65、和泉守兼定と堀川国広
始姐がアイテムボックスから出してテーブルの上に置いたのは2振りの刀だった。
「歳三を見つけた時に側に合ったの」
『これは和泉守兼定と堀川国広か』
「?。そうだと思う」
歳三は刀を手に取ると鞘から刀身を抜いた。
綺麗な波紋になんとも言えない美しさに始姐も僕も声が出ない。
歳三が鞘に刀身を戻してテーブルの上に置く。
「物は相談何だか、玉鋼が見つからない。
そこでだ、ミスリル鉱石でこの2振りの刀を作ろうと思う。もちろん重さも形もこの2振りに似せて作る。どうだろうか?」
『・・・』
「嫌なら言ってくれ」
『作ってくれ』
「もちろんだ。切っ先が鋭い刀を和泉守兼定と堀川国広似せて作るよ。」
始姐はニヤリと笑う
あっこの顔は・・・
「今からダンジョンに行ってくるミスリル鉱石を取りに」
ぐいっと紅茶を飲み干して始姐は席を立とうとするところを僕は止めた。
この分だと夜中になる。ちゃんと晩御飯を食べてもらわないと
「始姐。鉱石は足りないのすか?」
「嫌。メッサ有る。」
「有るんかい!」
思わず突っ込みを入れてしまった。
『簡単に折れてしまうのか?』
「嫌。アダマンタイトやヒヒロカネは鉱石の王様だけど、ミスリルもそうそう手に入らない代物だよ。折れないし手入れ不用だし使いやすさ満点の鉱石だ。」
「そうポンポン出て来る鉱石じゃ無いのですが」
「時間が無い。この2振りが消える前に」
『消える前に?』
「多分だが、この2振りはもう一度、歳三に合いたかったと思う。物も大事ににされればつくも神になると聞いた事があ。もう一度手にして欲しいと」
『そうか・・・』
始姐は歳三に断りを入れて刀を持つ。
「重さもはこんな感じか、歳三が使ってる木刀と同じだな」
上下に動かしテーブルに戻すとアイテムボックスからミスリル鉱石を取り出して、
「これがミスリル鉱石」
言うなりテーブルの上に歳三の拳大の鉱石を置く。音からしてそんなに重くないと思うがそこそこ有る。
「触っても?」
歳三の声に始姐は頷いた。
鉱石の色は、艶消しの灰色。
『これで何本出来るのだ?』
「歳三が持っている鉱石一つで1振りだけ、今ある小さいミスリル鉱石をかき集めてもう1振りがギリギリ作れるぐらい。」
いつもなく真剣に顔の始姐。
そうですよね。失敗許せませんよね。大見得切ってしまったし。
「お願いする。」
歳三は頭を下げた。
『あい。わかった』
その後は刀とミスリル鉱石ををアイテムボックスの中に入れ創造魔法を使用する。
直ぐに出来るのかと思っていたがそうではない。写しを作るのだ。
寸分違わない写しを。
始姐はいつもの様に紅茶を飲んで本を読んだり歳三と打ち合い。
だが、今日は歳三も始姐も稽古に身が入らないかそこそこでやめて、壁に背中を預けてぼーっとしてる。
『俺以外にこちらに来てる人はいないのか?』
「歳三以外か?」
『総司とか』
「掃除?」
『総司。沖田総司。』
「歳三とジェラルド以外見たことないよ」
『そうか』
歳三は遠い目をして何かを懐かしんでる様に見える。
僕は、遠くで見ていたが、紅茶を持って2人の前に座る。
お盆の上には冷たい紅茶とクッキーだ
「どうしたんですか?2人共。」
『嫌。何でも無い。』
言うと歳三は瞳を閉じた。
僕と始姐はアイコンタクトを取って静かに道場から出て行った。
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