった?」
「それなり楽しんださ。料理はまだ作っているのか?」
「ああ、もちろん。料理の腕を上げているよ」
「解熱剤の材料だな。誰か熱でも出したのか?」
「ジェラルドがね。熱が高くて食べた物をリバースしたの」
「そうか大変だな。鮭が有るから持ってけ。ところでジェラルドは何歳になったんだ?」
鮭を投げ寄越した。
「20歳だよ。鮭ありがとー、アイゼン。これお礼にチョコレートホンデュ?だよ。あげる」
「すまない。う~ん美味だ。所で何で?が付くんだ」
一つ食べて頬に手をあててうっとりするアイゼンが始姐に言った言葉に疑問を持つ。
「分かんない。だけど本当のチョコレートホンデュの中はトロトロだったけどこれはカチカチ人なってしまった。だから?を着けた」
「ふーん。俺的には旨いがな」
アイゼンは、何を隠そう殺人料理を生成する始姐の料理のファン1号だ。
「後は、ハンバーグにハンバーガーに、それからケーキだ」
見た目はまともなハンバーグにハンバーガーにケーキ。だが、味はジェラルドも歳三も吐き出す、料理だ。
「おお、美味しそうだな。有りがたくいただくよ。またな始姐。」
右頬にキスをしてアイゼンは森の奥に消えた。
「あっ迷宮に酒が有るから飲んでいいからな~!!」
始姐が言うと森に響くコーンと言う音。
「了解って事だな。さて、家には帰ろう」
始姐は家に向かって走り出した。




