78、女子会
シロエ達が帰った後は、ピリピリしていた空気が消えた。
ギルド職員もシロエ達を知る冒険者もホッと胸を撫で下ろす。
「怖かった」
「本当に」
「もう軽口叩けないよ。そうなる前にトシさんの事聞いとけば良かった。髪が長くポニーテールしてて、イケメンで見たことがない武器を使うけど(使う所見たことが無いけど)」
ギルド職員のリリィ、ラキィ、メリッサは今日は非番で近くの飲み屋に行っていた。今日は女子会だ。
もちろんギルドの服じゃなく、私服で胸を大きく強調し身体の線がはっきり分かるよ服だ。
寿退社したい3人はギラギラした目をしてる。
店に入ると3人はすぐにエールを注文。初めはのジョッキ一杯は何も入ってないカラカラの胃に流しこんだ。
エールをガブガブ飲みリリィ、ラキィ、メリッサの3人は何度めかのエールで既に出来上がっている。
「エールおかわり。」
エールが入っていたジョッキを掲げ言うとウエイトレスのお姉さんがエールを持ってきた。
「程々に」
と一言言う。
シロエ達が帰るまでギルドは安心出来なかった。帰った今、羽を休めようと飲みに来たのだ。
この店は酒も出すが肉も出す。シンプルな味付けで店は賑わっている。初めはお上品に食べていたが、酔いが回ってガツガツ食べる。まるで冒険者のようだ。
「ラキィ、メリッサ、タバコ吸うから。」
口にタバコを咥えて先端に火を着けて息を吐き出す。
「あー、タバコ最高」
「仕事中は吸いませんもんね」
「ギルドマスターに怒られる」
どんなに綺麗な女性でも鼻からタバコの煙を出す人は幻滅するだろう。
「何で私は男運が無いの」
リリィが言うが回りはリリィのタバコ姿を見てしかも煙を鼻から出している姿に引いてた。
「明日仕事したくない!」
「そうも言ってられませんよ。」
「人材不足です。あのアホのせいでほとんど辞めてしまいましたから」
「あのアホ」
「あのアホですが首から三角巾ぶら下げて動かない肩の為に「俺可哀想でしょ」とアピールですしてるよ」
リリィ、ラキィ、メリッサはニヤリと笑い、言った
「「「ざまぁ」」」
女子会を聞いていた冒険者達はだから結婚出来ないんだと静かに思ってる。
◇◇◇◇
始姐の森らの仲間にあるシロエの大きな家では、魔導式コロンで始姐がじゃが芋をふかしていた。
十字に切れ込みが入ってる芋に竹串が通る柔らかさになったらお皿に芋を置いて十字に切り込みが入れてる所に一欠片のバターを入れて食べようとしていたら歳三に見つかった。
「こらこら何食べてんだ?」
「慌てて隠そうとする始姐。」
隠しきれず、バリバリに見えてます。
「俺の分ももちろん有るんだよな?」
「鍋に入ってる。トングで取って切り込みにバターをのせると美味しい」
たまにであるが、始姐が作る料理がおいしい時がある。シンプルな料理で蒸す、煮る、焼くの3点だが煮込み料理、揚げ物、ステーキなどの手の込んだ料理はとことん駄目だ。
味噌汁なんて後は具材を入れるだけなのに何で色も変わるのか謎すぎる。
始姐はこの世にない生物を生み出す。
摩訶不思議だ。
吹かし芋を食べていたがアイテムボックスからケチャップを取り出してぶちゅと芋にかけた。
「おいしいのか?」
「きっと旨いだろう」
始姐のきっとは普通の人はハズレが多い。歳三はケチャップをお皿の端に着けて芋に箸を掴むとケチャップを着けて食べた。
「うん。意外と旨い」
「だろう。」
どや顔をする始姐。
そんなにどや顔する事でもありませんよ。と突っ込みが入りそうだ。
芋を食べた後は道場に行き剣術の相手。最近の始姐は木剣と銃を使うから歳三に怒られぱなしだ。
「銃を使うな!木剣を使え!」
「木剣使ってるよ!」
始姐は剣を持って歳三の木刀を木剣で弾き懐に入ると回し蹴りをして腹に始姐の足が入った。
「うっ?!」
何気に力強い。そう感じた歳三。
あの小さい身体にどんな力が有るのか見たくなる。
昔とは違う戦いかただが面白いと歳三は思った。
「やった一本入った。」
「まだまだ」
離れかけた木刀を持ち直すと始姐の木剣に叩き込む。
「なっ、ひ弱な女の子になんて事を」
「はっ!ひ弱な?ちげーだろ何でもかんでもぶっぱなすヤバい奴だろ!!」
始姐はバク転で距離を取り木剣を目線の高さに構え直す。
(顔つきが変わった。)
道場の外では洗濯物を干すジェラルド。洗濯物をパンッと叩く音がする。音の合図で始姐と歳三が動く。振り下ろされる木刀を瞬時に持ち方を変えて木剣で受け流し起動を変える。
(上手いな、受け流すの)
また木剣の持ち方を変えて木刀を持っている手を狙い打ち込むが歳三も簡単にはやられない。
後ろに飛び、間合いを取った。
(危なかった。本物の剣だと手首から切り落とされる。)
「やっぱり何処 かで習ったな?」
「乙女の秘密です。」
「何が乙女だ」
笑って言う歳三にするりと懐に入ってくる始姐。
歳三に顔を近付けて、「女の秘密はアクセサリーよ」と言って回転して木剣を歳三に打ち込んだ。
「いっっってぇぇぇ!」
「やったー勝った!」
万歳して喜ぶ始姐。
初めての一本を歳三に入れる事が出来たのだ。
「まだまだ~!」
「えー!!」
負けを認めない歳三の剣術の稽古は続いた。途中ジェラルドの差し入れを貰い、打ち込む2人共、汗だくのヘトヘトになっていた。
「もう動けない。」
「俺もだ」
道場の真ん中で寝そべる2人。
涼しい風が熱くなった身体にには心地よい。
始姐も歳三も瞳を閉じて冷えきった濃い紅茶が入ってるマグカップの氷がカランとなった。
「今日の夜ご飯はお好み焼きにします」
道場の扉から顔を出したジェラルドは、身動きしない2人を見てクスッと笑い戻って行った。
その夜はジェラルドの言うとおりお好み焼きになった。
しかもお腹が空いていた歳三と始姐は食べる。食べる。濃厚なソースにした包みで食べて始姐3枚、歳三4枚、ジェラルドは2枚ペロッと食べた。
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