百三十九話 戦いを終えて
簡単なあらすじ『チームクボタ……敗北!!』
プチスライム達を抱き締めた事で安堵出来た俺。
だが、その喜びを噛み締める間も無く、『敗北』の二文字が現実を突き付けて来る……
そう、俺達は敗北してしまったのだ。
キングさんに、大切な昇格試合に……
「……むむ!?」
〝アレ……?僕は……?
クボタ?それにプチ男とケロ太も、そこで何してるの?〟
ルーとエリマも目を覚ましたようだ。
これで魔物達四匹、全員の無事が確認された。
なら良いか、試合の結果なんてどうでも。
というか、今の俺達に勝てる相手では無かったと思うし……むしろこれで昇格出来る奴なんていないんじゃないだろうか?
とにかく、俺はルーとエリマの元へと駆け寄った。
そして、二匹もまた強く抱きしめてやった。強く。
「ルー、エリマ……すまなかった。
俺が全く頼りにならないせいで、辛い思いをさせちゃって……本当にごめん」
その後ですぐ、俺は二匹に謝罪した。
俺の指示が遅く、しかも出来すらしなかった時もあった。
そのせいで彼等はこうなってしまったのだから、そうせずにはいられなかった。
「む……むむ。
むむむぅ……」
〝まあ、誰がやってもこうなってたような気がするし、別に気にしなくて良いんじゃないかな。
それに、僕もちょっと冷静じゃなかったと思う……ごめんねクボタ。勝たせてあげられなくて〟
だが、彼等はそんな俺の事を咎めはしなかった。
ルーは……
ちょっとよく分からないが。
「皆、目を覚ましたようですね。これで一安心出来ましたか?クボタさん」
それを見たキングさんは優しげな声色でそう話しかけてくる。
「ええ、何とか。
でも……」
その後に「負けてしまいましたね」と続けようとしていたのだが。
漸く俺がホッとしたような表情となった事に安心したのか、彼もまたいつものテンションに戻り続けてこのように話した。
俺の言葉を遮り……
「そうですか、それは良かった。
しかし、クボタさん……
まさか貴方も〝あの動き〟を彼等に教えているとは思いませんでしたよ!
そのお陰ですんなりと私の技を伝授する事が出来ました……やはり、〝貴方達のいた世界〟の戦闘技術には驚かされてばかりですね、久し振りにそれを思い出しましたよ!」
〝あの動き〟とは二匹に教えた投げ技の動きの事だろう。確かに、キングさんもコイツらと似た感じにぷるぷるとしていたな。
そしてその言い方から察するに、この人も誰かにそれを教わったのだろう。俺がプチ男とケロ太に教えたように……しかし、それは一体誰なのだろう?
まあ分からない事は置いておくとして……
それにしても、あの技(?)をあんな風にして使うとは……驚きの一言である。
スライムではない俺にはそんな事考えもつかなかった。アレを『スライム独自の技』として昇華させたキングさんには圧巻させられてしまう。
「君達、これでコツは分かりましたね?
あれこそ、私が君達に教えられる最大の奥義です。
ですがそれを磨き、自身のものとするかは自由です…… ただし。
『我々にはあのような攻撃も可能である』
『我々の可能性は無限大である』
という事だけは忘れずにいて下さい」
次にキングさんはプチ男とケロ太の方を向いて言った。
それに対して二匹は普段よりも少し背を高くし、そのままピタリと静止するという行動を見せた……もしかすると、二匹は『分かりました!!』とでも言っているのかもしれないな。
そう思うとプチ男とケロ太が勉学を教わり、その事に対して感謝を述べている学生のようにも見えてきた。勿論、先生はキングさんだ。
「フフフ……
礼を言う必要はありませんよ。
これは私が受けた恩を返しているようなものですから……むしろ、礼を言うのは私の方です。
貴方達の親……〝こちらではない世界の人間〟に、受けた恩をやっと返す事が出来たのですから……」
すると、彼はまたスライム達にそのような事を話していた。
彼等に向けて話していたので、この時何を言っていたのかはあまりよく分からなかったが……
「さて……クボタさん。
お待たせしてすみませんでした」
次にキングさんはこちらへと向き直ってからそう言った。
どうやら俺に順番が回ってきたらしい。
だが、何の話をされるんだろうか?俺の話は遮られてからそれっきりだったし。
「…………合格です!」
おや、なんだそんな事か。
……何だって!?合格だって!?
「……今何と?」
「ですから合格ですよ!
これでクボタさんは晴れてEランクとなったのです!おめでとうございます!」
そうか、なら聞き間違いでは無かったのだな。
……でも。
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